~92~
「このラビの肉どうする?」
「私ももう食べれません・・・。」
すっかりぽてっとしたお腹を見せているシャイン。
大量になってしまったラビの肉は7人でも食べきれない程になってしまった。
「あの~もしよかったらそのお肉分けてもらえませんか?」
手を挙げて申し訳なさそうに喋り始めたレオーネ。
何か理由がありそうなので、聞いてみたら・・・。
「実は・・・私教会に行ったりしているんですけど、そこは孤児院と併設されていて子供がいっぱいいるんです。だけど、食生活があまり充実していないのかガリガリなんです。」
「それは・・・。国はなにやってるんだよ・・・。」
あまりの事実にみんなびっくりしているようだ。
「それならまだ奴隷の方がいい暮らしが出来ているじゃないですか。」
「たしかにそうかもしれないな。じゃあ、これからその孤児院に行こうか。みんなもいいか?」
「もちろんですわ。貴族としての義務ですわ。」
「そうだな。国に任せててこれじゃあだめだな。」
クレールス姉弟は特に賛成だった。
「じゃあ、早速持っていこうか。アイテムボックスに入れておくね。」
ラビに肉をアイテムボックスにしまって、街に帰ることにした。
歩いているときに、詳細をレオーネに聞いた。
「それで?その孤児院に何人ぐらいの子供たちがいるんだ?」
「30人くらいだと思うけど、動ける子しか見ていないからもっと多いかもしれない。」
「ならなおさらこの肉を届けてあげるべきだね。そして保存食にしてあげるほうがいいかも。」
「保存食って?」
「あぁ。長い期間置いておくことができるから便利だと思う。ただ、地下とか涼しいところに置いておかないといけないかな?」
「それはどうやって作るんですか?!」
レオーネの食いつきにより、説明することになった。
「スモークって技法なんだけど。木の煙で蒸すって言ったらいいのか?そんなの。あんまりやったことないから試行錯誤になってしまうかもだけど。」
「そうなんですか・・・。」
「でも、たぶんできるよ?時間がかかってしまうかもだけど。また今度でいい?」
「!!はい!今度でいいです!それまで私が出来る限り届けるので預かりをお願いしてもいいですか?!」
「いいよ。それまでに材料を揃えとくね。」
「私も協力します!何を準備したらいいですか?」
これは作るしかないと思いリュシオルが全部用意する気だったのだが、手伝ってくれるようだ。
「必要なのは、鉄の箱・・・これは特殊だから俺が用意するね。他には木のチップ・・・。木を細かくしたものなんだけど、香りのいい木がいいかな?」
「わかりました。探しておきます。後はないですか?」
「それと塩が必要だ。」
塩と聞いたレオーネは少し止まってしまった。
「それはちょっと用意できないですね。」
「塩はクレールス家が用意しよう。」
ノータイムで言葉を発したプワソン。
さすが貴族である。
「そうですわね。塩ぐらいなら協力できますわね。お金なら難しいですが物資なら簡単ですわ。」
「ありがとうございます!これで孤児院の子たちが健康になります。」
レオーネは感動をしてエクラとプワソンさらにリュシオルの手を握ってブンブンと振った。
「それより早く行かないと私たちもお腹が減ってきましたわ。」
「そうだな。もしいけるなら俺たちも一緒に食べれたらいいな。」
「ここです!この孤児院です。」
王都の端っこにあるさびれた孤児院であった。
教会は大きなのがあるのだが、平民はこっちの教会を使用するそうだ。
なんでも大きいほうはお金を払わないと入れないところらしく、こっちの方が一般的である。
それにしてもさびれた教会であった。
屋根には穴が開いていそうで、壁も穴が開いている。
「これはひどいな。これはお父様に聞いてこなければ。」
「そうですわね。これはひどすぎます。」
クレールス姉弟も始めて来たみたいで、驚いていた。
「とりあえず入ろうぜ?」
中に入って行くと、子供で溢れかえっていた。
「「「「あっ!レオーネお姉ちゃんだ!!」」」」
「「「「「こんにちは!!」」」」」
「「「他の人は誰???」」」
元気な声で様々なところから飛び交っていた。
「静かにしなさい!失礼ですよ!すいません騒がしくて。これはレオーネさんいつもありがとうございます。」
「こんにちはシスター。今日は友達と来ました。」
「こんにちは。今日はレオーネに誘われてきました。」
あまり何も言わずにいようと目で皆と会話した。
「今日はどのようなご用件で来られたのですか?」
「実は、剥ぎ取りの練習をしていて肉がたくさんになってしまったので、お裾分けに来たんですよ。」
「それはありがとうございます!皆さんこのお兄さんとお姉さんにお礼を言いましょう。」
「ありがとうございます。」
「では、ご飯の用意を・・・。」
「せっかくなんで僕たちも食べていいですか?」
「構いませんよ。今から準備しますね?」
シスターが行こうとするのでリンブルが止める。
「シスターさんは用意しなくてもいいですよ?」
「へ?なんででしょうか?」
「俺たちで用意するから少しだけ手伝って欲しいんだ。もちろん子供たちにもだな。」
「!!ありがとうございます・・・。」
シスターは涙を流して喜んでいた。
雨が降ってすごく涼しくなりました^^
雨って偉大ですね^^




