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085.高度の柔軟性を維持し臨機応変に対応してみた



 時間は、夜。

 月明かりのみが頼りの夜間戦闘中。

 本来軍同士が戦うのなら、夜を避けるものだ。

 ましてや五千、一万といった規模の軍なら尚更そうする。

 それがこうしてなんとはなしに戦闘が続いてしまっているのは、国軍側が奇襲を仕掛けてきた後、本隊も突っ込んできたからだ。

 これで倒せればよかったのだろうが、南部貴族連合軍指揮官も案山子ではない。

 夜間でロクに視界も利かぬ中、少ない情報を頼りに指示を出し続け、陣形を作り敵の攻撃に対応し、遂には撃退に至ったのだ。

 また敵軍の全てが野戦に打って出ている今は、考えられぬほどの好機である。

 南部貴族連合軍指揮官は、何度も本当かどうかを確認したが、本当に敵軍が全軍で突っ込んできていると知ると、深夜にもかかわらず今こそ決着の時と進軍を開始する。

 その際、彼が得ていた情報の中に、国軍の将軍があまり戦に明るくない、という情報があったことも多少なりと影響していよう。

 ハハリ将軍の失策に乗っかる形で軍を進め、一気に砦攻略を目指す。

 途中、例の第十五騎士団の信じられないような抵抗を受け、一部侵攻が滞った所もあったが、概ね順調と言っていいだろう。

 また前線から報告が届く。

 追撃部隊が敵本隊を捕捉し、攻撃を開始したと。


「よし、勝ったか」


 戦場でこうした予断は禁物であるが、ついこんな言葉が出てしまうほどの圧勝であったのだ。

 本陣もこれに合わせて前に出す。

 皆、慣れぬ夜間の戦にも良くやってくれている、と指揮官は自らが率いてきた兵士たちの優秀さに感謝する。

 今回の軍には大量の傭兵がいるが、今指揮官が率いているのはカレリア南部の兵だ。

 やはりここ一番、最も重要な戦では傭兵はアテにならない。

 ここ数年来の不遇を、その原因を叩き潰してやると兵たちの士気は高い。

 こうした兵を率いるのは、とても気分が良いものである。

 更にそんな兵を用いて勝利できるのはより気分が良い。

 指揮官はそんなことを考えながら、妙に賑やかな後方に目を向ける。

 暗がりでありながら、馬上である有利を加えれば、そこそこ視界は確保できていると言っていい。

 その指揮官の目に、人が、空中高く、飛んでいる様が見えた。






「あのさあ! 将軍以下だって言ったよな私の作戦! なのになんでこーなってるんだ!?」

「それは、あっさり敵将を見つけた、スティナが悪い。私たちが、とんでもない馬鹿やる時は、いっつもスティナのせい」

「いーかげんアジルバのこと引っ張るのやめてくれないかしら!? あれはもう何度も謝ったんだから勘弁してよっ!」

「ええい往生際の悪い! あんなもの見つけて素通りなぞできるわけありませぬぞ殿下!」


 夜の暗闇、騎馬隊隊員すら及ばぬ練達の馬術、少数での移動、人外の体力。

 この辺が全部揃ってしまった結果、イェルケルたち四人は戦場をそれはもう自由自在、好き勝手放題に移動して回ることができた。

 だが、よほど上手く動き回っているのか騎馬隊と隊長を見つけることはできない。

 時々思い出したように遭遇する敵小隊とかをぷちぷちと潰しながら駆け回っていると、スティナが結構な規模の軍を発見したのだ。

 暗すぎて正確な数は数えられなかったが、千を確実に超えるだろうあの数はさすがにマズイ、と迂回を考えたところ、アイリがそこに掲げられている旗に気が付いた。

 あれは南部諸侯の中でも武に優れた土地を治める貴族の旗ではなかったかと。

 現在の位置、軍の規模、貴族の格、その辺を加味して四人で熟考を重ねたところ、多分アレ敵本陣だと相成ったわけだ。

 そうなってくると収まらない。

 アイリがまず血に飢えた獣みたいな顔になり、レアもまた宝物を見つけた子供みたいにはしゃぐ。

 そしてスティナが、こちらも光すら零れてきそうな満面の笑みでイェルケルに問うてくるわけだ。


「いかがします殿下? ぶっ殺します? 捻り殺します? それとも、面倒だし皆殺しちゃいましょうか」

「ホント殺す気しかないよな君等!?」


 というわけで、この絶好の好機を活かし敵指揮官をブチ殺すべく、イェルケルたち四人は襲い掛かったのである。

 四騎が横に並んで敵陣へと突っ込んでいく。

 普段ならばこの段階で敵の数もわかるし陣形もわかるのだが、今は夜で視界はすこぶる悪い。

 敵が居るのはなんとなく見えるが、もっと近寄らなくては敵の構えも数も把握できない。

 開けた土地に敵部隊は展開しているため、どの辺りに敵将がいるのかも見当がつかず、この状態で敵将狙いでの突撃なぞ正気の沙汰ではない。

 一応旗が立っている辺りではないのか程度の指針はあるが、そんな薄い根拠で突っ込む馬鹿はこの四人ぐらいであろう。

 敵陣との距離が詰まってくると、暗闇がうねり蠢く様が見えてくる。

 松明をかざした兵士の周辺以外はもう、まるっきりわからないと言っていい。

 時折月明かりを照り返す銀色のみが、それが鎧を来た敵兵であることを教えてくれるが、見渡す限りのそこかしこで、これらが思い出したように明滅するので正確な数や範囲を特定するのは不可能だ。

