~333~
今日は間に合った!
事情を聞くとこうだった。
村で過ごしているある日、急にゴブリンたちが攻めてきたそうだ。
冒険者も滞在していたため、応戦したようだがその甲斐も空しく、ゴブリン以外の魔獣も出てきてあっさり倒されてしまった。
それも殺されるでなく、捕まったということ。
他の村人たちの無事な姿を見て、この後のことに恐怖したそうだ。
そこから、移動を重ね、魔獣が徘徊する地点まで連れて来られた後、簡易な牢に入れられる。
そして、その後は食事を出されて食べなければ殴られるといったおかしい状況になり、丸々とした者から順番に連れ出されていった。
連れ出された者はその後帰ってくることはなかった・・・。
そして、いよいよガリガリだったが普通の体形まで戻った姉妹の番がやってきてしまい、生贄としての血とその後は魔獣の餌となるようだった。
そこをシャインゴールド(ルーチェ)が現れて逃がしてくれたということだった。
「なるほど・・・詳しくありがとう。(ジェイド)」
「は~い!」
すぐにジェイドを呼び出し、簡単に説明した後、ギルドに連絡に行かせた。
「あの・・・私たちはどうしたらいいですか?」
「そうだな・・・。」
「ギルドの方が来られるまで、こちらで保護いたします。」
侍女長が唐突に現れ、姉妹を保護することとなった。
「まだ戦っているのか?(ルーチェ!聞こえるか?)」
念話で問いかけるが、ノイズが入り届かないようになっていた。
その後、何度か試すものの通じる気配は一向になかった。
「それでシャインを行かせたのか・・・。」
場所を特定しようにも、ルーチェのことを探れないでいた。
シャインが起きないと全く事が進まなくなってしまったのだ。
「ルーチェが帰ってくるか、シャインが起きるかしないと・・・。」
何もできない時間が出来てしまったのだ。
その頃、ルーチェは戦いの最中にいた。
「はぁはぁ・・・。中々抜け出せないですね・・・。」
「ニガス、ダメ、ココ、コロス!」
逃げる時間を取ろうとするが、中々そのタイミングを作れずにいた。
戦っても戦っても湧いてくる敵。
どうしようもなく、そしてどんどん体力を奪われていった。
「騒がしいと思ったら・・・。」
「お前は・・・。」
「覚えていたか。学園の時はお前たちに世話になったからな~。」
学園を襲った改造された男だった。
前と姿が変わっており、人間の大きさで、もう姿形が鬼だった。
「私をどうするというのです?」
「そうだな~せっかくの生贄が逃げてしまったけど、それ以上の上物が現れたから捕まえるしかないだろ?」
「そうですね。そうなれば、私は捕まるわけにはいきませんね・・・。」
肩で息をしながら、弓を構えなおした。
「そんなに体力がなくなっている状態で、俺に勝とうとでも?」
「そうですね・・・。やるしかないようなので!」
新たな敵と激突するのだった。




