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無双系女騎士、なのでくっころは無い  作者: 赤木一広(和)
第二章 アジルバ市街戦
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019.不名誉退学の少女



 騎士の位を持つ者には、カレリアの法を犯す者を逮捕する権限が与えられる。

 これすなわち、罪を犯したと判断し、犯人を特定し、犯人の身柄を拘束する権利を有するということ。

 この逮捕の権限は主に官憲の役にある者が行使するものであるが、騎士にも同じ権利が与えられている。領主などの治安を維持する役に就いてない通常の貴族はこの逮捕の権利を持たぬことから、騎士は特別な役職であると言えよう。

 ただ一般的にはこの逮捕の権限は騎士、或いはその守護する高貴なる者への無礼に対する即座の処断を法的に認めるためのもので、わざわざ騎士が犯罪者を捜査し、逮捕するという話はあまり聞かない。

 一部では、官憲がいない、もしくはその役目を果たせぬ状態である時、騎士がこれを代行するといったこともあるが、その場合でもあくまで騎士はその権限をもって配下の郎党を動かすといったことが多く、自身が犯罪捜査に動くことは無い。

 犯罪者を逮捕する際相手が抵抗すればもちろん、これを討ち果たすのも許される。騎士は、犯罪者を捕えるためという名目が立つのならば、国内の領民を殺す権利を有するのだ。

 なのでイェルケルとアイリがあの場で、カレリア王国の法に反する奴隷商を幾ら殺そうとも外部から物言いが付かぬ限り法的には問題が無い。スティナが怒ったのは、二人があれらを殺したのが、そうした名分や法といった理由ではないとわかっていたからだ。それを二人もまた自覚していたため、スティナの説教は大層深く心に突き刺さるものであった。

 王都に戻ったイェルケルは、自らの屋敷を前に深く深く嘆息する。


「我ながら短絡的だったよなぁ。でも、次同じもの見たら、やっぱり我慢できる気しないしなぁ……それでも我慢しなきゃなんないってことか……はぁ、憂鬱だ」


 そうぼやいて屋敷に入ると、少し焦った様子の使用人より、宰相閣下より使いの者が来たと言われた。

 イェルケルの全身から血の気が引いた。

 先の戦の褒賞金を受け取った時、渡してくれた役人からしばらくは休みをもらえますよ、なんて言われた言葉を真に受けていたので、まさか宰相閣下から呼び出しがあるとは思っていなかったのだ。

 それはいつだと聞くと、もう三日も前のことだと言う。

 イェルケルは大慌てで王宮に向かおうとして足を止める。即座に何かがあるというのならどう考えてももう間に合わない。

 なら状況把握を先にしておいた方が良いだろう、とその使いの者について詳しく訊ねる。

 どうやら文官の方であるようで、名を聞いた後まずその方の下へ。自らの屋敷でのんびり寛いでいた文官のもとを訪ね、そこで宰相閣下の心遣いを聞いたイェルケル、感激のあまり涙目となる。

 一月はゆっくりしていてもいい、と宰相閣下からのお達しがあったと聞き、イェルケルは文官殿にもしばらくはゆっくりしているよう告げる。


「こちらのやることが終わりましたら改めて声をかけさせていただきます」

「そうですか、その時を楽しみにしております」


 二人の会見は穏やかに終わった。

 文官殿はイェルケルの目からは、慎ましやかで誠実そうに見えた。アイリやスティナの相手をさせるのは少し不安があったが、イェルケルにとっては話し易く良い関係を築けそうだと思えた。

 スティナとアイリの二人が嫌だということではなく、この文官殿のかもしだす優しい世界の気配がイェルケルの望む穏やかな日々に相応しいものであったという話。最近はこういう牧歌的な世界から随分遠ざかってしまっていたとしみじみ思うのだ。彼との会話は、ほのぼのに飢えていたイェルケルの心を癒してくれるものであった。