 そんな何がどうなってるかもわからぬ暗闇の中へ、イェルケル、スティナ、アイリ、レアの四人は飛び込んでいく。

 聞こえてくる怒鳴り声が、敵はこちらに気付いていると教えてくれる。

 それでも、四人共馬の足は決して緩めない。

 夜間に騎馬の全力疾走なんて恐ろしい真似を、千を超える軍に向かって敢行し、尚笑う。

 正気を失っているわけではない。

 敵が、兵士の集団であるのなら、勝つと思っているのだ。

 かつて三千に突っ込んだ時のアイリのように。

 今は四人共が。

 兵士の最前列が見えた。

 辛うじて隊列は組んでいるが、それは騎馬に対して効果的な備えであるとはとても言えない。

 彼らもまさかいきなり少数の騎馬が突っ込んでくるのは想定外なのだろう。

 そのうえ、突っ込んできた馬四頭が、一切減速もせぬまま兵士の列に飛び込んでくるなぞと。

 馬は人の群に突っ込むとその巨体が崩れ落ち、更なる兵士を巻き込んで倒れる。

 それが四頭分ともなれば結構な人数が巻き込まれるが、兵士たちが見ているのはそこではない。

 月夜に舞い上がる、四人の戦士を見上げていたのだ。


 抜いた剣が月光を反射し、王族らしい育ちの良い顔立ちを照らし出す。

 イェルケルは空中高くに舞い上がり、足元には無数の敵兵。

 それでも銀光に彩られたその相貌に不安の色は無い。

 両腕を大きく左右に広げ、これより始まる戦に怖じず恐れず飛び込んでいく。


 左右の手にそれぞれ握られた二本の剣を、眼前にて交差した構えなのはレアだ。

 両足を小さく折り畳み、空中にて機を待ち力を溜める。

 より遠くへ、より深くへと飛び込んだレアは、一刻も早い戦の開始を願う。

 眼前の刃もそんなレアの意思に応えるように、ぎらりと光った。


 気持ちよく反り返るような飛び方をしているのはアイリだ。

 まだ剣すら抜いておらず、その様だけを見るならばまるで無邪気な妖精のようで。

 靡く金色の髪が中空に輝く尾を引いて、闇夜に金の軌跡が走る。

 この、空を楽しむ爛漫なアイリの笑みが、獣のそれへと変わっていくまで後ほんの少し。


 たなびく髪を片手で押さえながら飛ぶスティナ。

 アイリほどではないが彼女の銀の髪もまた月光には良く映える。

 決して小柄ではないスティナが風に乗って舞う姿は、古書にある精霊を彷彿とさせる。

 人の世の理にまつろわぬ、美しくも残酷な人ならざる者とは、かくの如きであろうと。


 この四人が着地した瞬間、後にこの地の名を取ってサルパウセルカの戦いと呼ばれる戦において、最も凄惨で最も多くの犠牲者を出した反乱軍本陣強襲戦が始まったのだ。






