~41~
報酬をギルドカードで受け取り、念のためクエストボードを見に行くと、海の巨大生物の討伐があった。
値段も最初より値段が上がっているのか、前の値段のところが消され、次も次も消されている状態だった。
「う~ん。苦戦しているみたいだね。海の巨大生物って言ったら、蛸か烏賊だよな~どっちだろ?」
「蛸と烏賊が何か分からないですが、大きいんでしょうね。」
ボードを見ながら巨大生物の姿を想像する。
「見てみないと分からないな。」
「そうですね。見に行きましょう。」
ギルドから出て、海に向かう二人。
気分は海に向かうので海水浴気分といえばいいのだろうか?
本気の観光気分で楽しんでいた。
風景を楽しみながら歩いていると目の前に広大な海が広がっていた。
「おお~!!凄い綺麗~!!海がコバルトブルー!!」
海を見た瞬間にリュシオルははしゃいでしまった。
そんなリュシオルより、ルーチェは感動で声を失っていた。
「す・・凄いですね。これが海・・・。綺麗ですぅ~。」
「そうだろ?こんな海見たことあまり無いから感動しちゃった。」
「え?海って全てこんな景色じゃないんですか?」
「わ・・・俺の知っている海は汚れた海とかあったから、ここまでの綺麗な海を見たのは初めてなんだ。」
あまりに懐かしくて、初めてボロが出そうになっていた。
ルーチェに気づかれないようにと心で冷汗をかいていた。
しかし、海に感動していたのか気づかれずにいた。
「さあ、巨大生物を探すか・・・。《マップ》巨大生物を《サーチ》。」
マップでサーチをかけてみると意外といたのか、点がいくつも表示される。
「やべ、大まか過ぎた。再度港町の猟師を襲った巨大生物を《サーチ》」
「出ましたか?」
「あぁ。ひとつだけになった。すぐそこの崖から近くにいるみたいだ。行こう。」
少し離れた場所の所にそこまでの高さは無いが崖があり、その近くで表示されていた。
駆け足で崖にたどり着くと、巨大生物の足が見えてきた。
「うん。蛸か烏賊に決定。」
「グネグネしていますね。気持ち悪いです。」
「食べたら美味しそうだ。」
「え?食べるんですか?!」
巨大生物を食べる発言でルーチェはびっくりしていた。
「食べれたらだよ?まだ食べれるか分からないしね。」
「そうですか・・・。」
「まずは姿を拝もうか。どうやって水面上に出すかな。」
頭をひねって考えていると、隣でボンッと手を打つ音が聞こえ、
「火あぶりとかはどうですか?」
「うん。海では難しいよね。」
「そうですか・・・。そうですよね。水では消えてしまいますよね。」
「あ!!音だ!!」
某ゲームのことを思い出して、音でびっくりさせて出現させることを思いついた。
「思いついたのはいいがどうやろうか?う~ん。ウィンドボールを圧縮して水に入った後に爆発するようにしたらいいかな?」
要は試しなので、バランスボールぐらいの大きさのウィンドボールを作り出し、野球ボールほどまで圧縮する。
ウィンドボールの中を乱気流みたいにするのを忘れないよう施し、海投げ入れてみた。
海に接触しバンッと弾けて水面を乱した。
「うんいい感じ。これをいっぱい作って放り込むとしよう。」
次々に作っていって、海の放り込み騒ぎ立てる。
そうすると、海から足が出てきた。
「お!!お出ましみたいだよ。ルーチェはエトワールで応戦ね?」
指示を出すと、あちらさんも本体を現した。
姿は・・・・烏賊だった。
「大王烏賊さんね。よし、狩りだ。」
舌で唇をペロリと舐めて捕食者の目をしていると、烏賊は少し身じろぎをしていた。
「いけるかわかんないけど、《テレキネシス》。やってみるもんだな。ルーチェ!眉間・・・目と目の間を火の矢でトドメ刺して~。」
念力で簡単に巨大な体は浮き上がり、もう可哀相なぐらい何もできずにトドメを刺されてしまう大王烏賊・・・。
「うっし!烏賊ゲット~。結構好きなんだよね。色んな料理にして、干して保存用も作っとかないと・・・」
ブツブツと烏賊料理について独り言を言っていた。
「やっぱり食べるんですね。美味しそうに見えないんですけど・・・。」
「それがどっこい美味しいんだよ。多分姿形は一緒だし食べれると思う!」
ウキウキに烏賊をアイテムボックスに入れた。
「では、ギルドに報告しましょう。倒したことを伝えて、漁に行けるようになったと伝えなければなりませんね。」
「うんうん。魚料理もいっぱい食べたいしね。」
ルンルンの状態で、ギルドに向かって歩き出した。
「でもあっさり倒せちゃいましたね。あの【てれきねしす】?って凄いですね。」
「万能だけど、使いどころが難しいんだよね。って言うより忘れていることが多いけど。」
烏賊を倒せたのがあまりにあっさりだったためなんとも思っていないが、実は凄いことをしていたことに気づいていない。
ギルドに着くと、依頼達成した冒険者がそこそこ並んでいた。
「時間はたっぷりあるし、番号を貰って、甘いものでも食べながら少し待っていようか。」
「そうですね。わたしは、アプの実が皮で包まれている奴が食べたいです。」
椅子に座り、二人であむあむと頬張って順番を待っていた。
烏賊でしたね。
美味しいですよね^^
*訂正しました
烏賊を倒せたのがあまりにあっさりだったためなんとも思っていないが、実は凄いことを「いたこと」に気づいていない。→「していたこと」