 宰相閣下にお礼を言いに行った方が良いかと問うと、忙しい方であるし特にその必要は無い、と言われたので、イェルケルは王都にて情報収集を始める。

 バルトサール侯爵は領地に戻っているようだ。これは下調べの通り。またバルトサール侯爵の盟友であるケネト子爵はというと、こちらは王都に。

 更にイェルケルが調べを進めると、バルトサール侯爵と仲の良い貴族の内、かなりの数が自らの領地に戻っていた。

 それが何を意味するのかイェルケルにはわからなかったが、解明する手立ても思い浮かばなかったので次の件に。

 イェルケルは王都の奴隷市場へと赴いた。

 こちらは以前訪れた時と変わらない、奴隷たちは逃げられぬよう手枷足枷をされてはいるが、粗略な扱いを受けているとは思えない。

 ただ、そうした表面的なことではない、何かが明らかにアジルバの街で見た奴隷たちとは違う気がした。それがなんなのか、わかるまでイェルケルは奴隷たちを見ていたが、彼らの表情や仕草を見続けていてようやくその理由がわかった。

 アジルバの奴隷の表情には、圧倒的な絶望があったのだ。カレリアにおいては、奴隷も当然法の庇護を受けられる。だが、アジルバで行われた奴隷狩りは明らかに違法なもの。それをアジルバの地では最も権力を持ち、権威を持ち、権限を持つ領主自らが率先して行なっているのだから、彼らの絶望もわかろう。

 領主側が法を犯していると言っても、平民では領主と法で争うなぞ考えもつかぬことだ。平民では領主どころか、騎士と争ってさえ勝てまい。身分による有利不利ももちろんあるが、それ以上に、教育といえば両親や親方から仕事の仕方を教わるといったことしか知らぬ平民が、学問を修める貴族と争ったところで勝負にはならぬのだ。

 法に守られている。そんな感覚はこの国で法制度が確立されてから百年以上の年月を経て、ようやく平民たちにも浸透するようになってきていた。なればこそ、法を超えた理不尽に、彼らは大きな絶望を抱くのだ。

 イェルケルはアジルバよりはまだマシなはずの王都の奴隷を再度眺める。

 それでも、イェルケルの胸の内には嫌なものが溜まっていくような気がする。

 そこで初めてイェルケルは自身の気持ちに気付けた。


「……そうか。私はそもそも、奴隷取引というもの自体が嫌なのだろうな」


 苦しければ泣き、嬉しければ喜ぶ、そんな人間を売買するということに嫌悪感があるのだ。

 なまじ幼い頃より自らの領地を気にかけ、領民たちと接してきたせいでそんな風に思ってしまうのだろう、とイェルケルは自分なりにそう思えてしまう理由付けをしてみる。

 兄弟姉妹の中では、イェルケルの知る限り奴隷の売買をしていた者はいなかった。やりかねない者は居たが。

 ふと、スティナとアイリはどうだったのだろうな、と思う。聞くのが、ほんの少しだけ怖い、と思った。

 少し気落ちした様子でイェルケルは自らの屋敷に戻る。屋敷に戻ってすぐ夕食を、と使用人に頼むと、彼は少し困った顔で手紙を一通差し出した。


「その、先程は言いそびれてしまったのですが、殿下宛に騎士学校のダレンス様よりお手紙が届いております」


 言いそびれた理由は、イェルケルが宰相閣下よりの使いが来たと聞いて大慌てで飛び出したせいである。

 ばつが悪そうな顔でイェルケルは手紙を受け取る。

 イェルケルが騎士学校で唯一尊敬する相手であったダレンス教官は、イェルケルに会いたいと言っていた。






 スティナの調査は基本的に他人の家に勝手に忍び込むことで行われる。

 他者との交渉は、この街ではスティナの美貌が邪魔をするのだ。下手に顔を見られれば、即座に衛兵たちに連絡が行き奴隷として引っ立てられてしまうだろう。実際にスティナ相手にそうできるかどうかはさておき、そんな動きをされたら情報収集も何もあったものではない。

