~369~
冒険者は歓喜に溢れている者と悲壮感が漂っている者の2種類に分かれた。
喜んでいる者は、戦いが終わって安堵から来たもので、悲しんでいる者は、高ランクであるシャイン・ゴールドとシャドー・ブラックの死を知り、これからどうなるのだろうという不安を抱えているのだった。
もちろんプワソン達は少し理由は違うが、後者の悲しみの方になる。
「街の方に近づいてきましたけど、ここまで歓声が聞こえますね・・・。」
「勝ったが、あまり素直に喜べないな・・・。」
英雄としてこれから称えられるだろうルーチェとリュシオルの遺体を棺に入れて馬車で運んでいた。
門の近くに着くと、勝利の凱旋をすることが前から走ってきた冒険者ギルド員から説明された。
「あまり喜べないけど、喜んでいる風に振舞わなければならない。いいか?」
プワソンはメンバーに向かって注意を促した。
メンバーは黙って頷き、騎獣に乗って行進の列に並んだ。
しかし、ギルド員が話を聞いたのか、プワソン達に近づいてきた。
「グロース・ファクトの皆さんは前にお願いします。」
「わかった。皆前だ。」
指示が出たので、少し駆け足で前の方に移動した。
凱旋は、パレードのように行われ、あれよあれよという間に謁見の間にたどり着いっていた。
「此度はご苦労だった。我が国をこの世界を救った英雄に感謝を!」
代表として、グロース・ファクトのメンバーとニキティスが謁見の間に来ていた。
王に向かって騎士の礼をして微動だにしなかった。
「ありがたき幸せ。」
代表して、ニキティスが答える。
「そして、戦死してしまったシャイン・ゴールドとシャドー・ブラックは国葬し、永遠の英雄として像を建て、この世界を守った英雄として語り継ぐ!皆の者!棺に向かって黙祷!」
いつの間にか運ばれていた木の棺の方に向かって祈りを捧げ、棺には国の旗が巻かれていた。
「では、今回の報酬は後日渡すこととする。では、皆の者下がるがよい。宴の準備をせよ。」
「「「「「かしこまりました。」」」」
「そち達は残って貰う。」
グロース・ファクトは残留を王から告げられた。
戸惑っている間に、いつの間にか謁見の間には王とグロース・ファクトのメンバーだけとなった。
「楽にしてよい。」
「ですが・・・。」
「私が良いと言っているのだ。それにもう誰もおらん・・・。思う存分泣くがよい。私が命じなければ、ここに入ってくるものはいないからな。」
そう言われた瞬間に女の子たちは3人とも泣き崩れ落ちた。
男2人は立ったまま目から涙を流していた。
「後、我が娘と息子を呼んでも構わぬか?」
「・・・どうぞ・・・。お別れを言いに・・・ですよね?」
「そうだ。世話になったからな。」
王自らドアの方に歩いていき、少し開けたドアの隙間から兵に命令し、戻ってきた。
その数分後、すごい勢いの足音が聞こえ、入ってきたのは王女と王子だった。
「そんな・・・。嘘ですわよね?」
「あれだけ強かったシャドー・ブラックが?」
棺を目の当たりにし、2人共が棺の前で膝をついて放心状態になった。
「悲しまれているかと思いますが、お別れを・・・。」
プワソンは涙をぬぐって、王子と王女に別れを言うよう促した。
「そうですわね・・・。この国を救っていただきありがとうございました。」
「感謝する・・・。私はより一層精進し、この国を世界を良くして見せる。」
別れを言い、気丈に振舞って王子と王女はその場を後にした。
遅れました^^;




