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「話が終わったが・・・。これはどういう状況だ?」
「私も片づけが終わったから来たけど・・・。これは何?」
実体がないように思われる小動物と子供たち、そして、密着具合が気になるリュシオルとグローリアを赤い顔をしながらチラチラと見る女の子達。
「何から突っ込んだらいいのかわからないが、とりあえずグローリアから離れようか?」
クラルは黒い笑顔で近づいてきたため、すぐに離れることにした。
「なんでもないですわよ?少し、内緒の話をしただけですわ。」
「内緒の話とはあれのこと?」
子供たちは小動物を携えて、走り回っていた。
「そうですわ。ほんとにリュシオルはとんでもないことをサラッとやってくれますわ。」
「あれは、どういった魔法なのだ?」
「簡単に説明すると、複雑な式の混合とゴリ押し?」
「そうだろうな。誰も出来ないだろう。」
やってのけたことにため息を吐きながら、クラルはそこに腰を下ろした。
ベリエはリュシオル側に座った。
「この光景をしっかりと目に焼き付けておかなければな・・・。」
「そうですわね・・・。」
しっかりと目を見開き、クラルとグローリアはこの光景を目に焼き付けた。
その2人を眺めるのだった。
「お兄ちゃん、おねえちゃん今日はありがとう!!」
「ありがとう!」
「また来てね~。」
「今度は、もっと早く来てね?」
孤児院の子達に手を振りながら、孤児院を後にした。
「今日はとても充実した時間を過ごせましたわ。」
「あぁ。久しぶりに気分転換になった。そして、見過ごせないことも見つけてしまったがな。帰る前に城に寄ることはできないか?」
クラルからの提案で城に向かうことになったが、ベリエは先に寮に帰ることにした。
理由は、堅苦しいところには行きたくないとのことだった。
城に向かい、王に会うことになった。
「どうだ?向こうでの生活は。」
「はい。問題なく。むしろここよりいい暮らしをしているようです。」
「そうか。それは私も行ってみたいな。今度招待してくれまいか?」
「王が望むのであれば・・・。ただし、騎士団長も付いて来てもらいたいですね。」
「もちろん。お供いたします。」
騎士団長も快く受けてくれた。
「あら・・・。何か楽しそうな話が聞こえるわね。」
何といつの間にか、王妃もやってきた。
「もちろん夫が招待されるのであれば、わたくしも招待してくれますわよね?」
「・・・もちろんでございます。王妃様。」
招待客がどんどん増えそうだった。
「では、話を切り替えさせてもらいますよ?本日、久々に孤児院に訪れたのですが・・・。」
「なにかあったのか?」
「はい。話を聞くと、孤児院はブラックと友人が訪れるまで、貧困した生活を送っていたようです。」
「それは・・・もしや・・・。」
「はい。官僚の横領です。」
王は、顎に手を当てて考え始めた。
「担当はあやつの所の下っ端だったはずだが・・・。これは大事になりそうだ・・・。」
「そうですか・・・。ですが、調べていただきたいのですが・・・。」
「わかった。密偵に調べさせよう。」
「よろしくお願いします。」
クラルは王にお願いすることにした。




