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採寸を終えて、学院を後にしようとすると学院の関係者らしき人が走ってきた。
「すいません!肝心なことを伝え忘れていました。」
「何でしょうか?」
「入学式と寮についてなんですが、入学式は学生カードでお知らせしますので毎日確認していてください。寮の入寮は入学式の日から入ることができますので、荷物は学生寮宛に送ってもらって大丈夫です。」
「入学式が未定な理由はなぜですか?」
「地方から来られる方の配慮です。一度帰られる方もいますので少し期間が設けられるのですよ。」
あまりの遠くは無理ではあるが、そこそこの場所ならば帰ってから来るほうがいいであろう。
「わかりました。わざわざありがとうございます。」
「伝え忘れていたこちらの責任ですので気にしないでください。」
伝えることを伝えたらまた走って中に入って行った。
「さて、これでほんとに終わったからごはんを食べに行こう。」
「そうですね。お腹ぺこぺこです。」
「そうだ!うろうろした時においしそうな匂いがした食堂に行こうか・」
「あぁ~。あの店ですね。」
王都に着いて少し買い物をした時にいい匂いがしたが、お腹がいっぱいだったので諦めた店である。
「確かここだったはず・・・。あった!入ろうか。」
中に入ると、中はいっぱいになりかけていた。
「いらっしゃい!空いている席にどうぞ!」
空いている席が奥にしかなかったので奥に向かった。
「ここしか空いていないみたいだ。」
「満席ですね。この匂いは狂気です!テロです!」
ルーチェのお腹はぐぅ~と鳴っていたみたいだった。
「注文しようか・・・。すいません!」
「はぁ~い!何にしますか?」
「このオススメを2人前ください。」
「わかりました。おやっさん!オススメ2!」
女の子は走りながら厨房に大きな声でオーダーを通していた
周りを眺めたりしている間に、料理が届いた。
「お待たせしました!今日のオススメの肉シチューです。」
届いた料理を見てみると、良く煮えており、肉もスプーンで押すとホロホロと解けていった。
肉と一緒にシチューを口に放り込むと、何とも言えない味わいが口の中にいっぱい広がった。
「これはうまい!パンもすすんでしまうな。」
「はい!これはすごいおいしいです。」
夢中になって頬張って食べてしまい、あっという間に平らげた。
「あっという間に食べてしまったな。お腹一杯だ・・・。」
お腹を擦りながら小さくゲップをしてしまった。
ゲップと言ってもケプッってぐらいだが・・・。
「リュシオル様が珍しいですね。ゲップなんて。でもかわいらしいゲップです。」
「あれだけの速さで食べたら出るよ。でも、満足した~。」
幸せな顔をしながらしゃべっていたが、たまたまランチに来ていた女の人はボォ~っと頬を赤らめて見ていた。
それに気づいたルーチェは、またか。と心の中で思った。
「お腹がいっぱいになりましたし、人も途絶えることなく入ってきているので出ましょうか?」
「そうだな。邪魔にならないように出ようか。」
入店している女の人が残念がっていたことにリュシオルは気づかなかった。
「ん~。お腹一杯だから軽く散歩しようか?」
「観光としましょう。昨日見れていないところもたくさんありますし。」
昨日では通り1つしか見れていないので、今日は見れなかった通りを見ることにした。
「この通りは雑貨が多いな。」
「女の子の私からするとウキウキします。」
実はリュシオルもウキウキしているのだが、あまり出さないようにした。
「どこでも見たいところに寄っていいよ。俺もどんなものが売っているのか気になるから。」
素直に見たいと言えばいいのだが、男なのであまり積極的に行くのはおかしいかと思って控えた発言をしていた。
「じゃあここ見てもいいですか?ペンとかノートが売っているみたいです。」
見てみると、デザイン性のあるインク壺からの万年筆タイプがいろいろ売っていた。
羽ペンなどのポピュラーなものもある。
「これはかわいいですね。これ買ってもいいですか?」
ルーチェの見せてきたのは、ノートとかわいい花の柄が書いてあるペンである。
これはかわいいペンだと思ったが、リュシオルは今は男なので花柄ペンは諦めることにした。
「ルーチェ。俺の分も選んでくれないか?」
こういうのは女の子に任せるのが得策だと考え、ルーチェに託すことにした。
「任せてください!リュシオル様っぽいのを探してみます!」
ルーチェは意気込み、颯爽と探しに行った。
待っている間に、他にも何かないか見ていると、ペーパーカッターのデザインがかっこいいのを見つけてこれも買おうと店員に渡してもらったかごに入れてまたブラブラしていた。
「リュシオル様!見つけました!」
ルーチェの選んだペンを見てみると、金の変装した時と同じような模様が入っていた。
「リュシオル様と言ったらこの柄ですよ。」
「確かにあの柄は結構気に入っているから嬉しいよ。ありがとう。」
にっこり笑って、感謝の言葉を述べた。
ここでは学生が多かったのか、あからさまに見とれて頬を染めている女の子が多発していた。
「じゃあ、お会計して宿に戻ろうか。」
会計を済ませ、宿に帰り何かしたわけではないが眠たくなってきたので、お昼寝をすることにした。
いっぱい魅了しまくります!www




