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店を出た後、早速ギルドに行った。
「ここがギルドなのだな。」
「ふぁ・・・。すごいですね。」
ギルドの中は人で溢れかえっていた。
王子と王女は圧倒されていた。
「どうでしょうか?」
「うむ。想像してたのよりすごいな。」
「ご満足いただけましたか?」
「あとわがままを言っていいか?」
クラルはワクワクしながら、リュシオルに言ってきた。
「わがままとは何でしょうか?」
「冒険者登録って出来ないだろうか?」
「え・・・それは私の領分ではないので・・・。」
「あ!!シャドーブラック様ではありませんか!」
受付の所からシフラがものすごい勢いで走ってきた。
「あなたは?」
「はい!わたくしは王都ギルドの看板受付嬢のシフラです!」
言った瞬間に周りからのブーイングが凄かった・・・。
「もっとかわいい子がいる中でお前はないわ~。」
「たしかにそうね。」
「看板はないわ~。」
「うるさい!自称なんだからいいでしょ?!」
ギルドにいる冒険者もノリがいいのか、やいやい言ってきていた。
「外野は放置しましょう。それで御用は何でしょうか?」
「良いのか放っておいて・・・。それで話なのだが、奥で話してもいいか?」
「構いません。では、会議室に行きましょうか。」
シフラの案内により、会議室に通された。
「それで話とは?」
シフラが用意した紅茶を飲みながら、会話がスタートした。
「実はこの方がギルド登録したいと・・・。」
「では初心者登録ですね。」
「そうなるんだけど、実はそう簡単ではないんだよね・・・。」
「どういうことですか?」
ただ単なる紹介された人の初心者登録かと思ったシフラは疑問に思い聞き返した。
「名前を聞けばわかると思う。お願いします。」
リュシオルに促されて、名乗った。
「私は、クラル・ロワ・ヘイナードという。」
「わたくしはグローリア・ロワ・ヘイナードと申しますわ。」
名前を聞いた後、シフラは固まってしまった・・・。
だが、さすが受付嬢。
復活も早かった。
「も・・・もしかしてロワって・・・。」
「そのもしかしてですね。」
「王子様と王女様・・・。」
ポカーンとした顔で見ていた。
「そっ!そういう事情だから、ギルドマスターの方がいいかもね・・・。」
「すぐ呼んできます!!」
人とは思えないスピードで部屋を出て行った。
「あの受付嬢は?」
「私をよく担当してくれる受付嬢で、私の素顔も知っているんですよ。」
「なるほど。だからリュシオルを見つけたとたんに突進してきたのだな。」
「そう言うことです。」
話が終わると、すぐに部屋をノックする音が聞こえた。
「失礼します。ここにクラル王子様とグローリア王女様がいらっしゃると聞いたのですが。」
「あなたがギルドマスターか。」
シフラが呼んですぐに飛んできたのか、息が乱れていた。
「はい。シフラから聞きましたが、ギルド登録に関することとか・・・。」
「さっき受付嬢に言ったのだが、私もギルド登録をしたいのだが・・・。出来ないだろうか?本格的に活動はたぶんできないだろうが、せめて登録だけでもしたいのだ。」
「そうですか・・・そうなると少し待っていただけますか?」
そう言うと、ギルドマスターは部屋を後にした。




