~367~
消えゆくアルシュを茫然と見つめた。
「え?なんでアルシュさんが消えかかってる?」
「どういうことだ?」
再起動した冒険者がザワザワし始めた。
「あぁ・・・私も一緒に行けるのですね・・・。皆さんお別れの様です。」
天に向かって笑みを浮かべた後、冒険者側に向いて最後の言葉を投げかけた。
消えかかっているアルシュは近くにいるレオーネとリンブルに歩み寄った
「うそ・・・。もしかして・・・。」
「そうですね。ご覧のとおりです。」
少し悲しそうな顔をしながら2人の頭に手を置いた。
「結局、リュシオル君に会えないままお別れになってしまうのですね・・・。」
「なんだよ・・・。文句も言えないままってなんだよ・・・。」
目から涙を流しながら、レオーネはアルシュに縋りつく。
リンブルは下を向いたままである。
「お別れの時間です。」
そう言うと、光となって空に昇って行った。
「もしかして・・・。他の召喚獣さんも?」
「そうだろうな・・・。」
森の奥を見つめると、光が上がっていくのが見えた。
戦線で一緒に戦っているベリエ・プワソン・エクラの前でも同じような状況が起こっていた。
「暖かい光・・・。」
「これはこれで嬉しいものだな・・・。」
「おぉ~!」
「来たか・・・。」
召喚獣たちは立ち止まり、透けていく体を見つめた。
「何が起こっていますの?!」
「アンブルさん?!」
「どういうことだ?!」
召喚獣達が急に立ち止まり、透けていくのを見て動揺する。
3人は戦いながらも、事実を受け入れたくなかった・・・。
「お別れの様だわ。主が逝くのよ?私たちがついて逝かないわけにいかないじゃない?」
「そうだな。これほど満たされた時間はなかった。寄り添いたかったのだ。」
「そんな・・・。」
倒しながら、召喚獣達を見たりしていた。
「申し訳ない・・・。最後の力でここら辺を一掃する。」
止まって透けていくのを見ていた召喚獣たちは我に返り、ここがどこであるかを思い出した。
そして、最後にありったけの力で周りにいる魔獣と奥にいる魔獣を一掃した。
「しばらくは大丈夫だな。改めてお別れだ。」
「君たちと過ごした日々は楽しかった。」
「そうね~。女子だけで遊んだのも楽しかったわ~。」
「だけどごめんね?僕たちはリュー様と一緒にいたいんだ。」
「短い間でしたが、お世話になりました。」
ノワール・グルナ・アンブル・ジェイド、戦線に途中から参加していたヴァイスの順に喋り、消えていった。
消えていった空を見ると、光が見えた。
「あれって?」
「翼が・・・天使?」
空に浮かんでいた光は、羽を生やした人だった。
そして、そこから光のシャワーが溢れ、魔獣が転がる地面に降り注いだ後、地面が光って魔獣の跡形もなくなった。
人々は光の奇跡を見たのだった。