 活動時間は夜に限らない。白昼堂々から忍び込むのも慣れたもので、一瞬人通りが絶えたかと思うとあっと言う間もなく目標の建物の壁面を登り屋根の上へと。人間離れした運動能力である。

 そこから音も無く部屋の中へと忍び込み、天井の板を外して天井裏へ。後はその屋敷で行われる報告なり商談なりを盗み聞く。

 既に数軒の屋敷にお邪魔をしたスティナは、そこで聞かされた話をまとめる。

 今の時期、これといって商人が忙しい時期でもないはずなのだが、訪れた屋敷全てでその主は実に忙しなく働いていた。

 商品の手配や倉庫の確認、輸送計画の進捗など、山ほどの書類と報告に塗れて四苦八苦していた。


『ちょっとちょっと、これからおしとやかに一仕事って時に、連中妙なこと始めようってんじゃないでしょうね』


 最初にわかったのは日時だ。十日後。何かこの街で行う予定らしい。

 次にわかったのが公になっている予定。閲兵式があるらしい。

 そして幸運な出来事が判明する。領主、オスカリ・バルトサール侯爵、通称豚は、閲兵式に参加するため当分の間この街に居るということ。

 更に不運なこともわかる。閲兵式を行うために現在この街には千人の兵士が集まっている。


『(淑女が口にしてはいけない類の罵詈雑言)…………でも、おかしいわね。閲兵式? それも地方都市で? 誰に見せるのよそんなもの。それに騎士団でもない一領主の私兵に千人?』


 色々と意味がわからない。まだ情報が足りないせいか、と他に数軒の有力商人の下を調べたが、これ以上の目新しい情報は無かった。

 仕方が無いのでスティナは隠れ家へと戻る。

 夜になるととある屋敷に忍び込んでいたアイリが戻ってきた。彼女が忍び込んだ屋敷は隙があまりなく、忍び込んだり抜け出したりできる時間が極めて限られている。

 なので基本は忍び込みっぱなしで、その抜け出せる時間にスティナの下に戻って報告し、再び忍び込むといったことを行うのだ。

 場所は役所、アジルバの街の政務を執り行う所。なのでここで入手できる情報は特に価値のあるものである。

 丸一日忍び込んだ先で隠れっぱなしだったアイリは非常に不愉快そうな顔で、肩や足首をこきこきとならしていた。


「……スティナ。とりあえず今日の報告分だ」


 そう言ってアイリが告げたのは、先程スティナが調べた閲兵式に関するものだった。

 千人の兵士が街の正門から入り中央通りを抜けアジルバの街中央部にある役所前のT字路へ向かい、そこで役所にいる職員全員が敬礼して出迎え式典が行われる。

 しかる後、T字路を右に曲がって東門より街を抜ける、といったルートで移動するらしい。何故か閲兵式なのに、閲兵する相手であろうこの街で最も高位にあるオスカリ・バルトサール侯爵は騎乗して兵たちと共に進むらしい。

 また閲兵式の後も部隊はどこかへ向かうつもりなのか、糧食とこれを運搬するための荷馬車の用意もされていた。


「糧食の量までわかればどこまで行くつもりなのか見当もつきそうだったが、さすがに声を聞くだけでは量はわからん。もしかしたら領内に反乱の気配でもあるのかもしれんな。であるのなら鎮圧、もしくは威圧のための軍事行動と考えれば納得は行く」


