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チープなおいしさ

作者: 木村海斗

 こんな安っぽいメールは、見たことが無い。件名を見て真っ先にそう思った。

「このメールを三か月以内に30人に回せ。さもなければ、お前が死ぬ。」

 ただでさえ、奇妙且つ不可思議な存在であるチェーンメールだが、一か月に30人という焦る程の難易度でもなければ、「お前が死ぬ」などという子供染み強迫文は、不気味というよりかは陳腐さを表していた。

 不思議とこのメールは無視しても、大丈夫だろうという謎の安心感があった。


 最初にあのメールが来てから一週間経ち、JRでの帰宅中の事だった。

 唐突にスマートフォンから着信音が鳴り、眠りかけていた脳を働かせつつ、手に取る。と、鞄の中から取り出したところである事を思い出す。

「確か、マナーモード……。やっぱりだ」JRに乗る時にマナーモードにしていたはずで、やはり今もマナーモードだった。

 きっと、寝ぼけていたのだろう。そう思ったのだが、四角く薄い現代科学の集大成には私をあざ笑うかのように、「11:30 新着メール 一件」の文字が浮き出ていた。

 そして、懐かしさすら覚えるあのメールの続きだった。

「このメールを三週間以内に30人に回せ。さもなければ、お前が死ぬ。」


 それからの数日間、毎日カウントダウンのように来るようになった。いつも、帰宅中の同じ時刻。

 いつしか、あのメールは仕事に疲れた私をあざ笑う迷惑メールでは無く、のり過ごさないための眠気覚ましといつも通りの日常を確かめる日常の一環となっていた。


「お客さん、終点です」

 突如、肩を叩かれ脳の休憩を強制的に終了される。

 駅の看板と腕時計を見て、現状を理解した私はJRから降りることも忘れて、真っ先に鞄の中のスマートフォンを探す。

「そんな……」画面を点け、いつもの文字がない事に驚きと不安の声を漏らす。

 何故、届いていないんだ。

 終着駅まで着いてしまった事への怒りも勿論あった。だが、メールが届いていないことへの喪失勘が何処かにあったことも、また事実だった。

 そして、この時私の脳は急に冷めた。

 今までが異常である事にやっと気付けたのは、メールが届いてから丁度二か月と30日だった。

 愛着すら湧いていた。この陳腐さを見れば心が休まる程だった。

 何故だか、思い出して全身に嫌な汗が出てくる。

 その時だった。

 突然、メールの着信音が鳴る。

 暗い画面に引きつった自分の顔が映る。

 恐る恐る電源のボタンに指を置き、そっと押す。

 一瞬で点いた「12:01」の下には、「時間切れ」の文字。

 迫り来るJRの轟音。

 その時、何かが私の足元を掬った。

あらすじで言うか迷ったのですが、最後に謝ります。

この物語は完全に暇潰しに書いたので、クオリティがかなり低いです。申し訳ありません。

書くきっかけは「チェーンメールをお題に書いて」という友達の一言で、二時間でプロット無しで考えたので、本当に酷いです。

最初から最後まで、ぐだぐだだったと思います。

こんな酷い作品を読んで下さった方、本当にありがとうございます。

タイトルの「チープなおいしさ」ですが、カップラーメンやファストフードなどの何とも言えない身体に悪そうな、あのジャンク且つ不健康な旨みを表現したかったのですが、特に良い単語が浮びませんでした……。

工場で大量生産されているあの味の様に陳腐かもしれないが、気が付くと心惹かれるもの。

きっと、この男はチェーンメールにチープなおいしさを感じたのでしょう。

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