quest-1-2 ―武器入手クエスト1-2―
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翌朝、目覚めると、珍しく誰も死んでいなかった。
気配に敏感なシロさんが、敵が来る度に起きて倒してくれていたらしい。
そのせいで、シロさんがなかなか起きてくれない。
「クレリック殿! 拙者、採掘のスキルが上がりましたぞ! 今日は必ずやメイスの材料を集めて見せるでござる!」
「私もです! そしてクレリック殿のパワーレベリングのおかげで、レベルもガンガン上がっております!」
ポンコツどもが褒めてもらいたそうに何か言って来たが、相手にしない。
こいつらがもう少ししっかりしていてくれれば、シロさんにこんなに負担を掛けなくて済むのに。
そっとシロさんの喉に手を伸ばす。
あごの下を撫でると、シロさんは眠りながらもゴロゴロと言ってくれた。
―――至福。
ヒネクがシロさんをお姫様抱っこして、今日もまた洞窟へと潜入した。
シロさんを連れてきたのは、洞窟の外でも危険だからだ。シロさんは私が守る!
昨日以上に頑張った。シロさんを守るために。
そして、シロさんをゆっくり休ませるために。
ポンコツどもの言葉に嘘は無かったようで、鉄のメイスの材料はその日のうちに揃った。
夕方、シロさんが目を覚まし、申し訳なさそうに謝って来た。
シロさんは悪くない。ポンコツどもが悪いのだ。
さすがに疲れてしまい、早々に寝てしまった。
翌朝、残るはフォレストスパイダーの糸だが、ここでシロさんがポンコツどもに提案する。
「あなた達も、レベルは上がったでしょうが、戦闘スキルを鍛えなければいけません。スパイダーはあなた達が倒してください。もちろん、支援はします」
森の中へと場所を移し、スパイダー生息地を探す。
蜘蛛の巣がかかっている個所を探すだけなので、すぐに見つかった。
全員に防御魔法を掛け、体力活性魔法を掛け、あとは見守るだけだ。
シロさんがきれいな声で歌い始める。
聴いたことも無い美しいメロディーだが、歌詞は全部「にゃ~にゃ~にゃ~」だった。
シロさんの歌声の心地良さに思わず眠ってしまったが、シロさんの歌には『体力回復の歌』というのもあって、私は起こされる事も無く、シロさんの膝枕で眠り続けた。
目覚めてから謝ると、シロさんは目を細めて「昨日のお返しですよ」と言う。
「クレリック殿! オイラ、爆裂拳を覚えました!」
「拙者はジャイアントスマッシュを!」
「僕は・・・・・・」
「私は・・・・・・」
「俺も・・・・・・」
「ワシは・・・・・・」
外野が騒いでいたが、私にはもうシロさんの歌声しか聞こえなかった。
材料が揃い、全員で村に戻って鍛冶屋へと赴いた。
余剰分の材料も全て鍛冶屋に渡すと、ドワーフのオヤジが喜んで、オマケで皮の盾まで作ってくれると言う。
私の装備が完成するまでの3日間、夜は村長宅に泊まり、日中はレベリングのために近隣の魔物を倒しまくった。
驚いた事に、シロさんは戦闘に加わらなかったにもかかわらず、全体の戦力が底上げされていた。
シロさんの歌のおかげもあるかもしれないが、みんなそこそこ強くなっているらしい。
ステータスはまだ見ていない。
そんなものを見るくらいなら、シロさんを見ていたかったから。
3日後、鍛冶屋から装備一式を受け取り、装備してから、オーガとやらが住んでいる集落へと向かった。
シロさんが緊張している。
恐らく、今までのような弱い敵では無いのだろう。
そもそも、弱ければシロさんが一人ででも倒せただろう。
私も気を引き締めた。