 スティナはアイリの意見に首を傾げる。


「完全武装の兵士千人って、領民全員蜂起でも想定してるの? そこまでされても仕方ないよーな真似はしてるけど、ココがそーなのは前からだし今更でしょーに」

「そこまで私が知るものか。それよりどうする? 力押しをするには千人は……できぬとは言わんが、さすがにどうかと思うぞ」

「あー、もう、面倒よねえ。なんだってあの豚が行軍に付き合うのか知らないけど、とりあえずその閲兵式が終わるまでは待った方が良さそうね」

「……なあ、スティナ。一つ言っていいか?」

「何よ?」

「やる意味のわからん閲兵式といい、糧食を用意していることといい、どーにも嫌な予感がしてならんのだが」

「どの道、今色々判断するにはまだまだ情報が足りてないんじゃない? というわけで、アンタはさっさと役所に戻りなさい」

「ぐぐっ……わかった。時に、私とスティナで役割の交代というのは……」

「無理。とりあえず一週間ぐらいはやってもらうから、そのつもりでいなさい」

「鬼、悪魔、外道、スティナ」

「はいはい、文句はもー少し溜めてからね。キツイのは四日目辺りからなんだから」

「うがー、スティナのアホー」


 文句を言いながらもアイリは再び役所へ向かっていった。

 残されたスティナは、隠れ家のふかふかベッドに横になる。

 最重要調査先は初日の今日回り終えた。

 今の段階で、おおざっぱな情報はほぼ入手できているとスティナは考える。後は細かな数字の確認とガセの洗い出しだ。

 詳しい者に直接問い質す、それができれば一番楽だ。嘘がつけないようにものを聞くのもそれほど難しいことではない。

 ただ、聞く相手が問題だ。

 各種事情に通じていながら、いきなりいなくなっても数日間ぐらいは誰も不審に思わないような、そんな人物が理想であろう。

 更に一番大事な条件がある。スティナが無理やり聞き出すことになっても、心が全く痛まない相手であること、だ。






 イェルケルが訊ねた家は、イェルケルが思っていたよりずっと質素な建物であった。

 そこらの中堅商人の方がよほど良い家に住んでいる。相手は貴族でかつ、国中にその名を轟かせる人物だ。イェルケルは当然屋敷を想像していたのだが、これはどう見ても家でしかなかろう。

 本当にここでいいのか、そんな疑問からおそるおそる呼び鈴を鳴らすと、中年の眉間に強く皺の寄っている女が出てきた。

 訪問の目的を告げると、女は家の中へとイェルケルを通す。客間で待たされること五分。この家の主、騎士学校教官にして、カレリア最強騎士ダレンスが現れた。

 簡単に挨拶を交わすと、イェルケルはすぐに本題を促す。こうした拙速さはあまり貴族らしからぬが、ダレンスもまた無駄口の好きな男ではないので、即座にイェルケルに応じる。


「騎士学校を退学した者がいます。彼女を、殿下の騎士団で引き取ってはもらえないでしょうか」


 少し驚いた顔を見せるイェルケル。

 騎士団設立の準備をしていた際、手配の手伝いをしてくれた宰相アンセルミの側近ヴァリオが、騎士団を設立したらきっと騎士として招いてほしいという話が山ほど来るだろうと言っていた。

 騎士団設立の手続きが終わるなりすぐにイェルケルたちはアジルバの街に向かってしまったため、そういった話はまだ来ていなかったのだが、まさか一人目がダレンスからの推薦とは。

 ヴァリオから話を聞く限りでは、そうして自らを売り込みに来る騎士の大半はロクでもないものだろうと、それはしっかりとした紹介状があったとしてもだ。だからこそイェルケルは、尊敬するダレンスからそういった話が来たことに驚いたのだ。

 ダレンスは自ら政治に関わろうとはしない。あくまで自分は剣のみを考えて生きる、というスタンスを崩さない。故にこそこれまで貴族間の争い事に巻き込まれることもなかったのだが、こうした紹介という行為はいわゆる貴族的な貸し借りといったものに繋がってしまう。

