~66~
男3人で寮の部屋に向かった。
「俺たちの部屋は手前から2番目の部屋らしい。」
「近くていいじゃないか。俺は近くて幸いだ。なっ!リュー。」
プワソンが部屋の場所を聞いていたので案内してもらったのだが、リュシオルたちの部屋は入口から近いみたいだった。
「奥は王族が使うらしい。いなかったら俺たちがそこを使う予定だったかもしれないな。」
「プワソンが貴族だからね。」
「いや、リュシオルの実力でだと思うぞ。相当な力があるだろ?」
「なんでそう思ったんだ?」
「すぐわかるだろ。ルーチェの首輪を見たら一目瞭然だ。」
プワソンはあの首輪の意味を分かっているようだった。
「何がすごいんだ?たまにああなるんじゃないのか?」
「リュシオル・・・。言ってもいいか?」
「あぁ。どうせ分かることだから構わない。」
理由についてリンブルに聞かれたのでプワソンはリュシオルに了承を得ようとした。
どうせバレることだから、もう初めのうちに知ってもらうほうがいいと考えた。
「なら説明することにする。奴隷の首輪についてはリンブルは知っているか?」
「奴隷になったら着けられる首輪だろ?主人の魔力を登録してその奴隷が誰のものかわかるようにする物で形状はたまに変化するとしか知らない。」
「その変化がすごいことなんだ。変化するには魔力をかなり注がなくてはならないし、奴隷と主人の信頼関係が良好でなければならない。しかも初めの登録する時点での話だ。」
「それって・・・。リューの魔力がすごいのとルーチェちゃんとリューの信頼関係が登録するときに最高だったってこと?」
「そういうことになるな。」
首輪について知ったリンブルはびっくりした顔で眺めてきた。
「そんなにじろじろ見るなよ。照れるだろ。」
「照れてもいない真顔で言われても説得力ないぞぉ~。でもリューはすごかったんだな。」
うんうんと腕を組んでリンブルは納得していた。
「部屋はどうする?一応一人部屋が当たるようになっているみたいだ。」
プワソンより部屋決めを提案された。
「俺はどこでもいいかな?プワソンとリンブルは?」
「私は入口に近いほうがいい。鍛錬に行きたいからな。」
「そうだなぁ~俺もどこでもいい。」
部屋はキッチン・ダイニングルーム兼談話室を中心に奥・真ん中・入口近くと部屋がある。
「じゃあ、俺が奥の部屋に行っていいか?」
「いいぞぉ~。じゃあ俺は真ん中だな。」
よく考えると、緊急依頼とかで呼び出されることを考えると、窓から出やすい場所のほうがいいなと思い、奥の部屋にした。
「荷物は後で運んでくれるらしいが、食事はどうする?」
「そうだな。買い物ついでに食べて帰ってこようか。」
「リューは料理作れるのか?」
「簡単なものだがな。それでもいいなら作ってやるが?」
「なら材料費は私とリンブルで出そう。その代り、料理をお願いしてもいいか?私は作ったことがないから。」
貴族が作ることがないので作ったことなくても納得できる。
「リンブルは親任せだったってことだな。」
「う・・・。その通りだよ。男が料理なんてできるなんてカッコ悪いと思っちまっていたからな。だが実際には料理が出来る男の方がモテるんだよな。」
リンブルは肩を落としながら沈んでいた。
「とりあえず買い物に行こうか。女の子も誘うか?」
「私としても姉を誘いたいし、リュシオルはルーチェだろ?」
「なら、ベリエとレオーネ誘ってもいいか?」
結局大人数になりそうだ。
「わかった。ルーチェに連絡を入れて誘てもらうよ。」
『ルーチェ。今いいか?』
『はい。何でしょうか?』
『食事に行くことになったからエクラとベリエとレオーネに声をかけてくれないか?』
『わかりました。・・・。エクラさんが着替えたいそうなので少ししたら合流できます。待ち合わせは受付のとこでよろしいでしょうか?』
『それでいいよ。先に行って待ってるから。』
『わかりました。』
「さあ、用意して出かけようか。」
「「今のはなんだ?!」」
「念話だけど?」
「「そんなのがあるのか?!」」
二人は知らなかったみたいである。
「これは魔法になると思うけど、スキルの一種になるかな?」
「どうやって覚えるんだ?」
「ん~初めから持ってたからわからないけど、心を通わすとか、魔法?武器とかでできるようになるんじゃないかな?」
それを聞いた2人はしゃがみ込んでうなだれてしまった。
「「できないでしょうが・・・。」」
「いや、武器の方ならうまくいくかもな・・・。なっ!ガルディ?」
『お二方聞こえますか?私は主の手甲のガルディと申します。』
「「防具が喋った(ぞ)?!」
今日はびっくりさせてばかりみたいである。
「ガルディさん。どうやればいいですか?」
「私にも意志の宿る武器が手に入るでしょうか?」
『志次第です。あなた方に強い意志があれば自ずと現れるでしょう。』
ガルディは2人に可能性を見出させてあげたようだ。
「ところで、ガルディはどこに居たんだ?」
『私ですか?普通の武器屋の奥底に居ましたよ。ただ、作ったお父様の子孫ですが。』
「昔は意志のある武器を作れる職人がいたんだな。今はその技術が残っていない。」
『プワソンさん。そんなことはないですよ?今ならドワーフという種族ができるかもしれません。』
「それは本当か!?」
『ただし、見つけることができればの話になってきますが・・・。』
「でも、可能性が出てきたな。」
二人して頷き合い、これからのことを考えた。
食事に行こうよ・・・ww




