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「はい。依頼通りです。今日はこれとこれと・・・後これを解体しておきます。お金はシャドーブラック様とシャインゴールド様に半分づつ入れておきます。」
「うん。またどっちかが残りを持ってくるからお願いね?」
「はい。これで3か月分の依頼が終わったのでゆっくりでいいですよ?」
「ん?まだ大量にあったから受けるよ?」
「ほ・・ほんとですか・・・助かります・・・。ここ30年分ぐらい溜まりそうだったので・・・。」
「あの紙束を見たらわかるよ・・・。解体してもらう分が終わったらまた狩りに行ってくるから泣かないで?」
受付嬢はえぐえぐと泣き出してしまい、リュシオルはふんわりと受付嬢を抱きしめた。
それが計算されたなみだと気付かずに。
「『役得よ~。めっちゃいい匂い・・・そして男らしい・・・。』ありがとうございます・・・。」
受付嬢の心の声は聞こえなかったが、ルーチェは女センサーを発動し、感づいた。
「そろそろ時間ですシャドーブラック様。」
「あぁ。わかった。じゃあお願いしますね。」
ちょっと残念そうにする受付嬢を置いて裏に行く。
変装を解いて、学院近くの路地に転移した。
「夕食の時間だな。今日は何作るかな・・・。鳥をこの間大量に狩ったから鳥料理にするか・・・ソテーと照り焼きと・・・鳥団子も作っておくか・・・。」
「なんか知らない料理ですが美味しそうです。」
「ルーチェも食べる?エクラも誘っておいでよ。どうせエクラは料理が出来ないんだろ?」
「そうですねそうします。」
寮に帰り、仲良く食事をして就寝した。
翌日・・・。
普段通り教室に入り、過ごしていると一人のクラスメイトから声をかけられた。
「あなたがリュシオルさんですか?」
「そうだけど・・・。何?」
「あなたに勝負を挑みたい。」
「な・・・なんで?決闘ってこと?」
「あなたが望むのなら決闘でも構いません。望むものを賭けさせていただきます。」
「そういえば、君の名前は?」
「申し遅れました。私はラーク・シュバリエです。」
「よろしくね。それで話の続きなんだけど、決闘なんてしなくても勝負はするよ?」
「ありがとうございます。では、いつがよろしいですか?」
「いつでもいいよ?」
「では、今日に競技場をお借りしておきますので、放課後におねがいします。」
「わかった。じゃあ今日の放課後に。」
授業が始まる前に、勝負の約束をしてしまった。
『どうしよう。勝負だなんて・・・。』
『リュシオル様・・・心の声が念話でだだ漏れです。』
『仕方ないだろ?こんなことが起きたのは初めてなんだからびっくりするだろ?』
『そうですね。相手を殺さないように気を付ければいいですよ。』
『お・・・おぅ・・・。そうする。』
極端な返答が返ってきて動揺してしまった。
心は動揺したままだったが、無事に学校の一日を終えて、決闘の時間までまだあるのでギルドに一人で顔を出した。
「残りの分の解体をお願いしてもいいですか?」
「ようこそシャドーブラック様。昨日の残りですね。こちらに来てください。」
昨日とは別の受付嬢が話を知っており、スムーズに案内してくれた。
「あ!!」
「危ない!大丈夫ですか?」
こけそうになった受付嬢をふんわり受け止めて、確認をするとポーッとした顔で見つめながら生返事を返してきた。
受付嬢の心はというと・・・『きゃー!!成功しちゃった!あの子ばっかりずるいと思って実行したけど・・・ほんとにいい匂いだし、行動がかっこいいし、逞しいもう最高の男だよね。素顔もカッコよければいいな。』
邪である。
「大丈夫ならいいですけど・・・。足は挫いていないですか?」
「ちょっと確認してみます・・・っく!少し痛いですね。」
「じゃあ無理しないでください。抱えていきますので少し捕まってもらえますか?」
「は・・はい・・・『きゃー!お姫様だっこよ!これは自慢ものね。ほんとに足を挫いてしまったけど・・・抱き着いていいって・・・くんかくんかしなきゃ・・・あぁ~もうこのまま気絶してもいい・・・。』」
すごく邪である。
「ここに座ってもらえますか?足を見ますね。」
そっと足を取り、足首にヒールをかける。
「これでよしっと。どうですか?まだ痛みますか?」
「へっ?あ・・・痛くない・・・。ありがとうございます。」
「いいえどういたしまして。お姉さんが怪我したらギルドが大変になってしまうもんね?」
にっこり微笑みながら首を少し傾げた。
すると、色香にやられて受付嬢は鼻血を出して倒れてしまった・・・。
回復するのに時間がかかり、解体を頼むまで30分ぐらいかかってしまった。
「これですべてですね。ありがとうござます。依頼はどうされますか?今日確認して受けときますか?シャドーブラック様なら100個持ち帰りでも大丈夫です。」
「100はさすがに悪いかな?近いうちにしてほしいこととかありますか?」
「ならこの依頼をして欲しいです。」
「じゃあこれの周辺のやつも受けます。」
「そうなるとすごい数ですが?」
「大丈夫!2日あれば終わると思うし、これは先に終わらせる。」
「ありがとうございます。では、受付をしますので少しだけお待ちください・・・。」
すごい勢いで入力してすぐにギルドカードを返してくれた。
リュシオルはギルドを後にし、ラーク・シュバリエとの決闘の場所に行った。
「約束通り来てもらいありがとうございます。」
「約束したから来ないわけにはいかないから・・・。」
したくない約束をして、不本意だが約束は約束。
貴族とだからなおさら守らないとと思いながら答えた。
「では、決闘というわけではないですが、手合わせをお願いします。こちらは胸をお貸ししてもらう立場なので。」
「わかりました。お願いします。」
二人とも摸擬剣を構え、決闘もとい、手合わせが始まった。
元々筋がいいのか、中々な剣筋であった。
しかし、場を踏んでいるリュシオルからすればまだまだであった。
軽く受け流したり、紙一重で躱していく。
「全く・・・掠り・・・も・・・しない・・・そして・・・息・・・も・・・切れて・・・いない・・・。」
ラークは息を切らし、活き絶え絶えにそして足が止まっていた。
「参りました。自分がまだまだだと実感出来ました。」
「それは良かったです。では・・・これで終わりましょう。」
「はい。また手合わせしていただけますか?」
「時間があるときであれば。しょっちゅうは無理ですよ?」
「それで構いません。では。」
服装を正し、キッチリしてから帰って行った。
「はぁ~。なんか疲れたから。もう帰ろ・・・。」
とぼとぼとした足取りで帰って行った。
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