~358~
ニキティスとヴァイスの話し合いが終わった頃、戦線の後ろから大軍の足音が聞こえた。
「マスター!早いですよ~。」
少し情けない声を出しながら、追いかけてきたのはマルテの町で出会ったファンテ達だった。
「あれ?あなたは・・・。」
「君はグロースファクトの天使ちゃんじゃないか。」
レオーネを見つけたファンテは知り合いに会えたことで少し安心したような顔をしていた。
「着いたか!それじゃあ、昨日に決めていた班に分かれて、作戦を伝える。」
そう言うと、ザッザッと風格のある歩き方で軍の方に歩いていくのだった。
準備が整うまでという話だったが、突然奥から嫌な魔力が流れてきたのだった。
そのせいか、魔獣も少し進行が止まった。
「なに・・・この空気・・・。」
「巨大な悪が出てきたって感じですね・・・。」
すると戦線から、ジェイドが飛んできた。
「お~い!先に僕が来たけど、これって・・・。」
「そうかもしれないですね。一度入口も閉じます。レオーネさん。」
「分かりました。ジェイドさん?皆さんは?」
「止まってるから、警戒しながらこっちに来てるよ。」
ヴァイスとレオーネは頷き、2人で結界の出入口を閉じた。
すると、異変に気付いたのかニキティスもやってきた。
「何かあったのか?!」
「はい。奥の方で異変が合ったみたいで、魔獣も進行が止まったようです。」
それを聞き、唸りながら、顎に手を当てる。
「でもこの止まっているのもまた動き始めるはずだ・・・。殲滅できるよう準備を万全にしたら出入口を開けて欲しい。」
「分かりました。」
そこから半刻ほどたった後、ニキティスから声がかかった。
声の方を見ると、隊列と班決めが綺麗にされて、準備が整っていた。
「では頼む。」
「はい。」
そう言うと、ニキティスは軍に向かって鼓舞の声を掛けた。
「オレも冒険者だ。ここからはオレの言葉で言う!てめぇら!家族を大切な人を救うために暴れるぞ!!」
「「「「「おおおおおおお!」」」」」




