~355~
その日の夜、魔獣の進行が一時止まり、野営地点を決めて集まることとなった。
「これって、夜は進行が止まりますの?」
「みたいですね。昨日も止まりましたから間違いと思いますが、いつ何があるか分かりませんので、警戒はするべきでしょう。」
エクラが質問したことにヴァイスが答えた。
「それより、あなたたちは知っているの?リュシオルのこと。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
召喚獣たちは皆口を閉ざしてしまった。
「なんなのよ・・・。どうして答えれないの?」
「我らも知らぬのだ・・・。なぜああなったかなどは・・・。」
グルナが低い声で語りだした。
「だが、我らはリュシオル様の召喚獣である。そこは切ってもも切れない関係。それに我らは運命を共にする契約を結んだ。」
「え?どういうこと?」
グルナからのカミングアウトで思わず、声が出てしまっていた。
「その契約知らないですわ・・・。」
「それもそのはずですよ・・・。これは高位召喚獣にしか伝わらない契約。自分で考え、理解し、行動できるものにしかできないものなのですから。」
「それはわかったけどよ・・・。運命を共にするってどういうことだ?」
ぐぬぬっと考えていたが分からなかったのか、リンブルが答えを求めた。
「まさか!!!」
そこへ分かったのか、プワソンが声を上げた。
そして、そのままプワソンは声を発さなくなってしまった。
「気づきましたか。そうです。運命を共にするということは、共に死ぬということです。」
「なんで!召喚獣はそんなことないって先生が言ってたのに!」
声を荒げて、レオーネが召喚獣達に食って掛かる。
レオーネの言葉に、リュシオルの召喚獣たちは悲しそうな笑顔を浮かべながら話し始めた。
「私たちは短い間ではありましたが、充実した時間を過ごすことが出来ました。それもこれもリュシオル様のおかげ。それに私は心からリュシオル様のことが大好きなのですよ。」
「我も同じくだな。」
「ここにいるリュー様の召喚獣は同じ考えなんだ。だからいつまでも一緒にいたいだ。」
「だから気にしないでね?」
そう言われてしまえば、それ以上言えなかった。
「湿っぽい話はこれで終わりにしましょうね!アンブル特製のスープを飲んで、明日に備えましょう!夜は私たちに任せなさい?」
「そうですね。子供は寝る時間ですよ。」
「我ら師匠の言うことを聞いておきなさい。」
優しい笑顔でグロースファクトのメンバーを安心させるよう声をかけて、体を休めた。




