~361~
リュシオルが血を流しながら向かった先は、魔獣が蠢く中心部であった。
「さすがにこれを皆が処理するには多いから最後に消せるだけ消して行こうと思う。バルト・・・。もう少し頑張ってくれるか?」
「(壊れるまでお付き合いするよ。)」
「(わたくしも壊れるまでお付き合いします。)」
「2人ともありがとう。」
限界まで魔力を込められたバルトは少し罅が入っていた。
おそらくもう少し使うと、完全に粉々になってしまうだろう。
「もうひと踏ん張りだな。いくぞ!」
バルトを握りしめて魔獣の群れに突っ込んでいった。
どれだけ戦ったであろうか?
もう無理だと思いながら、重くなっていく体に喝を入れながら1体でも多く屠っていく。
だが、限界が来てしまったようだった。
「がはっ!」
「主様!」
刀を持ったまま前のめりに倒れかけた所をガルディが体を支えた。
「もう少しだから・・・。」
そう言いながら、ドーピングをするかのように回復魔法をかける。
周りを見渡すと、すごい数が減らされていた。
「あと半分だけでも減らすよ・・・。」
「・・・分かりました・・・。お付き合いします。」
リュシオルの最後の望みを叶えるべく、補助をするガルディ。
半分と言えど、何千万といる魔獣をそこまで減らすのは骨の折れることである。
戦闘を始めたてであればリュシオルは可能だったであろう・・・。
だが、もう倒れてしまう直前である。
「もう・・・これまでか・・・。」
さらに魔獣の屍を一山作った所で、膝をついてしまった。
それを合図にバルトが崩れてしまった。
「(ごめんなさい・・・。)」
「バルト・・・。ごめんな・・・。」
手の中から崩れ落ちてしまったバルト。
さらに攻撃を防ぎ続けたガルディも限界を迎えていたようだった。
「(主様・・・先に行くわたくしをお許しください・・・。)」
「ああ・・・。責めることなんてできないよ。ありがとう。」
ガルディも、ボロボロと崩れてしまった。
そしてリュシオルも、動けなくなってしまった。
「ここで終わりか・・・。」
崩れるように地面に倒れた。
倒して開けていた空間も押し寄せてくる魔獣で埋まっていく。
ここで食べられて終わりだと思った。
「我がリュシオル様に触れるな!」
飛んできたアルシュにリュシオルを中心に魔獣が消失した。
「リュシオル様・・・。なんてことに・・・。」
「アルシュか・・・。ごめんな?これ以上は無理みたいだ・・・。」
「そんなことないです!聖魔法で!」
そう言いながら、リュシオルを癒そうとするが全く傷が塞がらないでいた。
「だめです・・・そんな・・・なぜ止まらない!」
涙を流しながら、リュシオルの傷を必死に抑えて血を止めようとするが、流れ出している血が止まることがなかった。
長い間お休みしました^^;




