~278~
仮面を路地で取り、2手に分かれて学院の寮を目指した。
「リュシオル成功したかな?」
「見つけたのは見つけたって言ってたから、もうそろそろ見つかってると思いますわ。」
「そうね~。あのリュシオルだもん。苦労せずに助け出せたんじゃない?」
「でも、難しいようなことは言っていましたわ。それに、人の魔術や魔法に干渉するのって相当なレベルであって、さらに理解していなければできませんわ。」
「理解していても無理ですよ。それを分解してバラバラにした後に組み立てれるぐらいでないと。」
「確かに。魔法を理解していても、それをって考えると難しいわね。」
歩いているうちに、寮の前まで到着した。
「みんなでお風呂に入りましょう。公衆風呂なら入れるでしょ?」
「そうですわね。今はその気分ですわ。」
「洗いっこしましょ!」
女の子たちはきゃぴきゃぴしながら、部屋に用意を取りに行った後、街の公衆風呂に向かった。
「さて、順番に風呂に入るとするか。」
「どっちから入る?」
「どっちでもいいぜ~。でも汚したら怒られそうだから、先に入らせてもらってもいいか?」
「そうだな。私なら汚さずに待ってられるな。」
「すまんな。すぐに汚れを落としてくるぜ。」
プワソンとリンブルも遅れて寮に着いた。
階段を上がりながら、お風呂の順番を決めて部屋のドアをかけて中に入った。
「あら?おかえりなさい。」
「ご苦労だったな。」
「へ?」
「クラル様に・・・グローリア様まで・・・ご無事の帰還お喜び申し上げます。」
すぐに膝を着き、礼をする。
リンブルも習って、すぐに同じ礼をした。
「かしこまらなくてもよい。ここにいる時は同じ学友だ。仲良くしようではないか。」
「そうですわ。ここでお世話になっている身です。ここの主は貴方たちですわ。」
「それに、私たちのために動いてくれたこと感謝している。早く風呂に入りたいはずだ、ゆっくり入ってきたまえ。」
そう言いながら、リビングのソファーに座り、お茶をしていた。
かなり寛いでいる。
「お心遣いありがとうございます。お見苦しいと思いますが、1人ずつしか入れませんので・・・。」
「分かっておる。気にするな。では、待っている間、話を聞かせてもらえるか?」
リンブルが入っている間、プワソンが王子と王女の相手をすることになった。
「あ!おかえり!」
すると、リュシオルが奥から出てきた。
「ただいま。」
「オレも一緒に話を聞いていいか?」
「奇妙な体験だったのを話そう。その前にクリーンの魔法をかけてもらっていいか?」
「OK~。」
プワソンの頼みにより、クリーンの魔法をかけてあげる。
リンブルがお風呂に入っている間、迷路の話をした。
「なるほど・・・。中々な苦労をしたようだな。」
「はい。ダンジョンではなく、迷路だったのでまだ助かりましたが、奇妙も奇妙な体験でした。」
「そこでツインズに会ったんだ・・・。何か言っていたか?」
「ヒントを与えるって言って遊ばれたが、結果、少しでも多くの情報を手に入れることが出来た。それがこれだ。」
懐から出したのはあの手に入れた地図である。
「これがそうなんだが・・・。」
「ただの線だが・・・。」
「これは道筋ってことだね?」
王子は訝しげに紙を眺めていたが、リュシオルがちらっと見てすぐに当てた。
「さすがだな。その通りだ。だが、地図は探しきれないぐらいある。」
「すべて当てはめていかなければならないな・・・。」
目頭を押さえながら、ため息をクラルは吐いた。




