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a scheme ―悪だくみ―

 つけられている。

 村長の家に案内され、荷物を置いてから全員で商店街を見に来た。

 気付いたのは、武器屋に入った時だ。

 他に客の居ない武器屋が、自分たちが入った後、それに続いて入って来る男たちで大盛況になった。

 全員が同じ黒ずくめの格好をしている。

 平和な日本で育った脳内花畑の私は、それでも最初は気のせいかと思った。

 店を出ると、そいつらはぞろぞろとついて来た。

 防具屋に入ると、やはりそいつらも入って来る。

 露店を冷やかしていると、その後ろで立ち止まり、下手な口笛なんか吹きながら顔を逸らしているけれど、目だけはこちらを見ている。

 てか、10人くらいで口笛を吹いているのでうるさい。

 試しにゴロを抱えて突然走ってみた。


「死神様、いかがなさいました」


 パーティーメンバーも走って追いかけて来たが、その後ろから黒服達も追いかけて来た。


「尾行下手かよっ!」


 立ち止まり振り向いて怒鳴ると、数名は目を逸らし、またヘタクソな口笛を吹き、数名は言い訳をした。


「いや、俺はちょっと急に走りたくなっただけだ」

「偶然ですよ、偶然」



「俺達、つけられていたんですね。気付きませんでした」と言ったのは、諜報のプロという売り込みのザカライア。

 多分こいつもこのレベルなのだろう。


 どうやら敵意は無いようだが、なぜ私達が尾行されているのか。

 いくら脳筋でお花畑な私でも、原因はわかる。

 私のピンク色の脳細胞にかかればこんなものよ。

 なぜかえっちな感じに聞こえる。色の指定を間違えたかもしれない。桃色? 肌色? ・・・・・・なぜだろう。卑猥な感じが隠せない。


 とにかく! こいつらはみんな黒い服を着ている。こんな真昼間に、そんな目立つ格好をする理由は一つしか無い。

 そう、彼らは『M.I.B(メン・イン・ブラック)

 私達は、どこかで宇宙人に関する秘密に触れてしまっ・・・・・・

「死神様、どうやら村長の手の者のようですね。恐らく、私達に見られるとまずい事があり、そこに近付かないように監視されているのでしょう」


「わかってるわよっ!」


 思考を中断され、つい進言してきたヨルマを殴ってしまった。

 瀕死のヨルマにヒールを掛けて、とりあえず村長の家に戻る。



「あらあらあらあら、皆様、お早いお帰りで。あれですか? あれですわよね? やはりすぐに出発する事になさったんですわよね。残念ですわ~。あ、もう馬車の用意はしてあります。皆様の荷物もそちらに既に積み込ませていただきましたわ!」


「いえ、やはりこれほど栄えている村ですと、武器や防具も良いものが置いてありますね。ですが、購入するにはお金が足りませんので、しばらく滞在させていただいて、近隣の魔物退治でお金を稼ごうと思います」


 村長に応えたのはヨルマ。参謀だけあってさすがに頭がいい。


 数分後、この村で一番いい武器と防具が全員分届けられた。


「いえいえ、いいんですの、いいんですのよ、これくらい。女王様の命を受けた勇者様御一行ですもの、あたくし共といたしましてもね、協力は惜しみませんわ。さあほら、早く次の村へ!」


「あ、でも、私、塩とか香辛料とか欲しい。やっぱ高いよね、香辛料」


 塩と香辛料も届けられた。


「僕もね、猫じゃらしとか欲しいにゃ」

「拙者は肉ですな。日持ちする干し肉がもっとあれば」

「ワシはポーションが欲しいのう。HP回復とかMP回復とか解毒とか麻痺解除とかのう」

「あ、私もやっぱり、シャンプー、は無いだろうから、石鹸をたくさんと、あと、着替えとかも何着か欲しい。ドレスとかも着てみたい。あと、ヘアブラシとか、身だしなみ整えるものも欲しいな」


 言いたい放題言ってみると、全て届けられた。


 村長は目を血走らせながらも「こ、これで次の村へ行けますわね?」と言って来た。


「素晴らしいものを、ありがとうございます。早速武器や防具の性能を試してみたいと思いますので、しばらくこちらに滞在させて頂きますね」


 にっこりと笑いながらヨルマが言うと、村長はギリギリと奥歯を噛みしめながら引きつった笑顔を返してきた。



 村長が用意してくれた部屋(大部屋で全員で雑魚寝だ)に戻ると、黒服の男達が数名。


「あれ? あなた達、さっき私達を尾行してた・・・・・・」


「い、いえ、何の事やらさっぱり。我々はこの家のメイドでございます」


 そう言って、全員でまたヘタクソな口笛を吹き始める。間違いない。こいつらだ。

 黒服はメイド服だったらしい。


「さて、私は着替えたいので、出て行ってもらえますか? 着替えは私の(しもべ)に手伝わせますので。覗いたら神の裁きの雷を食らわせますよ」

 

 人払いに成功し、黒服達を追い出して扉を閉めて振り返ると、ゴロ以外が全員青っ洟(あおっぱな)を垂らしている。

 青っ洟って初めて見た。

 と思ったら、どうやら鼻血だったらしい。


 これからどうするか、どう動くかを打ち合わせした。


「死神様、着替えはよろしいのですか?」というヨルマの言葉は無視。

 ついでに、戻ってきた黒服達の「お着替えは?」という言葉にも、同じ服を7着持って歩いていると言う事にした。


 晩餐には大層豪華な食事が出たが、ザカライアが毒物検知のスキルを持っていて、睡眠薬が入っているものは避ける事ができた。

 むしろ、積極的に口にしたようなフリをしたり、コッソリと村長のものと取り替えた。


 作戦決行は今夜。

ブクマ登録してくれてなかった薄情な兄wから、文章が尻切れだという指摘が入り、思考中断された表現のつもりだったのだけれど確かにそんなんわかるの書いた私くらいだな、と思い、・・・を追加!w

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