~312~
「では、私が出ます。」
前に出てきたのは優男だった。
「第3隊所属のフリオと申します。」
「そうか。俺は火炎の狼ってんだ。よろしくな。」
自己紹介を済ませ、構える。
リンブルは短剣2本を持って戦うスタイルのようだ。
「なるほど・・・。それでウルフなんですね?」
「それもあるかな?じゃあ存分にやろうか!」
「始め!」
合図とともに動き出す両者。
まずはお手並み拝見というかのようにフリオが振りかぶって斬りに来た。
しかし、リンブルは危なげなく左に身を捻り躱し、フリオに捻った左手から勢いをつけて斬りかかる。
「おっと!中々ですね・・・。」
「まぁ~当たるとは思っていなかったし、寸止めしようと思ってたからいいんだけど、あんた意外とやるな。」
「褒めていただき光栄ですね。しかし、まだ私にも勝機があると思えるんですが?」
「そうか?ならもう少し見せてやるよ。」
そう言うと、両手の短剣の柄を合体させて、小さな槍のようにした。
すると、リンブルの周りに炎が現れ、全身を覆い、組み合わせた短剣を口にくわえ、四つん這いになった。
その姿はまるで狼の様であった。
「なるほど、その姿が故ですね。それでは、改めて!」
フリオは、体勢を低くして、リンブルに襲い掛かるが、振り下ろした剣を口に咥えた短剣で受け止めた。
なおも攻防が続き、剣と剣が当たる音だけが響き渡った。
「さすがですね。」
「結構やるだろ?だけど、次の速さは追いつけないぜ?」
喋るために一回、剣を口から離したが、すぐに咥えて四つん這いになって走り始めた。
すると、フリオの視界から消えてしまった。
「あちゃー。詰んでしまった。」
「その通りだ。フリオさんや。」
現れたリンブルは、フリオの首に短剣を突き付けていた。
フリオは、両手を上げて降参の体勢になった。
それを見た、騎士団長が終了の合図を出した。
「いい試合だったぜ?結構見せてしまったけどな。」
「それでもまだ隠してるってことですね。」
「手の内をすべて見るってことは、よほど強いか、死ぬ時だぜ?」
「それは困りますね。出来れば強く手見せてもらう方でお願いしたいですけど、今のままでは無理そうです。」
「おう!今のままだと無理そうだぞ?まぁ~頑張ってくれ。」
握手をして、2人は自陣に戻って行った。
「次は?」
「私かしら?」
ベリエが前に出て拳を突き合わした。
「また女性か・・・。」
「オレっちがやってもいいですか?」
「おまえか・・・。まあいいだろう行ってこい。」
「やったね!女の子と戦うなんて・・・。あんなことやこんなことをしちゃうぞ?」
「はぁ・・・・。これが無かったらいいのだが・・・。」
軽そうな男がスキップのような足取りでやってきた。
「かわいいね~!」
「仮面をしているのに分かるって言うの?不細工かもよ?」
「いいや!絶対に可愛いね。オレっちのセンサーがビンビン感じ取ってるよ~。」
「変態だ・・・。」
ベリエは白い目で相手を見た。
こういったオープン変態ってよくいますよねww




