~59~
王族兄妹に一礼して、講堂を後にした。
廊下でルーチェに質問された。
「よく分かりましたね?」
「ん?いや~あれだけ貴族出勤って言えばいいのかな?されたら誰でもわかるって。」
「遅刻したとかでなく、その時間に来るよう言われてたんじゃないかな?焦っていなかったのを考えると辻褄があるんじゃないか?」
他にも理由があったりするのだが、端折った。
「あ・・・ここですね。リュシオル様から先にどうぞ。」
扉の前に到着し、リュシオルから先に入った。
「失礼します。」
「来たか。まず部屋の中央にある水晶に触れてくれるか?」
入ると。奥に机があり3人横一列に座っており、そして言われた中央には水晶が台の上に置いてあった。
言われた通りに水晶に触れてみる。
すると、水晶はとてつもなく光って思わず目をつぶった。
「ものすごい光だな!」
「あぁ。期待以上な魔力量だな。」
「ニキティスもいい人材を紹介するじゃないか。」
試験官の3人・・・学院長を含む3人はそれぞれ言葉を発した。
「これ光りすぎじゃないですか?」
「それはおぬしの魔力が多いからだな。ほれ!そろそろ学生カードが出来るぞ?」
冒険者登録のときと同じように水晶からカードが出てきた。
カードを見てみると、色が虹色にキラキラ光っていた。
「はじめてみたわ。最高ランクの学生カードはその色になるんだな。」
「そうですね学院長。これは史上初ですね。」
試験官3人は年甲斐もなくキャピキャピとはしゃいでいた。
「これって・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。カードに触れて<オフ>と念じてごらん?」
カードを持って<オフ>と念じると、ただのシルバー色になった。
「それが通常状態。で、さっきのが証明状態ね。」
「どう使い分けるのですか?」
「学生の間はなんかあった時かな?卒業した後はそのカードが証明になるから色が上だといいところに仕事が就けるのさ。他にもあるけど、それはまた学院が始まってから教えるよ。」
「分かりました。これで試験は終わりですか?」
「これで終わりだよ。次の部屋に行って採寸をして今日は帰ってもらっていいよ。」
試験はこれで終わりのようだ。
「では、リュシオル君!合格おめでとう!」
試験管に礼をし、次の扉から出て行った。
~・~・~・~・~・~・~・~・~
続いてはルーチェの番である。
試験管に呼ばれ、中に入ると、水晶と試験管が見えた。
「君がリュシオル君の奴隷のルーチェ君だね。」
「そうです。」
「なるほど。その首輪を見る限りいい主人に出会えたんだね。」
首輪を見て学院長はそう言って来た。
「何故そんなことが分かるのでしょうか?」
「実は、魔力量の他にそのデザインの変化が関わって来るんだよ。なんせ、それの研究に少し携わったからね。」
「え・・・学院長はこれを作ったのですか?」
「国からの命令でね。術式を組み込む手伝いをさせられたんだ。そのときに少し弄ったのさ。」
学院長は少し悲しそうな顔をしながら話してきた。
「学院長が弄ったからこのような変化したんですか?」
「普通ならならないんだけど、魔力量の他に登録する人間の心にも反応するように仕掛けたんだ。それでルーチェ君の首輪には羽と奴隷の首輪に見えないようなデザインになっているだろ?それはリュシオル君の心からの配慮がその首輪に現れたんだ。」
意外な事実が発覚である。
「そ・・そうなんですね。ありがとうございます・・・。」
学院長の言葉を聞き、耐えようとしていた涙が少しこぼれてしまった。
「よかったね。さぁ!暗い話はこれでお仕舞いにしようか。早速だけどそこの水晶に触れて欲しい。」
涙を袖で拭き、水晶に手を当てた。
すると、リュシオルと同じく光った。
だが、リュシオルより少し弱いように感じられる。
「この子もなのか。今年は優秀な生徒が多い。」
「これなら国別対抗も優勝できますね。」
学院長を除く2人が先の話をしているようだ。
「ルーチェ君は金か・・・。」
「リュシオル様は何色だったんですか?」
「これは言わない方がいいかな?本人に聞くといい。試験は終わりだ。隣で待っているだろうから行っておいで。」
ルーチェは慌てて礼をし、ドアから出て行った。
「今年はなにかありそうですね。」
「はい。教師陣にも連絡しておきます。」
「さぁ。残りの王族2人も試験しなくては。」
「「はい!」」
残りの試験をこなす為、呼び出しアナウンスをし、試験官達はドアを見つめるのだった。
~・~・~・~・~・~・~
リュシオルが採寸していると、ルーチェが入ってきた。
「リュシオル様!見てください!金色が出ました!」
採寸しているリュシオルに嬉しそうに言ってきた。
「お!やるじゃないか。あ・・・さっき教えてもらったんだけど、カードに触れながら<オフ>と念じると普通のカードに戻るよ。」
「・・・あ・・・変わりました。」
「このカードは大事に持っていないとダメなんだって。」
「アイテムボックスに入れてはダメなんですか?」
「待っている間に職員さんに聞いたら、何でもこのカードは通信機能と連絡機能が付いているらしい。他にもあるらしいんだが、今はこれだけ覚えておいたら大丈夫だって。」
「へぇ~そうなんですね。」
手に持っていたカードを見ながらルーチェは採寸され、採寸終了後学院を後にした。
投稿したはずの59話がなぜ執筆中にいたのか・・・
申し訳ありませんでした;;




