~7~
最初の問題が解決され、何もテンプレのようなことも起きず無事に町の門前近くまでくることができた。
『さて、ここからリュシオルの物語が始まる・・!』
胸をドキドキさせながら、門の前に歩み出た。
そこには、兵士のような格好をした男の人が左右対称に立っていた。
「ようこそ。町に入るのに身分証明書を出して頂けますか?」
「え・・・身分証明書ですか?」
『やばいやばいやばい・・・その説明は受けてなかった・・・どうしよう・・・とりあえず、遠いとこの森の中で住んでたことにしよう。」
リュシエルは冷汗を背中にダラダラとかきながら、思考をめぐらせること1秒!
「あ・・・聞いてはいたのですが、何分森の中で生まれ森で育ったようなものでして、証明書の方は持っていないんですよ・・・。」
「それは仕方ないな・・・。では、詰め所で簡単な質問だけはさせてもらって、仮証明書の発行しようか。」
「はい。お願いします。」
門の兵士の後に続いて、門の横の詰め所へ向かった。
『よかった~。疑われずに済んだ~。ってことはまあまあそういうことがあるわけだな。』
この世界では住民の戸籍とかは整備されていなく、村・町とかなら、どこどこの奥さんがおめでただって~、等の井戸端会議で知っていたりするだけで詳しく知らないことが多い。
また、町などに行かなくても生活していたりすると、身分証などを発行せずに一生を終えることがあってもおかしくないのだ。
『俺みたいに持っていなくても町に入るときに調べたりするから大丈夫だったんだな。対応も早いし。』
思考していると、詰め所の一室に到着した。
「ちょっと狭いかもしれないけど、ここが仮証明書発行する水晶がおいてあるからここで質問するね。では、座って。」
リュシエルは座るのを促され、着席した。
「ではまず、この水晶に手を置いて欲しい。」
門番に促され、机の真ん中に置いてあったサッカーボールより少し小さいぐらいの水晶に手を乗せた。
「では、質問するね。犯罪に手を染めてない?」
「はい。」
答えると、水晶が青く光り始めた。
「うん。嘘はないみたいだね。では大丈夫だ。」
門番はそう言うと、机の引き出しから紙を取り出し水晶に引っ付けた。
すると、白かった紙は薄い水色になった。
「お!すごい!どんな原理で紙が染まったんですか?」
リュシエルは目をキラキラさせて食いついた。
「これは、国の魔道士が作ったものでこういう仕組みだとしか聞いてないから詳しくは分からないんだ。ちなみに犯罪してたら赤、罪が軽いものなら黄となるんだけど、どうやって判断しているのか分からないのさ。」
「へぇ~それを作った人はすごいんですね~。」
どういう仕組みか知ることが出来なかったが、満足そうに頷く。
『まあいつか知ることが出来たらいいな。』
その間にも門番は作業を進め、サラサラっと最後に書いていた。
「そうだ!最初に聞くのを忘れてた。君の名前は?」
「名前はリュシオルって言います。」
「では、リュ・シ・オ・ル・・・っとこれで町には入れるよ。ただし、この証明書の期限は3日だから3日過ぎると捕まっちゃうから注意して。オススメはギルドに登録したら、ギルドカードが証明書と同じ役割を果たすから早めに登録するほうがいいね。」
ギルドと聞いた瞬間にリュシオルの目はまたキラキラと光りだした。
「ギルドって冒険者のことですよね!!」
「お・・・おぉぅ・・・。そうだよ。」
あまりの食いつきに門番は少し身を引いた。
『ファンタジーっぽくなってきた~!!』
リュシオルはそわそわし始めた。
「やっぱり男の子だね。冒険者になっても、無謀なことはせず命だけは大事にするんだぞ?」
「はいっ!」
「じゃあ、ギルドはここを出て左に真っ直ぐ中央に向かっていくと、噴水があるからそこから見渡して、剣が二本クロスに重なっている看板がギルドだからね。」
「ありがとうございました。」
リュシオルはお礼をいい、詰め所をあとにした。
『よぉ~し。まずはギルド登録をしなくちゃな。』
テクテクと軽快に歩いているとすぐに噴水が現れた。
『これが、町の中心の噴水だな。ここから見渡して・・・あった!』
少し斜め前に剣がクロスしている看板が見つかった。
見た目はファンタジーで定番の酒場風のようだった。
3階建てで酒場にしては大きい建物であった。
『西部劇みたいな扉だ・・・ワクテカしてきた!』
扉に近づき中に入ってみると、意外と綺麗でさっぱりしていた。
見渡すと、1階は受付で、横には2階へ上がる階段があり、待ち合いや軽食が楽しめるようだった。
『まずは登録しなくちゃな・・・。』
受付カウンターに近づき、お姉さんに聞いてみることにした。
「すいません。登録したいのですが・・・・」
「え・・・。はいっ!!登録ですね!あちらですることなんですが私が担当します!こちらへ来てください!」
受付のお姉さんは顔を少し赤らめながら場所を誘導した。
「は・・はじめての登録ですね。では、こちらの紙に名前・年齢と書いてください。」
「わかりました。」
渡された紙に文字を書こうとしてリュシエルは止まってしまった・・・。
『しまった・・・文字が分からないや・・・あれ??カタカナ??これなら書ける!!数字もそのままだ!』
紙を隅々まで観察したら、説明文書がカタカナで書かれていたため、問題なくかけた。
なんか途中な感じがしますが、今日はここまで^^