 イェルケルはそんなダレンスらしからぬ話に、怪訝そうな顔を隠さぬまま問い返す。


「何故、教官が?」

「他に居ないからです殿下。彼女は優れた剣の才能を持っています。故に学校で疎まれ、入学して一年足らずで学校を去ることになりました」


 彼女、という部分に一番大きく眉根をしかめたイェルケルであったが、今つっこむべきはそこではない。女騎士など今更なのだ。


「私と似た境遇であったと? しかし、辞めてしまったというのは……」

「レア・マルヤーナ、騎士学校の正式記録では不名誉退学となっております」


 不名誉退学というのは、騎士にあるまじき行為を行なったせいで騎士学校を退学になるという、最も厳しい処分である。騎士学校の生徒は皆貴族であるし、こんな処分は滅多なことで下ることは無い。

 ダレンスの説明によると、そのレア・マルヤーナという女生徒は、女性用宿舎にある自らの部屋に男の同級生を誘いこみ、剣技試験の時の手加減を求めいかがわしい取引を持ちかけたというものだ。

 すぐに、イェルケルはダレンスの言葉の矛盾に気付いた。


「教官が言う程才がある者が、どうしてそのような取引をするのですか? その相手はよほどの腕なのですか?」


 ダレンスが認めるほどの才があるのなら、取引を持ちかけるまでもなく自分の望む成績を得られよう。


「……彼女なら、片手片足でも勝てる相手です」


 それで概ね察した。深く嘆息するイェルケルにダレンスは淡々と続ける。

 レアの剣の腕は誰しもが認めるもので、これを訴え出た男子生徒の言は信じるに足るものではなかったのだが、同級生ほぼ全てがレアに不利な証言を告げ、更にこれに一部の教官までが加わったため、レアは絶望して自ら学校を辞したそうな。

 ダレンスは疲れた顔で、あの時の彼女の顔は忘れられませんよ、と溢した。


「そうですか……ん? 自分で去ったのですか? なら……」

「彼女が去ってから、後付けで不名誉退学の処分が下されました」


 こめかみを押さえながらイェルケル。


「……彼女の実家はなんと?」

「相手が侯爵家ではいかんともしがたかったのでしょう。彼女に家名を残すのが精一杯でした」


 ここまで聞いて、イェルケルはもうこれでもかというぐらいレアという娘に同情していたのだが、自分が同じ目に遭ったからこそわかることがある。

 イェルケルはこれを確認しなければならない。


「そこまでの目に遭ったのなら、彼女の人となりは大きく歪んでしまっているのでは?」


 返ってきたダレンスの沈鬱な表情が、答えであった。

 イェルケルは自分の考えを確認しながらゆっくりと答える。


「私の騎士団は構成員が少し特殊でして、正直なところを申しますと新しい団員を入れるつもりはあまりないのです。ただ、事情は理解できましたし、ダレンス教官からの頼みとあれば一度会うことは構いません。ですが、それが確実に騎士団入団に繋がるかどうかはお約束しかねます」

「せめても彼女の剣の腕だけでも見てくださるのなら、それ以上のことは望みません。どうぞよろしくお願いいたします」


 サルナーレの戦いの説明を宰相閣下の前でした時、ダレンスはイェルケルたちの味方をしてくれたのだ。

 この恩を返す絶好の機会、とも思うのだが、イェルケルの第十五騎士団は一緒に活動するのがスティナとアイリで、活動内容もその二人に合わせたものになる。

 そんな所に普通の騎士なんて入れられるわけもなく。

 条件だけを聞くのなら、女で、ダレンス教官に認められるぐらい剣の腕が立ち、ついでに最初から貴族に恨まれてるのでイェルケルの所に来ても今更である、と第十五騎士団の現状にそこそこハマってるようにも思える。第十五騎士団以外の騎士団はかなり難しいのではとも。

 ふと、イェルケルは聞き忘れたことをダレンスに問うた。


「そうだ教官、そのレア・マルヤーナを陥れた貴族というのは……」

「バルトサール家の長男、オホト・バルトサールです」


 そこまでわかっててイェルケルに頼んだのか、と苦笑する。

 確かに、バルトサール侯爵とイェルケルとは因縁があり、彼に恨まれるのも今更なのであった。


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