~318~
「それでは最後の試合となる。グロース・ファクトのリーダーは私が相手になろう。」
騎士団長自ら出ることとなった。
そのことに、兵士たちはざわついている。
「まさか団長が出るとは・・・。」
「総大将まで務めた団長の実力がここで見れるぞ?!」
「私たちは見たことないので・・・。噂には聞いていましたが、すごいのですか?」
「すごいも何もあの時は圧巻だったぜ?」
「いいな~。でもここで見れるってことですよね?」
「そうだ。目を閉じるんじゃないぞ?」
よほどすごいのか、あちらこちらで質問攻めになる先輩が多かったみたいである。
そして、両者が中央に出てきた。
「改めて名乗ろう。私は騎士団団長アキードだ。」
「私はグロース・ファクトのリーダーを務めている稲妻の刃。」
名乗った後、アキードがちらりとプワソンの背中の方を見た。
「得物はその大剣か?」
「そうですね~。メインとなるよう鍛えている最中です。最近までのメインはこっちでしたが・・・。」
そう言いながら、腰に差した剣をポンポンっと叩く。
そして気づいただろうか?
プワソンの口調が変わっていることに・・・。
「なるほど。決定打が足りず、武器を変えたということだな?」
「さすがです。思い悩んでスランプになっていまして・・・友人から助言を貰い、道が開けたと言いましょうか・・・。」
「いい友人を持ったな。」
「そうですね。良き友人を持つことが出来ました。」
審判は無くなり、両者のギブアップのみとなった。
ただ、この条件を聞き、さらにプワソンは笑みを浮かべた。
「それでは、お手合わせお願いします!」
プワソンの掛け声が試合の合図となった。
まず初めに動いたのは勿論プワソン。
「いい機動力をしている。だが、それでは私に一太刀も入れれぬぞ?」
「小手調べってやつです。速さは上がりますよ?」
先ほどからプワソンの口調がいつもと違い、グロース・ファクトのメンバーは驚いていた。
「え?プワソンの人格が変わった?」
「こんなプワソン君見たことありません・・・。」
「戦闘になってから、正確変わり過ぎていないか?」
「人格が変わるぐらいこの戦いを楽しんでいますわね。」
なお、この会話は相手には絶対に聞こえない音量で喋っている。
「これも防ぎますよね!さすがです。」
「おうおう!あんたに褒められるとは思っていなかった。ということはあの戦いを知っている人間だな?むしろ参加していた人間か?」
「いえいえ。参加するには私はあの時は未熟でした。」
「ほぅ・・・。ならば限られてくるな・・・だが余計な詮索はもうせぬ。純粋にぶつかり合おうぞ。」
そこからの斬撃の打ち合いはものすごかったとだけ言っておこう。
なんせ、一般人の目にはもう見えないのだから。