 イェルケルたち四人が敵本陣に突っ込んだ後、まず感じたことは敵の分厚さだ。

 陣形をまだ組んでいない状態でありながら、この密度というのは今までにも経験が無い。

 この密度を支えるのは、敵の旺盛な戦意だ。

 万の敵と張り合ったつい先ほどもそうだったが、敵兵士の勢いと思い切りが凄い。

 だが、この戦場の特徴はこの後である。

 戦闘が開始され、四人が暴れ始めてからかなりの時間が経つというのに、敵の勢いが一向に衰えないのだ。

 当たり前だが、一人で突っ込んで勝てないとわかった相手ならば、二人、三人と数を揃えて攻撃する。

 これを繰り返して、敵が倒せる適正な数になるまでどんどんその数を増やしていくものだ。

 それが雑兵であろうと、勝てる勝てないの計算ぐらいはするものなのだから。

 だがこの敵は、全くそういう動きが無い。

 勇猛果敢に、或いは愚直に、敵に向かって突っ込みその存在を視認するや直ちに攻撃に移る。

 これをどの兵士もどの兵士も、幾ら斬られて死んでも繰り返してくるのだ。

 いっそ気味が悪いとも思える敵兵士の戦い方だが、これはこの時この場での道理だとイェルケルたちは気付く。

 敵の小隊、中隊指揮官が機能していないのだ。

 それはひとえに夜の闇が原因だ。

 見えないのだから、指示など出しようがない。

 そしてこれは彼らの上も同様で。

 本陣指揮官はさっきからずっと、どうして敵がまだ殺せないのかがまるでわからないままなのだ。

 である以上、下した命令は撤回できず、かと言って新たな命令を下すに足る情報も無く、延々やきもきすることとなる。

 更に現場の兵士たちだ。

 敵が来たのもわかる。

 敵を殺せという命令もわかる。

 だが、敵がどれぐらい強いのかは一切不明のまま。

 それでも昼間ならば転がる死体の数で尋常ならざる事態を察することもできようが、何せ夜であり死体も闇に覆い隠されてしまう。

 なので彼らもまた、いつまでも敵が死なないことを不思議に思いながらも、きっと数が多いんだと自分を納得させる理由を勝手に見つけて突っ込んでくるのだ。

 四人が四人共休む暇も無いほど敵にたかられ続ける状態であり、疲労を蓄積させるには最も効果的なやり方であろう。

 だが、今回はアジルバの時とは違う。

 四人が揃って戦っているのだ。

 これにより一度に処理できる敵兵の数が格段に上がる。

 背後や側面を仲間に任せてしまう形を取りやすいのも大きな利点だ。

 イェルケルたちの目的は敵兵士を減らすことではなく敵将を討ち取ることであるが、ロシノの時のように敵将の位置が知れてるでもないので、こうして敵を倒しながら敵陣を進んでいくより手が無い。

