~327~
グローリアの方は市場で買い物三昧であった。
女同士だけというのもあるのか、結構はっちゃけている。
「これもいいかも~!」
「これなんかどうでしょうか?」
「いいわね~!私の分も作ってくれるの?」
きゃいきゃいしながら、布地を見ていた。
グローリアの趣味である服作りの材料を見に来ているのだ。
「ここに置いたものを全て購入します。」
「へ?!これを全部で?!」
「そうですわよ?」
「あの・・・お金はおありですか?」
貴族女子の付け買いかと思われたのか、恐る恐る店員に聞かれた。
「もちろんありますわ。おいくらですの?」
「金40枚になりますが・・・。その・・・手持ちに持たれている風に見えないので・・・。」
確かに見た目はグローリア・ルーチェ・アンブル共に手ぶらの状態である。
「ゴールドさんお願いしてもいいです?」
「預かっている分ですよね?どうぞ。」
ルーチェが取り出したのは、コインの形が分かるぐらいパンパンの革袋が5つである。
「5つもいらないですよ?1つを残して後は直しといてください。大体1個100枚ぐらいです。」
「そうだったのですね。先に聞いておけばよかったですね。」
出した分のほとんどを直しているとアンブルから声がかかった。
「ゴールド、私の預けた分から私達2人分の布代払って?」
「アンブルさんの分ですか?私の分は私が払うつもりだったのですが。」
「2人分ぐらいわけないですわ。お世話になってるからわたくしに払わせてくださいな。」
サッと金貨の山から40枚取り出し払ってしまった。
「では、次の店では私に払わせてくださいね?絶対ですよ?」
「う・・・わかりました。おねがいします。」
「じゃあ次の所は私ね?」
次に払うのがルーチェ、次がアンブルとなった。
つまり、布屋に3件行くことになる。
それを聞きながら、布を包んでいた店員は倒れそうになっていた。
「あの・・・これって・・・。」
「私が持ちます。」
「え?全部?」
言っている間に、アイテム袋にすべて収納してしまった。
「お買い上げありがとうございました・・・。」
店員は見送った後、その場で倒れてしまった。
それを繰り返すこと後2件。
同様のことを起こして、医院には3人の店員が運ばれたそうな。
「いっぱい買いましたわ~。当分買い出ししなくても作れますわ!」
「本当にいいんでしょうか?私の分をお作りになるとおっしゃいましたが・・・。」
ホクホク顔をしたグローリアにルーチェは申し訳なさそうな顔をしてグローリアに話しかけた。
「わたくしの趣味で作っている物ですし、意外と評判はいいと言いますからせっかくですし、お世話になっている友人にはお贈りしたいですわ。そんなんこと言わずに受け取ってくださいな。まだ出来ていませんけどね?」
しかし、返されたのは舌をペロッとだしながらの感謝の言葉だった。
「ありがとうございます。」
「私からもありがとうね。綺麗な新作の服と来てみたかったのよ。」
「それなら叶えられそうで良かったです。創作意欲はすごく湧いているんですよ。いくらでもアンブルさんの服が作れそうです。」
「ならできたら、最初の一着以外支払うわ。」
「そんな・・・受け取れませんわ・・・。」
価値があるものを作ってもらうのに、対価は必要だと思ってアンブルは支払うと言ったのだが、拒否されてしまった。
「そう・・・。ならかわりにモフモフならどう?」
「!!!存分にしても良いので?!」
「え・・・えぇ・・・対価ですもの構わないわ。」
「それならば頑張らなければ!」
少し血走った目で気合を入れたグローリアを見て、アンブルは恐怖するのだった。
アンブル・・・。
それは選択を誤ったのではないだろうか・・・・。w




