~248~
「おかえりなさいませ。お父様。」
異空間の家に来たリュシオルを迎える桜。
「あぁ。ただいま。すまないが、しばらく別の異空間を作って篭ることになるから。」
「そうでございますか・・・。では、簡単に食べれるものを多数用意いたしますので、空腹を感じましたらお食事を。」
「どれぐらい時間がかかる?」
「1刻ほど頂ければ・・・。後、よろしければガルディ様が手伝って・・・。」
「よろしいでしょうか?」
桜の声に反応してすぐにガルディが出てきた。
「構わないよ。待っている間、他の召喚獣たちの様子を見てくるよ。」
「かしこまりました。準備が出来次第お届けいたします。」
手をヒラヒラさせながら召喚獣がいるであろう場所に移動した。
「あれ?1人もいない・・・。」
リビングに居るかと思ったが誰もいなかった。
もしかしてと思い、大きく作った鍛錬場に足を運ぶことにした。
「ぐぁぁぁぁ!!!」
「きゅ~~~~~!!!!」
「はぁああああ!!!」
「ぐはっ!」
「ぴゅぃいいいいいい!」
爆音と共に気合の入った叫び声が聞こえた。
「な・・・なんだこれ・・・。」
空間が潰れることはないが、最大魔力とかの魔法で傷ついた姿で戦っていた。
血まみれだったのだ。
「くっ!これでは役に立てない・・・!」
「もっとよ!!!」
召喚獣たちも燃えているのか、リュシオルが入ってきたことに全く気付かなかったみたいである。
「これは仕方ないな・・・『みんな。一回休憩だ。』」
念話で戦っている召喚獣たちに声を掛けた。
すると、やっと気づいたのかピタリと動きが止まった。
「リュ・・・リュシオル様?」
「リュー様がなぜここに?」
白熱して戦っていることで気づかなかったので、ホントに素な顔をしていた。
とりあえず、対戦を中断してリュシオルに近づいた。
「確かに強くなってくれるのは嬉しいけど、あまり無茶をしないでほしい・・・。」
「そうですが・・・。私共はある程度の域まで達してしまった身。少々無茶をしなければなりません。」
「そうなのですわ。今までは少しの力で勝ててしまう相手しかいなかった。しかし、ここは同じぐらいもしくは自身より強い者がいるから十分訓練になるのですわ。」
確かに考えると、いい環境に恵まれたと思っているようだ。
それでも、あまり無茶をしてほしくないと思ったが、ぐっと堪えた。
「そうか。命だけは大事にしてくれよ。」
「分かっています。リュシオル様を悲しませることはしませんので。」
「そうだ。だから安心しろ。」
召喚獣達は心配させまいと言ってきた。
「それで、リュー様はここにどうしてきたの?」
「本題を忘れるところだった。この後、別空間を作って、王子と王女のいる異空間に接続しようと思うんだ。」
「なっ!!別の異空間に干渉するのですか?!」
「あぁ。可能だと思う。」
「そんなことが可能になるとは・・・。やはりリュシオル様は偉大です。」
「やるしかないからなんだがね。早く見つけないと、異空間から出されてしまうと時間に余裕がなくなるということもある。」
「生贄に使われたりするからですか?」
「たぶんな。だから、監禁されている間に、絶対安全だと思っている間に取り返したいんだ。」
「そうですか。ご健闘を祈ります。」
召喚獣全員で頭を下げられた。
「ありがとう。頑張ってくるよ。その前に・・・。」
リュシオルは指を鳴らし、召喚獣たちの体の傷を癒した。
「ありがとうございます。」
「死にかけるまではやめてくれよ?」
ちょっと茶目っ気たっぷりに言ってから、その場を後にした。
鍛錬場では・・・。
「これはますます頑張らないとですね。」
「そうだ。このままでは我らの出番はなくなってしまうな。」
「違いない。やらねば。」
「私の魅惑ボディがあれば問題ないですわ。」
少しふふんっといった感じに胸をそらし、腰に手を当てていた。
「確かにアンブルはふわふわだもんな。」
みんなからほっこりとした目で見られているのをアンブルは知らずにいたのだった。




