~307~
メイド長と桜が出ていった後、会議室はしばらく機能しなかった。
「身内が申し訳ないです。」
「いえ・・・。あそこまで生き生きとしたメイド長は見たことありません。」
「・・・こほん!さて、時間ですが、朝からでよろしいですか?」
「あぁ。そうしようか。」
「泊まる所はこちらで用意する。食事はどうする?兵の宿舎でも出るが・・・。」
少し歯切れの悪い言い方をしていた。
「どうしたんですか?」
「宿舎の食事はまずいわけではないのだが、うまいわけでもない。美味しいものが食べたいなら、自分で用意するか食べに行くかだ。」
それを聞いたリュシオルは、少し考えてから言葉を発する。
「それについては私の方で用意させてもらってもいいですか?」
「本当か?だが、いなくなった後の影響を考えると遠慮した方がいいのか・・・。」
「隊長・・・。」
兵たちは悲しそうな顔をしながら隊長を見つめていた。
「それなら、食堂の改革が必要ですね・・・。」
「なんだ?してくれるのか?」
すごくキラキラした目でリュシオルの方を見つめる兵士たち。
「胸を借りるので、それぐらいはさせてください。」
「助かる。よろしくお願いする。」
「では、後は当日に。」
簡単に打ち合わせをし、解散となった。
プワソンは帰ることとなったが、リュシオルは噂の食堂を覗きに行くことにした。
「こんにちは~・・・・。」
中に入ると、汚れて汚い食堂があった。
呼ぶが、返事もなく誰もいないかと思ったら、奥から誰かが出てきた。
「誰だ?こんな時間に・・・。お前は?」
「私はシャドーブラック。訳あってここに訪れたのですが・・・。」
「なんでい。ギルドの高ランク様が何の用だ?」
不審そうな目で、食堂の親父がリュシオルを見てきた。
「実は、私の友人が軍と訓練をすることとなりまして、その時の食事をどうするかと・・・。」
「あ~わかった。ここの食事がまずいからその日だけ食堂を貸してほしいってことだな?」
「いいえ。ここの改革をしようかと思います。」
それを聞いた食堂の親父は声を荒げた。
「教えられた料理しか美味しいのしか作れなくて、後は不味いままだと同じじゃないか!!」
「いいえ?何を作っても美味しくなるように教育します。」
「へ?」
あまりのびっくりする提案に食堂の親父はすっとんきょんな声を出した。
「それじゃあ、俺は無理だな。この年になって味を変えれる自信がねぇ・・・。若い者だけに教えてやってくれ。」
「あなたもですよ?」
光を纏い現れたのは、ガルディである。
「上の者がしっかりしていないといけないではありませんか。貴方様もキッチリ受けてもらいます。」
「え?俺もかよ・・・。」
「はい。今日からみっちりとさせてもらいます。」
バルトはやる気満々であった。
「じゃあお願いするね?」
「かしこまりました。全てお任せください。」
ガルディと別れて、歩いているとバルトが出てきた。
「じゃあ、護衛は僕がすればいいかな?」
「王様たちの護衛をしてくれるのか?」
「うん。寝ずに出来るのは僕とガルディだけだし、こうなったらアルシュたちも総動員になるでしょ?あの子たちは生き物だから睡眠が必要だ。」
「ありがとうバルト。」
にっこりと微笑みながら返事を返した。




