~331~
次の日。
プワソン達は合同練習で団体戦を行っている時、リュシオルは新たに作ったアンドロイドを起動させ、桜と対面させていた。
「初めましてお姉さま。」
「まぁ・・・。お父様・・・。本当に私の願いを叶えてくださったのですね・・・。」
アンドロイドとして作ったので、涙を流す仕様にしていなかったのだが・・・。
桜は涙を零した。
「弟が欲しいと言っていたからな。こっちの都合的にも男性型が必要だったから問題はないよ。そして弟は柊だ。」
柊を紹介した後は、桜にすべて任せることにした。
「それでは柊の教育はお任せください。」
「あぁ。任せた。」
桜はルンルンで柊の手を取り、屋敷を案内し始めた。
「さて、俺は城に戻るとするか・・・。」
転移で城に戻って行った。
一方ルーチェは山の方に来ていた。
「(ここが拠点となっている所ですか・・・。)」
報告に受けていた、魔人の拠点地を見に来ていた。
見るからに魔獣がワラワラしており、さらに異種族がいっぱいいるのに争いもせずにおとなしく従っていた。
「(これは異常なことですが、操る者がいないとなると協力しているとしか思えませんね・・・。だけど、遠くの方から微かに血の匂いがするのですが・・・。)」
たまに風に運ばれて血の匂いが微かにするような感じがしていた。
しかし、これ以上奥に行くとなると戦闘は避けられないため、見るだけにした。
「(これはリュシオル様の指示を仰いだ方がいいのだろうか?あ・・・あの方は!!)」
偵察をしていると、ラークの姿をルーチェは見つけた。
「(あの方はシュバリエ家のラーク様?なぜこんなところに・・・いや・・・あれは人の姿をマネをしているだけかもしれません。前にラークさんは操られたりしているから敵に情報が渡っている可能性がありますね。これは要検討です。)」
今回は見るだけにして、帰ろうとしたその時、女の子の悲鳴が聞こえてきた。
「(うそでしょ・・・?)」
裸に剥かれた女の子が2人魔獣の前に並べられ、今にも食べられそうになっていた。
「(隠密的にはこれは見逃す出来事・・・。しかし・・・。)」
報告に戻るべきか、助けるべきか・・・。
思い悩んだ末、出した結論が・・・。
「若い女の子をどうこうするのはいただけないですね。」
「キサマ、ソコ、ドケ!」
「ソレ、ワレラ、クモツ!」
片言の言語を話し、ルーチェを今にも襲おうとしていた。
「出来る限りやるしかありませんね・・・。とりあえずこれを。」
無造作に衣服とくつを取り出し女の子2人に投げて渡す。
「どうすれば・・・。」
「とりあえず服を着てください。靴と。時間は私が稼ぎます。そして合図をしたら走ってください。〖シャイン〗」
「お呼びでしょうか?」
シャインを召喚し、人間形態で出てきたので獣形態に戻らせて指示を出す。
「その子達を乗せて遠くに逃げて?」
「姫様は?」
「後から追いかけるわ。あの方に頂いた翼があるから問題ないわ。」
「分かりました。ご武運を・・・。」
「えぇ。無事に送り届けるのよ?」
いそいそと着替えだした女の子を背に弓を構える。
「カカレ!!」
後ろを守りつつの防衛戦がスタートした。
ほぼ四方からかかってくる魔獣を少し危なげながらだが、確実に躱し、隙を伺う。
「ここが薄くなって来たわね・・・。シャイニングアロー!今よ!」
薄くなってきた魔獣の壁の隙をついて、道を作る。
そこをシャインが女の子2人を背に乗せて駆け出す。
「ここからは持久戦です。」
「オモシロイ。マズ、オマエ、クウ!」
さらに増えてきた魔獣を相手にルーチェは戦うのだった。
おっと?
これは・・・・。




