~319~
見えない戦いから2人は姿を現した。
「はぁ~・・・。さすが・・・・。これ以上は無理そうだ・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・・ため・・・息・・・だけ・・・です・・・か・・・。」
ため息を出した騎士団長に対して、息も絶え絶えにプワソンは答えた。
「場数が違うからな。まぁよくやった方だと褒めよう。」
「ふ~。もう次の一撃が最後になりそうなので、よろしくお願いします。」
「楽しかったのだがな・・・。まぁいい。今後も手合わせできるならしたいものだ。では・・・。全力でかかってこい。」
「・・・・。」
アキードの言葉で頷き、一度目を閉じた後クワッと目を見開き、駆け出した。
最後の全力の一撃を叩きこむようだ。
姿が消えて、見えた時には上段から思いっきり振り下ろしたプワソンだが・・・・。
その攻撃はあっさりと受け止められていた。
「最後にしては中々の重みがあるではないか。」
「ははっ・・・。これも軽くですか・・・。参りました・・・。」
簡単に受け止められて、なす術がなくなったプワソンは降参をすることとなった。
「これで全員の実力を見ることが出来たが、中々有望である。是非とも騎士団に入って欲しいところだが・・・。そういう訳にはいくまい?」
「お察しの通り。我々は入団を考えていない。」
肩で息をしていたが、少し落ち着いたのか口調も戻っていた。
その言葉を聞き、騎士団長は頷いた。
「では、昼食後、本格的に訓練を開始する。今日は全員食堂で食べるように。」
それを聞いた兵士は残念な声を上げた。
「うそだろ?それはないぜ・・・。」
「食堂のくさい飯を食うなら、食べない方がいいぜ・・・。」
「舌が腐ってしまう・・・。」
「お前ら!聞こえているぞ?!四の五の言わず、さっさと食って来い!!!」
騎士団長が咆え、兵はクモの子を散らすように散らばって行った。
「さぁ・・・私も食べに行くとするか・・・。」
「あの~アキード殿。なぜ皆さんあんなに拒否をしていたのですか?」
「あぁ・・・。我が兵士食堂は量は多いのだが、なんせ味が悪くてな。ああいう風に兵士も嫌がる程なのだ。まぁ・・・一部は孤児から成り上がった者もいるから利用している者はいるらしいが、ほとんど、最初の新人の入りたてに食べるぐらいだった。」
言いづらいようだったが、仕方ない風に言ってきた。
騎士団長も食べたことあるのか、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「そこをシャドーブラックが変えると・・・。」
「そうだ。願ったり叶ったりだった。」
「そうですか。なら食事は改善されましたね。」
あっさりと改善されたと言ってのけたレオーネの方をびっくりした顔でアキードは見た。
「その・・・そんなに変わるもの・・・なのか?」
半信半疑から出た言葉だが、そんなすぐに味が変わるとは思えなかった。
何十年も変わらない味だったからだ。
「たぶんですが、シャドー・ブラックではなくて、執事風の男が残っていませんこと?」
「そうだが?本人が残ると思われたのだが、違う者が残っていて少し驚いたが、本人はシャドーブラックの執事だからというもんだから放っておいたが・・・。」
エクラに言われ、シャドーブラックがやっているのかと思って見に行ったが残っていたバルトで姿を確認したという
「((((調教されていそう・・・・。))))」
グロース・ファクトのメンバー全員の心の声が一致した瞬間だった。