 結果、夥しい数の兵士が四人の刃の下に命を散らすハメになった。

 せめても敵将がこの状況に気付くのがもう少し早ければ、これほどの被害は防げたであろうが、最初の立ち上がりが良くなかった。

 敗戦でヤケになった馬鹿が突っ込んできた。その程度の認識でしかなく、迎撃を命じてそれで終わりと将軍も幕僚も思ってしまったのだ。

 そこから、何故まだ騒いでいるとなり、何故まだ倒せてないとなり、そうなって初めて確認のために人をやるとなったのだ。

 この時点で、反乱軍側の小隊長が三人、イェルケルたちの侵攻に巻き込まれ死亡している。

 戦況を正確に把握しようと前に出たところを、予想外の進行速度に逃げ切れず踏み潰されたのだ。

 そして伝令だ。

 馬を進めれば自然と兵たちは道を空けてくれるので、ある程度の速度で走ることができ、一番賑やかな場所にはすぐに着いた。

 馬上より見下ろす形であっても、戦いがどうなっているのかよく見えない。

 そこで彼もまた前へと進み出れば今まで犠牲になった小隊長と同じ運命であったろうが、彼は軍内での地位の高さを誇るあまり、兵を軽んじる癖があった。

 見えぬのなら見えるようにすれば良い、とそこらの兵に松明を持ってアレに近寄るよう命じたのだ。

 一人が、わかりましたと松明を用意しようとすると、彼は兵士を怒鳴った。

 たった一人で何が見える、と。

 戸惑う兵士に、十人が十本の松明を付けてあの周辺を照らし出せと命じた。

 兵士たちはとても不満に思ったが、上の立場の者に逆らうほどに腹が立ったわけでもないので、我慢して従う。

 そこでようやく、イェルケルたちがこれまでやらかしてきたことが文字通り明るみに出た。

 これを見ることのできる場所に居た兵士たち全員が、そのあまりの惨状に言葉を失う。

 四人が立つこの場から後ろ、彼らが通ってきた大地には、無数の骸が転がっている。

 それも土が見えないほどに、全てが死体で埋め尽くされているのだ。

 倒れる死体の全てが、反乱軍兵士だ。

 戦闘技術もない村人ではない、武装も持たぬ寝起きでもない、孤立無援の包囲の最中でもない。

 味方が居て、優れた装備を整え、充分に訓練を積んだ兵士たちが、まるで冬を前に木々が全ての緑を失う中その足元に降り積もる枯れ葉たちのように、無造作に折り重なっているのだ。

