~314~
変態に気合の入ったライゼ。
それを身震いしながら、躱して攻撃してやると意気込むベリエ。
両者の戦いの火蓋が切って落とされた。
「オレっち役得・・・。」
「(攻撃を当てたら終わり攻撃を当てたら終わり・・・。)」
ベリエは呪文のように頭の中で反復しながら攻撃をしていく。
ただ、全く当たる気配が無いようだ。
頭を狙うとしゃがむ。
しゃがんだ所を狙うとジャンプ。
横からだとぬるっと躱し、斜めからもぬるっと躱す。
「中々鋭いけど、それじゃあオレっちには当たらないぜ?」
「なら、少しスピードを上げるわ。」
ベリエは素早く身体強化をしてさらに襲い掛かるが・・・。
それでも当たらない。
ニヤニヤして躱されるだけだった。
「少し早くなったけどオレっちにはよゆ~だね。そろそろ抱きつかれたくなってきたのかな?」
「戯言だわ。私はそんなこと一回も言っていないわ。これでもダメなのね・・・。じゃあ、あれを出すしかないか・・・。」
一回ベリエは攻撃を止めて、その場に止まった。
「何を見せてくれるんだ?」
「何かあるんだろうな・・・。」
ベリエが行おうとすることを兵士たちは興味津々だった。
なんせ、ベリエと対戦しているのは特殊部隊の異端児である。
この特殊部隊というのは、本隊と別の役割が与えられることが多く、重要な任務も多い。
そのため、精鋭が集まる隊なのである。
そして、この特殊部隊の規則も厳しく、ツライと兵士の誰もが知っていることなのだ。
このことを踏まえてライゼを見てみよう・・・。
・・・言葉使い、服装、髪形・・・全て風紀乱れである。
それなのに特殊部隊にいることが出来るというのは相当な実力であるということであると推測される。
その中、ベリエは女の子ながらそのライゼに食いついていっていた。
先ほどの速さでも中々早く、中堅ぐらいなら簡単に倒せてしまう実力があるのだが、それ以上のことが出来ると準備し始めているのを見て、他の兵士が気にならないわけがない。
そうしているうちにベリエの準備が出来たようだ。
「〖緑の道〗」
魔法を発動すると、ベリエの周りには緑色の風の流れが現れた。
ふわりと髪は舞い、まるで精霊のように見えた。
「おぉ~美しい!ますます綺麗になるね!それで、それってどうなるの?強化系だよね?」
「それは見てからのお楽しみよ?とくとご覧あれ!」
そう言うと、駆け出したベリエ。
ただ、駆け出してすぐは見えていたが、瞬く間に見えなくなってしまった。
しかし、ベリエが通った後には緑色の風が漂っていた。
「これじゃあ、どこにいるかすぐにわかっちゃうよ?それ!あれ?」
いる場所が分かったと思い、抱きつきに行ったが、腕が空を切った。
そう、この魔法はそこにると思わせるため風に色がついているのだが、この緑の風の残り香は数秒後に現れるようになっている。
「へ~。これは面白いね。ちょっとオレっちも本気になるよ?」
そう言うと、ライゼも姿を消してしまった。
次の瞬間・・・・。
「ヴェールちゃん捕まえた!ふふふっ・・・いい香り~。」
ベリエは捕まってしまい、放心していた。
まさかこんな簡単に捕まるとは思っていなかったのだ。
それを見た兵士・グロースファクトのメンバーは唖然としている。
「オレっちの勝ち~。ヴェールちゃん約束だからね?」
「わかったわ・・・。また日を改めて・・・。」
落ち込んだベリエはトボトボと自陣に帰って行った。
101話を訂正しました。
ご報告感謝です^^




