~366~
一方プワソン達はというと・・・。
「数日経ちますが、まだ終わる気配がないですね・・・。」
「早くリュシオルのとこに行って殴りつけてやりたいところだんだが・・・。しまった!」
一行に倒しきれない魔獣にイライラが募って来たのか、少し雑に戦っていたリンブル。
気の緩みから怪我を負ってしまった。
「まだ戦えるからいいか・・・。」
「馬鹿ね!はやく天使の所に行ってきなさい!」
ベリエに叱られ、リンブルは仕方なしに戦線を一旦離脱した。
レオーネいるテントの所に行くと怪我をした人が並んでいた。
「おう!お前さんも怪我したのか?」
「おっちゃんもかい?俺は油断してしまって少し怪我しただけだけど、おっちゃん結構怪我してない?」
たまたま前に並んでいた冒険者のおっちゃんに声を掛けられて、リンブルは少し血が出る程度だったが、そのおっちゃんは、がっつりと腕がぐちゃぐちゃになっていた。
「そうだな~。普通なら冒険者引退しなければならない怪我だが、天使さんなら治してくれるんだろ?」
「そうだな。天使なら造作もないことだな。」
「へぇ~。お前さんはやっぱり仲間だったんだな。同じような仮面を被っているからそうかと思ったぜ。それにしても怪我が治るのはありがてぇ~。また戦いに行ける!」
おっちゃんは鼻息荒く怪我をしていない手で握りこぶしを作った。
「おいおい。あまり頭に血がのぼると血が噴き出すぜ?」
「おっと!いかんいかん!じゃあ先に治療を受けてくるな~。」
早い段階で前のおっちゃんの順番がやってきた。
レオーネの回復の速度が上がっているのだろう。
次の順番であるリンブルもすぐに呼ばれた。
「次の方~。あら?なんでです?」
「ちょっと不注意でな。大した怪我じゃないけど行けって言われてな。」
「誰が言ったか想像できますね。はいっ!これで治療終了です。」
リンブルの治療が終了すると、テントの外で異様なざわめきが起こった。
「なんか外が騒がしくないか?」
「そうですね・・・。見に行ってみましょう。」
レオーネとリンブルが2人で外に出ると、金色のドラゴンが降り立っていた。
「アルシュさんじゃないですか!」
アルシュの名前を呼びながら近づくと、その手には人が抱えられていた。
怪我人を連れてきたと思ったレオーネが近づくと、急に立ち止まった。
「どうしたんだ?怪我人だろ?」
リンブルも近づくと、固まってしまった。
そう、アルシュが抱えてきたのはルーチェの死体だった。
「あ・・・どう・・・いうことですか?」
「埋葬してもらいたいとのことです・・・。先ほど受け取ってまいりました。私はすぐに戻って・・・。あ・・・・。」
リンブルがルーチェの遺体を受け取ったその時、アルシュの手が消え始めた。




