~295~
グローリアのとんでもない能力を知った所で、ホームルームとなった。
「久しぶりの学院はどうでしたか?」
レイヨンが問いかけると、所々で声が上がっていた。
「そうですか。皆さん、休んでいた分を取り返すよう授業もどんどん加速していくと思うので、しっかりと予習と復習をしておいてくださいね?」
その言葉を聞いたリンブルはこの世が終わったような顔をしていた。
「おふ・・・。死刑宣告だ・・・。」
「そこまでじゃないだろ?少し教科書を読めばいいだけなのだから・・・。」
「読んでも理解できるかどうかは分からないだからな・・・。」
「書いたあることは授業でも聞いているところだぞ?」
「文字恐怖症だから無理~。」
リンブルは救いようが無いようだ。
「また勉強会をするしかないのか・・・。」
「そのようですわね・・・。」
プワソンとエクラがため息をついていた。
「それは私も参加してみたいですね。」
グローリアが聞きつけていたのか、参加してきた。
「王女様には必要ないのでは?」
「もう。グローリアでいいって言ってるのに・・・。」
「学校では顔がさすじゃない・・・。人がいなければいいけど・・・。」
「じゃあ、個人的の時はグローリアって呼んでね?」
「はいはい。かしこまりました~。」
にこやかに笑いながら、グローリアとベリエは楽しそうにしていた。
「それじゃあ、また試験の前に勉強会を開きますか。」
「そうですね。さてと・・・皆さん帰りませんか?」
「そうだな。帰ろう。」
談話を中断し、寮に帰宅することにした。
その道中・・・。
「なんか・・・誰かに見られていませんか?」
「え?誰もいないですわよ?」
「そうだな・・・。気配も何もない。」
「魔力の痕跡もないみたいだけど?」
「そうですか・・・。」
グローリアは何かを感じたようだが、他の人間は全く気が付かなかったようだった。
「(なんでしょう・・・。ねっとりと体を舐めまわすような視線を感じたのですが・・・。気のせいだったのでしょうか?)」
少し身震いをして、寮に帰って行った。
~・~・~・~・~・~
「危なかった~。学生として入ってなかったらバレていたな・・・。」
建物の陰に隠れていた学院の生徒が安堵の声を上げた。
「馬鹿じゃないの?あんなにねっとりと見ていたらバレるに決まってるじゃない。」
「そんなこと言ってもよ~。監視対象だし、Kに報告もしないといけないんだから仕方ないだろ?」
「いいや。普通に見たらよかったはずよ?性的な目で見ていたでしょ?」
「だってよ~。あれだけスタイルが良かったら、どんな声で鳴くのか楽しみじゃないか・・・。考えるだけでゾクゾクしてきた・・・。」
「あんたの鳴かすは拷問の方でしょ?」
「あれは拷問じゃないよ・・・。愛情表現さ!」
「キモイ・・・。」
恍惚とした顔をしながら残虐なことを言っているのを同僚に汚物でも見るような目で見られていた。
「さっさと溶け込むわよ!」
「は~い。」
一般生徒と同じように生活する生徒として溶け込んでいったのだった。




