Grim Reaper advent ―死神降臨―
ブクマ登録してくださった方がいつの間にか5人も!!
ありがとうございます、ありがとうございます!!
登録してくださった方が目の前にいたら、飴ちゃん配ってますね。ええ。割烹着のポッケから出して。
「あ、急に眠気が! すみませんが、先に休ませてもらいますね」
そう言って、フラフラとしている演技をしながら部屋に戻る。
寝たふりを続け、黒服が部屋から退出した頃合いを見て、全員で起き上がる。
いや、残念ながらゴロだけは、打ち合わせを全く聞いていなかったようで、睡眠薬入りのごちそうを食べて、ぷすす~、ぷすす~、と寝息を立ててガン寝中。
そんなゴロを危険な場所に連れて行くとこはできないので、そこいらに元々置いてあった箱の中に隠した。
こっそりと窓を開け、村長宅から脱出する。
門番は、声を出される前に殺した。
そのうち交代に来た者に気付かれるだろう。これからは時間との勝負だ。
裏道を駆け抜け、ひたすらに村長が『家畜のトイレ』と言っていた大きな建物に向かった。
こういう時に、前の世界での知識が役に立つのだ。
家畜のトイレ、という事は、恐らくあそこは兵器工場だ。
排泄物から火薬の材料を作ることができる、と、私は知っている(ソースは漫画)。
王都に隠れて火薬を作るという事は、きっと兵器の開発をしているのだろう。
何のために?
テロだ。それしか考えられない。
建物を巡回していた守衛達を、次々と屠る。
誰も逃がさない。皆殺しだ。
建物自体、窓には鉄柵がはめ込まれ、出口が一つしか無い事が私達にも好都合だった。
機密性を高めるためだろうが、墓穴を掘ったようだ。
あ、先程から何のためらいも無く殺しまくっているのは、「後でみんな蘇生すりゃいいんでしょ」というお気楽な考えによるものです。
下手に生かしておいて暴れられたり逃げられたりしても面倒臭いからね。
村長のくれた武器は性能が良かった。
何十人も斬り殺し、攻撃を受けても大してダメージの無いまま、私達は最深部へと辿り着く事ができた。これで武器、防具の性能チェックもバッチリ☆
最深部は、巨大な部屋だった。
「やはり! 思った通りだ!」
「くそ、なんてひどい事を!」
そう、私の思った通り、その部屋には糞尿の臭いが充満していた。
そして、いくつもの檻に、様々な種族の男達と、子供(これも全て男)が囚われていた。
・・・・・・あれ? 火薬は?
せっかく助け出したというのに、怯えまくって部屋の隅に固まる彼らからなんとか話を聞いてみると、全員、それぞれの村をちょっと出た時や旅行中などに、野盗に襲われ、奴隷として売られるところだったと言う。
その野盗の総元締めがこの村の村長だったのだ。
あの村長、いっぱい物をくれたので、もしかしたらいい人なのかもしれない、と内心ちょっとだけ思っていた自分が恥ずかしい。
「そういう悪者に天罰って当たらないの?」
「ワシらの神、イシュトルメヌル様が天罰をお下しになられるのは、あくまでも女性に対して悪い行いをした男にだけじゃ。男に対してはどんなひどい事をしても天罰は下らんのじゃ」
「人身売買、ってか、奴隷って、禁止されてるのよね?」
「もちろんじゃ。じゃが、魔王の国では、普通に奴隷が売買されておると聞き及びますの。恐らく取引先は魔都じゃろうな。ここの村長は、魔都の奴隷証人と通じておったのじゃろう」
オーヴェの話からすると、ここの神ってのは女が悪事を働いても罰する事も無いらしい。
「やっぱ天国じゃないですか!」
きっとこの世界の神は、よっぽどの女好きか、男嫌いか、本人が女なのか、もしくはその全てなのだと思う。
オーヴェに、イシュトルメヌルは女神なのか聞いてみたら神に性別は無い、と言う。
性別は無いけれど、女好きで男嫌いなのだ。きっと。
とりあえず死体を集め、全員檻にぶち込んでから鍵を掛け、蘇生する。
奴隷にされそうだった人達をぞろぞろと引き連れて村長宅へ戻り、警備兵から使用人まで、奴隷売買に関わっているかどうかも調べずにとりあえず皆殺しにした。
村長は私が殺した。女だから、私が手にかけるしか無かった。
死体を荷車に乗せ、奴隷監禁場所の牢まで運ぶ。何往復かしてまとめて蘇生させたが、村長からもらった魔力回復ポーションが役に立った。
捕えられていた人達に、村長の家と、村長の食糧庫を解放した。
ザカライアが伝書鳩(!)で王都に事の顛末を伝え、その後の処置は女王に任せる事にする。面倒臭い事はなるべくしたくない。
王都から兵士達がここに辿り着くまでに何日かかるのかはわからない。
私達は徒歩で途中でレベリングやクエストもこなしたので、結構な日数がかかったが、まっすぐ、普通に歩いても10日くらいかかるだろう。
馬に乗ったり、足が早くなる魔法を掛けたり、あるいは転移魔法なんかもあるかもしれない。
もしそれまでに餓死してしまう者が居ても、王都にはクレリックも居るから大丈夫だろう。
他に協力者が居て、彼らを逃がしてしまったとしても、それは私の与り知る所では無い。
指名手配なりなんなりされるだけの話だろう。
翌朝、眠ったままのゴロを箱から出し、捕えられていた人達に、しばらくしたら王都から助けが来るはずだと伝えて、村を出た。
もちろん、村長が用意してくれた馬車で!
村長が用意してくれた、色々と荷物を積み込んだ馬車2台で!
「いやぁ、しかし拙者等もついにレッドネームでござるか。これでは次の村に入る事もできぬでござるな」
・・・・・・え?