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続きです。
「ほぅ・・・。これは何と見事な・・・。」
「なんて綺麗なんでしょう・・・。」
くぐり抜けた先には見事なシャンデリアが煌々《こうこう》と輝いており、他にもキラキラと輝いていた。
「こちらが玄関ホールになります。」
「なんと!これが玄関ホールと!!!」
「はい。さようでございます。」
それを聞いた王と王妃は驚愕していた。
いったいダンスホールはどれほどになるのか想像が出来なかった。
「それでは、我が主の屋敷ツアーにご案内します。」
「あぁ!是非ともお願いする!」
「少しお待ちになって!わたくしは靴を変えますわ!」
王は興奮していたが、慌てて王妃が靴を変えだした。
急な行動だったため、不思議に思いリュシオルは声を掛けた。
「どうしたのですか?」
「これほど広いとヒールだと歩き疲れてしまうわ。だから、ヒールのない靴をもしものために持ってきていたのですわ!さっそく履くとは思いませんでしたが・・・。持ってきて正解でしたわ!」
キラキラとした目をして急いで履き替えていた。
「さぁ!準備できましたわ!行きますわよ。」
その様子を見て、リュシオルは少し苦笑していた。
王も王妃も、ほぼずっと人の目を気にして生きて来なければならなかった。
その中、こういった切り離された空間に来たことで、本来好奇心旺盛だったのか、解放されてハイテンションになっているようだった。
「桜。少し向こうも気になるから見てくる。」
「かしこまりました。お気をつけて。」
リュシオルは桜に一言、言ってからその場を離れた。
「それでは案内します。こちらが・・・。」
案内を始めた声を聴きながら城の方に移動した。
まず初めに、プワソン達の方を見に行った。
「はぁぁぁぁ!!!」
真ん中では手合わせをしている様子が見れた。
「グロース・ファクトのメンバーは頑張っているようだぞ。」
「クラル様。」
「私も異空間の屋敷に行きたいのだが。」
「クラル様もですか?外の空気を吸ういい機会では?」
異空間は息が詰まるのではないかと思い、今日はこちらで過ごしてもらうつもりだったのだが・・・。
「残念ながらそうではないみたい。あの空間の方が居心地がいいんだって。」
バルトが手を降参と上げた。
「そうですか。では、案内しますが、王様は王妃様と共に屋敷ツアーを楽しまれていますよ?」
「構わない。私は図書室に籠るから。」
「はぁ~・・・。わかりました。グローリア様はこちらに残るんですよね?」
まさか、グローリアも戻りたいと言っているのではないかと思い、クラルに聞いた。
「あいつは今、市場に行っているはずだ。ゴールドとアンブルさんと共に。」
「あ~・・・女子会ですね。わかりました。また様子を見に行っておきます。」
「頼んだ。では連れて行ってくれ。」
クラルの望んだとおりに、異空間の屋敷への扉を出した。