 この惨劇を作り出した当人たちはというと、松明の火に気が付いて意外そうにする者、肩をすくめる者、微笑む者、一方を剣で差す者、といった感じである。


「あら明るい、気が利くわね。でも、それこちらが殺す速度が上がるだけじゃないかしら?」

「いい加減無策に動くのも限界なんだろうよ。しかしまあ、こうしてみると随分と殺したもんだなぁ」

「四人揃ってとなると実に戦いやすいですな。後は敵将が見つけられれば言うこと無いのですが」

「あ、だったらあそこの騎馬、あれ、追っかけるのは? 伝令の旗付けてるし、多分本陣付きのだと思う」


 四人が一斉に伝令を見る。

 イェルケルたちの会話が聞こえたわけでもないだろうが、伝令は恐れ怯えて馬首を返す。

 どうなってるか聞いてこい、という命令だが、聞くまでもなく把握できたので、彼は任務を全うしたと言えよう。

 それが終わったならば、将軍のもとに戻って報告する。実に正しい。

 だが、それもまあ、状況による、ということで。

 彼が必死の形相で馬を走らせる後ろに、悪夢の四人が走って追ってきているのだ。

 彼なりに、言い訳もあるだろう。

 こうして陣が厚い方に敵を引き付けるのは、今の伝令にできる最善の戦い方であろうと。

 その厚い陣とやらも、突破を優先した四人を防ぎ得るほどの防御力は無いのだが。

 結果、この伝令はサルパウセルカの戦いにおける、反乱軍側最大の戦犯となってしまったのだ。

 もちろん国軍側の戦犯は言うまでもないことだろう。

 伝令が必死の形相で将軍のもとに辿り着き、将軍を守る精兵の中に飛び込む。

 彼は馬から飛び降り走って報告に向かう。

 背なに追いすがる悲鳴たちから逃げるようにして。

 将軍のテントに飛び込んだ彼が、その恐ろしい惨状を伝えている間、テントの外からは怒声と絶叫と悲鳴とがひっきりなしに聞こえてくる。

 そちらを人をやって探らせつつ報告を聞いていた将軍は、結局全てを把握する前に、テントの中に飛び込んできたレアに殺された。

 狼のように素早く、低い位置を駆けテント内の全ての人間を殺して回る。

 十人居た内、剣を抜けたのはたったの三人で、それにしたところでレアに剣を振るったのではなく、防御の意味で身体の前に構えただけだ。

 全てを殺した後、レアは周囲を見渡すと、そこにちょうどいい分厚い布を見つけたので、これで切り飛ばした将軍の首を包み、テントを出る。

 テントからレアがひょこっと姿を現すと、イェルケルたち三人はとても驚いた顔をしていた。

 そしてその手に袋包みがあるのを見て、イェルケルは呆れたような声で言う。


「お前……まさか……」


 アイリは大声でムキになって喚きだした。


「こ、こらー! レア貴様! もしかしてもしかして! 一人で先に行って手柄首取ってきたのかーーーーーーーー!!」

「うん」


 とても嬉しそうに即答するレアである。

 スティナはそんなレアを見て、からからと笑い転げている。


「あっはははははは! 頼もしいわねその抜け目無さ! いいわよ! 今回は貴女に勝ちを譲るわ! お見事っ!」


 四人を取り囲む兵士たちは、その会話にぎょっとした顔をするも、まさかそう易々と大将首を取られるなぞとても信じられない。

 兵士の一人が叫ぶ。


「下らぬ虚言に惑わされるな! 我等が勇気を示す時ぞ! こんな所にまで踏み込まれたとあっては将軍に合わす顔が無い! 断じて生かして帰すな!」


 その将軍の顔ここにあるけどね、とぼそっと呟いたレアは、イェルケルに目配せでさっさと引き上げようと促す。

 もちろんイェルケルもこれに否やはない。

 ただ、一番兵が固まっている場所に突っ込んできてしまった手前、そう簡単には逃げることもできないだろう。

 反乱軍側もこの四人を止める手立ても無いわけだが。

 この集団で最も高位の責任者が失われ、周囲は暗く末端の兵士が状況を正確に把握するのが困難。

 小隊長の裁量である程度動くしかないのだが、各部隊への情報伝達も全く上手くいっていない。

 挙句相手にしているのは、戦の常識では測ることのできない、理不尽の塊第十五騎士団である。

 いっそ逃がしてしまえなんて判断も、誰一人下せぬままにひたすら被害者だけが増えていく。

 永遠に続く殺戮の宴。

 そんな中にあってスティナは、自分たちの限界が迫っていることに気付いていた。

 やはりこの騎士団で最初に引っかかるのはイェルケルとレアだ。

 両者の動きが変化し始めている。

 それまでより少ない挙動で敵を倒せるような、そんな動きに。

 思えば夜襲開始からここまでずっと戦いっぱなしである。

 途中何度か休息を挟めたとはいえ、慣れぬ夜間戦闘を繰り返してきたツケを、そろそろ払わなくてはならなくなって来ている。

 とはいえ、それでもまだイェルケルもレアも、そこらの雑兵にどうこうされるような状態でもないのだが。

 スティナは方角を確かめるべく、眼前の敵の頭を踏み台にして高く高くに飛び上がる。

 やはり暗くてよく見えないが、全周囲を見渡すと、比較的端が近い方角がわかった。

 とりあえずそちらに、なんて考えるスティナ。

 だが、このスティナの跳躍が、状況が動く切っ掛けとなったのである。



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