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ノワールが出て行ったあと、次に女の子たちが入ってきた。
「お疲れさま~。」
「ご飯作って来たよ~。」
「お疲れさま会しましょ~。え?」
いつのも調子で部屋に入ってくると、キラキラした人が見えた。
「もしかして・・・偉い人が来てるの?」
「あ・・・。ご機嫌麗しゅうございます。王子様、王女様。」
「え?ホントに王子様と王女様?」
エクラは知っていたようで、すぐに礼をした。
「これはエクラ嬢じゃないか。」
「お久しぶりですわ。クラル様。」
「他の2人はご紹介していただけますか?」
「もちろんですわ。わたくしの右がベリエ、左がレオーネですわ。」
「そうですか。はじめましてわたくしグローリア・ロア・ヘイナードと申します。」
「「本物だ・・・。」」
本物のお姫様に会って、びっくりしたレオーネとベリエ。
そして、慌てて挨拶をした。
「ご・・・ご紹介にあずかりましたベリエと申します。」
「同じくレオーネでしゅ!あぅ・・・。」
レオーネは、テンパりすぎて噛んでしまった。
「ありがとうございます。よろしければですが、お友達・・・になっていただけますか?」
「え?」
「わたくしお友達がいないのです。せっかく学院に入学したのに・・・。」
「でも、グローリア様の傍にたくさんの人がいるじゃないですか。」
「あの方たちはわたくしに媚びを売っているだけですわ・・・。」
「そんな・・・。」
グローリアは悲しそうに顔を伏せた。
「あの~。私たちで良ければよろしくお願いします。」
「ほんとに私たちでいいんですか?」
可哀想になり、そう声をかけるとグローリアはパッと顔を上げて、まるで花が咲いたように笑顔を綻ばせた。
「まぁ!ほんとですか?!うれしいですわ!」
目をキラキラさせて、ベリエとレオーネの手を取って、握手した。
でも可哀想な話である。
周りに人が寄ってきても、疑心暗鬼で信じることが出来ずに過ごす学院生活。
「私たちで良ければいくらでもお話しさせていただきます。」
「ベリエちゃんの言う通りです。私も王女様と仲良くしたいです。」
そういうと、ぷぅ~と可愛らしく頬を膨らませた。
「嫌ですわ!ちゃんとグローリアと呼んでくださいまし!」
「でも・・・。」
「グローリア様は王族の方ですし・・・。」
「血筋はそうかもしれないですが、わたくしはただのグローリアとしてベリエとレオーネの友達になりたいのですわ!もちろんエクラもです!」
グローリアにそう言われて、ベリエとレオーネは困った顔をしていた。
そして、助けを求めるようにエクラの顔を見た。
「諦めるしかないわよ。グローリア様・・・いえグローリアはこうって決めたらテコでも曲げないから説得をあきらめた方がいいですわ。」
「さすがエクラは分かっていますね。ということで諦めてくださいまし?」
諦めるよう言われ腹をくくり、ベリエはグローリアに向かい合った。
「わかったわ。これからはグローリアって呼ぶわね。これでいいんでしょ?」
「はい!憧れていた友達です!ぜひガールズトークや城下町に遊びに行きましょうね?」
「もちろんよ!おいしい物とか可愛い物を教えてあげるわ。」
ベリエはすぐに打ち解けたようだった。
一方レオーネは控えめに横にいるのだった。




