~93~
シスターに庭に案内してもらい、その後は子供たちを庭に集めるようお願いした。
「さて、ここで食べる用意をするのだけど・・・。」
「机がないわね・・・。どうしましょう?」
「できないこともないんだけど・・・。う~ん・・・。皆内緒にしてくれる?」
「どういうことですの?」
「約束だけしてくれたらいいよ。じゃあちゃっちゃと終わらせよう。」
そういうとリュシオルは座って瞑想し始めた。
「何を始めるの?」
「わからないな。いったい何をしようとしているのか・・・。」
瞑想を始めてすぐに変化は起こった。
何もなかった庭の一角に土で作られた机が現れた。
他にも焼くための竈も作られ、設備のいい庭が出来た。
「え・・・え?どういうことだ?」
「何が起こったのですの?!」
「こういうこと。これは錬金術で作ったものさ。触ってみて?」
皆気になり触りに行く。
「この肌触りは石?それにしても精巧な作りね・・・。」
「土も固まれば石になるからね。この方が潰れにくいでしょ?」
「だけど、これなら頭を打ったりしたら・・・。」
「そうだね。ここは丸くしてっと・・・。」
指摘されたところを錬金術で直していく。
「錬金術ってそんなに便利なものでしたっけ?」
「これが出来るようになろうと思ったら、いっぱい本を読んで知識を詰め込まないといけないと思うよ?」
それとなりにはぐらかしながら、突っ込まれないようにした。
元々これは地球に居た時の知識をミックスしているので、教えようがないのだ。
「じゃあ、調理に取り掛かろうか。」
「そうね。野菜とか材料を出して?」
リュシオルはテーブルの上に材料を広げた。
「鍋とかどうするの?」
「すいません!これを使ってください!」
シスターが走って鍋を持ってきてくれた。
「お待たせしまし・・・え?」
目の前で広がっている光景を見てびっくりしていた。
それもそうである。
いきなり机と竈が出来ているのだから。
「これは気にしないでください。土で作ったものですから。」
「でも・・・これって・・・。」
「気にしないでください。リュシオル様がちゃっちゃと作ってしまった簡単なものですから。」
「はぁ・・・わかりました。」
ルーチェも言ってきたので、シスターは納得することにした。
「じゃあ、分かれて作ろうか?」
「私たちは、スープを作りますわ。」
「俺は火をおこして調理できる用意をするぜ。」
「私は何をしたらいいだろうか?」
女の子たちはスープを担当して、リンブルは火をおこしてくれるという。
プワソンは手持ち無沙汰なのでリュシオルの手伝いをすることになった。
「まずはソースを作るか・・・。アイテムボックスになんか入れてあったな。」
アイテムボックスから銀のボールを取り出した。
「それは綺麗な器だな・・・。」
あまりの綺麗な輝きにプワソンは感嘆していた。
「磨いたり凹凸が少ないと綺麗に輝くんだ。まずは醤と蜂蜜を入れて混ぜる。リンブル~火はできたか?」
「出来たぜ?使うのか?」
「あぁ。じゃあこの鍋に酒を入れて酒気を飛ばしてくれ。」
リンブルにお願いをし、醤と蜂蜜の分量を見る。
味見をしてこれぐらいかと思った割合で合わせた。
「これはたくさんあっても困らないから少し多めでもいいか。プワソン!これも入れて少し煮詰めてくれ。」
「わかった。」
ソースを任せて、ラビの肉の処理を始める。
食べやすい大きさにカットしていく。
「リュシオルこんなものでいいか?」
リンブルのソースが出来たみたいなので見に行く。
「どうだ?」
「うん。出来ているね。鍋ごとでいいから冷やしてくれるかい?」
「水につけたらいいのか?」
「そうだね。氷があれば最高だけど・・・。あ・・・作っとくから水に入れて使って?」
大きな桶を用意し、ウォーターボールで水を入れ、氷を浮かべた。
「これなら早く冷えそうだ。」
「混ぜながら冷やしといてね?」
ソースを冷やしている間にもっとラビの肉を切っていく。
「そういえば、パンはどうするんだ?」
「あ・・・買い忘れてたな。リンブル走って買ってきてくれないか?」
「持てるだけでいいんだな?」
「「「「じゃあ僕たちもお手伝いする~」」」」
子供たちが集合し、お手伝いを志願してくれた。
「ならお願いしてもいいかな?」
「「「「がんばる!」」」」
「じゃあ、リンブルこのお金で買えるだけ買ってきてくれ。」
リンブルにお金を手渡し、買い物を頼んだ。
「ソースが冷えた。これでいいだろうか?」
「十分だよ。じゃあ焼いていこうか。」
アイテムボックスから鉄板を取り出し、肉を焼いていく。少し焼けて来たらソースを入れて絡めていく。
どんどん作っていって、大きい皿にのせていく。
「スープが出来たわよ?」
「器をどうしますか?」
「「「「「これを使って?」」」」」
今度は小さな女の子たちが孤児院の使っている器を持ってきた。
「これはみんなの分ある?」
「うん。だけど、お姉ちゃんたちの分がないの・・・。」
「それは大丈夫です。私たちは器を持っていますから。」
「だ、そうよ?だから気にしないでいいですわ。」
女の子たちにスープを入れてあげて、机に運んでもらった。
*訂正しました




