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次の日、呼び出されていたので、リュシオルとルーチェはギルドを訪れていた。
「お待ちしていました。どうぞ奥に。」
来るとすぐにギルドの受付嬢はリュシオルを会議室に案内した。
中に入ると、グロース・ファクトのメンバー、ファンテ達、その他に知らないギルド員がいたのだった。
「来てくれたか・・・。私の隣の席に座ってくれ。」
リュシオルは公爵の横に座り、その後ろにルーチェが立つことになった。
「役者はほぼ揃ったので始める。まずは、今回の騒動に駆けつけて協力感謝する。あまり金額は出せないが、少々の謝礼と魔物を売った分で対処させてもらう。続いて、敵の親玉と対峙し、撃退と怪我している人の治療を行ったグロース・ファクトのチームにはさらに謝礼を出させてもらう。」
その事実を知っているのか、反対の声は出なかった。
「次に、2次被害である巨人の変異種と対峙し、倒したシャドーブラックとシャインゴールドは王から爵位を与えられる。しかし、シャインゴールドは奴隷のため、奴隷から市民に解放することになるだろう。」
「申し訳ありませんが、奴隷から解放は無しの方向でお願いします。」
「なぜだ?!君はなりたくて奴隷になったわけじゃないのに・・・。」
急にファンテから疑問の声が上がった。
ルーチェは深呼吸をした後、自分の想いを伝える。
「確かにシャドーブラック様に会う前は奴隷になりたくてなったわけじゃない!こんなの嫌だ!と思っていました。しかし、シャドーブラック様に会って私は変わって行ったのです。この人のために働けるのはどんなにすばらしいことだろうと・・・。この方の道を少しでもと思うようになりました。なので、解放されてもまたシャドーブラック様と奴隷契約を結ぶでしょう。」
「ゴールド・・・。そこまで思わなくてもいいんだよ?市民階級になったら・・・。」
「ブラック様は私がいらないのですか・・・?」
少し涙声になりながら聞き返してきた。
「い・・・いや・・・君が必要だ。でも、奴隷でなくても私のそばに居ることが出来るはずだよ?」
「そうなのですが、わたくしとしてはこの首輪で繋がっているという安心感が欲しいのです。」
ルーチェは形状が変わっている奴隷の首輪を右手でひと撫でした。
「そうか。なら、君の功績分は主人であるシャドーブラックに上乗せする形でいいか?」
「!!そうして貰えるならそのようにしてください。その方がご主人様に返せます!」
「そ・・・そうかではそのように手続きをしておこう。続いて・・・これもだが、街の復興にシャドーブラックが携わっていると・・・。」
「はい。そちらの方は間違いないです。」
答えたのはプワソンだった。
少し被せ気味だったのが気になるが、そのまま話が続いた。
「シャドーブラック様の魔法により、街と学院の壊れていた分については完全修復がなされています。これも近くに住んでいる者に確認をさせましたので問題ないかと。」
「私も、実はギルド員も派遣して調べさせたが、問題なかった。」
確認作業をしたという報告に、ギルドマスターも確認したと報告した。
その話を聞き、頷いた後話し始めた。
「報告の通りだ。よって、シャドーブラックにはその功績をたたえ、伯爵の地位を与えることとなる。先ほどのシャインゴールドの分を上乗せするため、確定ではないが、現時点では伯爵を授けることとなる。実名で受け取ることになるが・・・構わないか?」
クレールス公爵にそう言われ、仕方なく頷くが付け足すこととした。
「それについては別室でお話をさせていただきたいと思いますが・・・よろしいでしょうか?」
クレールス公爵は頷き返事をした。
「とりあえず、上乗せ分を王城に報告しなければならないから少し待ってくれ。」
すぐにサラサラと何かをしたため、部下の一人に持たせ、届けさせた。
「それでは次の話に移りたいと思う・・・。王子・王女誘拐についてだ・・・。」
ここから重苦しい話が始まるのだった。




