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メイドがバタバタと用意をしている中、王子と喋ることとなった。
「グローリアも行ったことだし、深い話をしようか。」
「と言いますと?」
「組織の情報とかだな。私達を救出した時にAがどうのこうのって言っていたのをな・・・。」
「その話ですね。実は・・・。」
リュシオルがなぜAを知っているかという話を話すこととなった。
「なるほどな。向こうから接触してくると・・・。確かに今現在、向こうのアジトもわからない状態で向こうからの接触はヒントになるが、中々敵もしゃべらないだろうな。」
「そうですね。帰り方も転移のような方法を取っていますからね。地上を辿ってくれれば、見つけることが可能なのですがね・・・。」
「確かにリュシオルの能力なら可能だろうな。」
顎に手を当てながら、考えるポーズをしていた。
「今、捜索隊が怪しいところを当たっているんですよね?」
「そうだ。私たちは無事だったが、せっかく派遣したからそのままアジト捜索に切り替えることとなった。」
「せっかく派遣したことですものね。そのまま行く場所だけでも見てみるべきですね。」
「私もそう思う。父上もわかっておられるようで、アジト捜査に切り替えられるそうだ。」
今後の対策を話そうとしたとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「お食事の用意が出来ましたので、ご案内します。」
「わかった。さあ行こうか。」
話をそこで切り上げて食事に向かった。
案内されたのは少し豪華な部屋で、想像しているような貴族のテーブルだった。
縦長く、一番奥が王と王妃、その後は、サイドに王子と王女が年齢順に並んでいた。
ちなみにリュシオルの席はお誕生日席である。
「(なんか学生の時を思い出すな~。悪くないと思うけど、このお誕生日席はあまり好きじゃないんだよね~。)」
リュシオルは特別扱い的なこの席はあまり好きではないようだ。
「今宵は、作法を気にせず家のようにゆるりと楽しんでくれ。」
「お心遣いありがとうございます。」
「それでは、大地の恵み・民に感謝を。」
「「「「「感謝を!」」」」」
グラスを掲げて大地と民に感謝を捧げて乾杯をした。
出てくる料理は、どれも高級に盛り付けられて、どれもすごくおいしかった。
だが、別の国のご飯を食べているような気分だった。
「どうだ?味は。」
「とてもおいしゅうございます。食べたことのない物ばかりでございます。」
「確かにいつも食べている物だが、シャドーブラック様の所で食べたあの料理も美味しかったぞ。」
「お兄様?どういうことですの?」
第2王女が第1王子であるクラルが問い詰められていた。
「助け出されたその日に食事を出してもらったのだが、空腹だったのかすごくおいしく感じて食べていたのだ。だが、腹が膨れてくると、中々進まないと思うだろ?それが、またよく味わうと本当にうまいのだ。優しい味なのだが、五臓六腑に染み渡るうまさだった。」
「ほぅ・・・。それは我も食してみたいものだな。」
王子の話を聞き、王が反応したようだ。
「作ったのは家臣か?」
「そうですね。働いている者です。」
「呼び寄せることは可能か?是非とも雇ってみたいものだが・・・。」
「それは・・・。申し訳ありませんができません。」
「そうか・・・。なに!気にしなくてもいい。では、1回だけ作りに来させてもらえないか?是非とも息子が絶賛する食べ物を食べてみたいのでな。」
少年のように目を輝かせながら言ってきた。
「分かりました。では、日を改めて提供できるよう準備いたします。」
「分かった。用意できる日が決まったら宰相に伝えるがよい。」
「かしこまりました。陛下。」
食事の用意する約束をすることになってしまった。
実際作るのは桜になるのだが、素材だけでもこだわろうと考えるリュシオルだった。




