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グローリアはギルドカードを見て名前が違うことに気づいた。
「ほんとだ。クラル・ティラールとなっている。」
「なぜでしょうか?」
ギルドマスターに問いかけた。
「これについては、ご説明します。」
ギルドマスターがその経緯を語った。
曰く、王は王位を継ぐ前、お忍びでギルド登録をし、冒険者として活動していたことがあったそうだ。
その時に使われたのが、このティラールという苗字。
普通は名前だけにするればいいのだが、名前だけではバレると思い、ティラールと名乗ったそうだ。
「お父様・・・。何をされているんですか・・・。」
「それがあったからこそ、今認められているって言うのもあるのですよ?」
「感謝していいのか、何やらですね。」
少し呆れながらも感謝だった。
「どうしますか?このまま依頼を受けますか?」
「いや、なにも用意していないし、今日はカードを作れただけで十分だ。この後は食事をして帰ろうと思うよ。」
「そうですか。分かりました。」
ギルドを出た後は、お腹も減っていたので食事をするところを探していたが・・・。
「わたくし、屋台での食べ物が食べてみたいですわ。」
「私もそうだな。市井の物を食べてみたいな。」
食べるところを探していたが、屋台料理に変更になった。
「これも食べたいですわ。」
「これも頼む。」
「あれは何かしら?」
とどまることを知らずに購入していく。
「これ・・・食べきれますか?」
「皆で食べればなくなるのでは?」
「そんな食べれないですよ・・・。」
「そうか・・・どうしよう・・・。」
買いすぎた屋台料理をどうしようとしていたところ、グローリアがいいことを思いついたようで、手をポンッと叩いた。
「そうですわ!孤児院で一緒に食事をすればいいのですわ!」
「おぉ!いいこと言うではないかグローリア。では早速もう少し買い足して行こうではないか。」
「唐突ですね・・・。」
唐突の提案に振り回されることとなった。
「ここ何年も行けてないですものね。」
「いい機会だ。孤児院管理者が変わってから行けてないですね。」
「仕方ない。時間が取れなかったのだから。それでも金は私たちから少しでも出しているから少しはマシな生活が出来ているはずだ。」
王子たちは昔から孤児院に行ったりしていたようだ。
しかし、言葉を聞くにおかしい点が出てきていた。
「恐れながら・・・王子たちは金銭面で支援していたのですか?」
「あぁ。父上にお願いをして金銭を少し回すようにお願いしたが・・・。何か問題でもあったのか?」
「いえ・・・。不可解な点が多くて・・・。」
「どういうことだ?」
「まずは、時系列を確認させてください。」
リュシオルはクラルとグローリアに話を聞いた。
2人が来れなくなったのは、ここ5年程だということ。
そして、これなくなるぐらいの時に孤児院を管理する者が変わったということ。
「そうですか・・・。ならば、金銭の支給をしたのであれば、改装費も出されたということですか?」
「そうだな。補修費も出していたが?」
「余計おかしいですね・・・。」
これまで見てきたリュシオルが孤児院がどういう状況だったか話し始めた。




