役割分担
「とりあえず。外に出てった何かはアルノイドの奴に任せておいて私達は地下探検しようってわけ」
ロシュカは人差し指をピンと立てる。
「なるほど」
キサラギは納得し手をうち、続けて。
「ま、キサラギちゃんはお姉さまと一緒にいれるだけで何処までもでも付き合いますけど」
そう言って彼女はニシシと笑った。
しかし、ロシュカは視線を合わせず気まずそうに。
「……ははは。悪いけどサラにはここで見張りを頼もうと思って呼び出したんだ」
「…………」
キサラギの顔が一瞬真顔になるもののすぐにいつもの天真爛漫な笑顔がもどる。
「気をとりなおして早速いきましょーお姉さまは先に後ろはキサラギちゃんに任せてください!!」
「だから、サラ。あんたは留守番だって」
キサラギはぽかんと口を開け、みるみる表情が変わってゆく。
「にゃんでですかー!!やだやだ絶対一緒に行く!!なんで留守番なんてキサラギちゃんじゃなくたっていいようなことを!!」
腰にしがみつくキサラギはなかなか離れない。
「離しなさい!これはサラにしかできないことなのよ!!」
「やだやだやだやだ」
「とりあえず話を聞いて!」
キサラギの両肩を強く抑えつける。如何にも真面目な話をすると言わんばかりのロシュカにキサラギは思わずたじろいだ。
「サラには適当な亡者を操って私と同行させるように指示してもらう。そして見張り兼、脱出の手段としてアンタには外で待機していてほしいの」
「その理屈はわかるけど……。でも、それってレジュちゃん達に見張らせてキサラギちゃんが同行しても問題はないと思いますが!」
「はぁ……物分かりが悪いね。じゃあもしこの先、通信手段が閉ざされたらどうするの。仮に私のこの通信機もアルノイドが街全体に引いた回線を使っているけど、この先で連絡が取れる確証はないでしょう?」
「ふむ……一理あるけど」
「あと……は。これ、わかるよね?」
ロシュカは右手首から身につけていたブレスレットを外してキサラギの前へ突き出す。
「この前、サラが外の世界から拾ってきたっていってたブレスレット。可愛いなーと思ってつけてたけど」
ブレスレットの横に浮遊しているユニットの一つが折りたたみのように二つに割れその断面から小さな炎が灯る。
おもむろに炎を近づけると「キィキィ」と鳴き出し火から逃げるように変型した。
「これ、まさか小型の亡者だったなんてねぇ……。アルノイドに見せたら正体不明の信号を発信してるって話じゃない。これでいつでも私の場所がわかるんだよね?ストーカーさん?」
突然バレてしまった自分の悪行にキサラギは目を泳がせる。
「……ち……ちがうの。偶然。そう、偶然よ!!お姉さまに渡した後に発信機的な機能に気づいたのです!」
「いいの。いいの。私、怒ってないから」
軽蔑の眼差しでキサラギを見下す。
「痛い!視線が!痛い!やめてくださいお姉さま!!ちょっと魔が差しただけですよぉ」
ロシュカはキサラギの謝罪にため息をつく。
「白状するのが遅いのよ。とりあえず、これでも私の言うことが聞けないなんて言わないわよね」
「うぐぐ……」
歯を噛みしめるキサラギ。
「途中に何かあればサラが操ってる亡者を殺して合図するから交信が途絶えたらその発信機を頼りにいつもの次元移動で和声して頂戴」
ロシュカの策にキサラギは納得するも、煮え切らない表情を浮かべる。
「お姉さまがそこまで言うのなら……しかたない。条件を飲みましょう。でも、最後に一つだけ。レジュちゃん達はキサラギちゃんの兄弟みたいなもので。まあ、全然面識もないのですが無意味に殺されても複雑なので、何かあればそのブレスレットに話しかけてください。実は声も聞こえるので」
「本当にただのストーカーだな……」