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お腹もいっぱいになったし、久しぶりの甘いものに癒されたリュシオルはルンルンと色んな店を見て回っていた。
魔道具の店や行ったことのない武器・防具の店とウィンドウショッピングしていた。
箒とか売っていたが、某映画のような飛べるやつではなく普通に掃除に使う箒だったのが少し残念に思っていたが、中々楽しめた。
その後は市場に出向き、野菜や肉といった物を適当に買ってアイテムボックスに詰めて宿に帰ることにした。
部屋に入るとルーチェがすでに帰っており、荷物を整理していた。
「リュシオル様。お帰りなさい。」
「ああ。ただいま。どうだった?楽しめた?」
「はい。めいっぱい楽しみました。」
「それは良かった。なんか問題はあったりした?」
奴隷ということで邪険にされていないか心配で聞いてみたが、満面の笑みで首を横に振った。
「まったく問題なかったです。この首の証を見て丁寧に案内されたので逆に恐れ多かったです。」
「そっか・・・。やっぱりそれは特別なんだな・・・。」
改めて変化した奴隷の首輪の威力を知った。
「そろそろ夕食だから降りようか。食べ終わった後においしいもの買ってきたから部屋に帰ってきてから一緒に食べよう。」
「気になるので早く食べに行きましょう!」
ルーチェは何か分かっていなかったが、良い物であると本能的に嗅ぎ取ったのかリュシオルの腕を引っ張って食堂に急いだ。
満腹になって部屋に戻ってきたが、ルーチェは目をキラキラさせてリュシオルに訴えてきていた。
「焦らなくても出すよ・・・。ほら!屋台で見つけたりんご飴だ!」
リュシオルは得意そうにりんごとイチゴを出した。
「アプの実とイチの実ですね。それ聞いたことはあったのですがとてもおいしそうです。」
「だろ?食べよう!」
ルーチェに手渡し、リュシオルはイチの実の方を舐め始めた。
「う~ん。おいしい~。」
リュシオルはまたも蕩けた顔になっていた。
それを見たルーチェは少し顔が赤くなり俯いたがその後はアプの実に齧り付いてリュシオルと同じように顔を蕩けさせていた。
「な?おいしいだろ?もっと甘いものは無いのかな?」
近くで甘いものを見なかったためにそうつぶやくと。
ルーチェは少し知っていたみたいでリュシオルのつぶやきに反応した。
「王都の方にいけば色んなのがあると聞いたことがあるのですが、いかんせん普通に奴隷してたものであまり詳しくないのですが・・・。」
「いや。それだけ知れたなら十分だよ。王都に行くのが楽しみになったから。」
飴をチロチロ舐めながら答えていたが、その姿を見たルーチェは固まってしまった。
「どーしたのルーチェ?」
「リュシオル様・・・。飴を舐めながら歩かないでくださいね・・・。その破壊力はまずいです・・・。」
「え・・・。問題ある?」
「はい・・・大問題です。即倒ものです。医療所送りになりるぐらいです。」
「そんなに危険なのか・・・あ!どうしよう!」
「もしかして!帰ってくるまでに一個食べて歩いてきたのですね!?」
「うん。どうしよう・・・。」
話がかみ合っていますが、考えていることはかみ合っていません。
ルーチェは色気の話をしていますが、リュシオルは不細工でキモイ方と思っています。
食い違いがあったが、自重しようと働きかけたのでこれからは被害は減ることでしょう。
「今日は仕方ないです。これからは気をつけてくださいね。」
「うん。気をつけるよ。」
今日の話をしているといつの間にか、飴は食べ終わっていた。
明日はギルドに行く予定なので、さっと体を拭き早くから寝ることにした。
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いつも通りに支度をし、ギルドに行くと相変わらずごたごたしていたが、受付は一個空いていて受付のお姉さんはいなかったが、クロワがリュシオルを見つけると空いてる受付を指差し、おいでおいでとジェスチャーを送ってきた。
誘われるまま受付に行くと、クロワはジェネラルの話をしてきた。
「おはようございます。早速ですが、報酬の話をしますね。」
「おはようございます。よろしくお願いします。」
すぐに話をしようとしてきたクロワにすぐ反応し答えたリュシオルにクロワは頷き話を始めた。
「討伐の報酬ですが、116匹の討伐により5万8千の支払いになり、ジェネラルは100万になります。そして、ジェネラルからは魔石が見つかったので、そちらの支払いは別に50万とさせて頂きます。」
「かなりな金額ですね・・・。魔石は大きかったのですか?」
「はい。群れから独立するということは、長い期間生きているので魔石も生成され大きく育ちます。今回も長く生きていたみたいで多き上に純度もそこそこ良かったのでこの値段になりました。」
「そうですか。ありがとうございます。続いて質問なのですが助かった女性たちはどうなりましたか?」
助けた女性たちが気になっていたので聞いてみることにした。
「はい。そちらはまったく問題なく・・・って程でもないんですが、女性たちはこの町に残って店をすると言っていて。保証金全員のを合わせて店を買い、仕事をするそうです。」
「言ってたのは本気だったんだ。お金は足りるんですか?」
「はい。足りるとは思うんですけどギリギリですね・・・。」
保証金もそこまで多く渡すことも出来ないので、少しクロワさんも困っていた。
「じゃあ、魔石分を上乗せしたらできますか?」
「え?確かに魔石分があれば十分出来ます。仕入れの元金も出来ますが・・・本気ですか?」
普通はそこまでする冒険者はいないのだが、リュシオルの言葉にクロワは思わず聞き返してしまった。
「はい。せっかくの縁ですし、成功して欲しいじゃないですか。」
「すごいですね・・・。」
「いえ。それに成功して俺に奢ってくれるって約束してくれましたし。」
笑顔で伝えるとクロワは一つため息をついた。
「あ!ただ、俺からのとは伝えずに、保証金と一緒に渡してもらえますか?」
「分かりました。リュシオル様はお人よし過ぎます。騙されないように気をつけてくださいね?」
「わかってますよ。これは俺のわがままです。それに付き合わしてすいません。」
「いえ。このようなことなら喜んで受けますよ。」
リュシオルの優しい心に触れて、クロワもうれしい気持ちになっていた。
少し遅れました!!すいません!!




