~237~
教会に走り出したリュシオルを見ていたAがふふっと笑い出した。
「ふふふふ!何か魔法を駆使して目星をつけたみたいだね。やっぱり飽きないよ君で遊ぶの!」
さっきまで地面に立っていたが、スーッと足が地面から離れ、リュシオルが走って行った方に飛んで追いかけた。
「たぶんここらへんだったと思うんだけど・・・。」
「教会ならここをまっすぐに行ったとこだ。」
お散歩などをしていたりしたノワールが先導を代わり、走っていく。
「(意外と外に出たりしていたんだな。)ここか・・・。潰れているからいそうだな。探すぞ!」
走りながら中に入って行き、中を探す。
瓦礫がたくさんあり、探すには時間がかかってしまうほどの量があった。
「これだと時間がかかりすぎるな。重力系で浮かせるか。〖グラビティ〗」
重力を無くし、瓦礫を一気に上にあげると、祈りの祭壇に近いところにルーチェは倒れていた。
ルーチェは酷い怪我と火傷で呼吸もヒューヒュー言っていた。
「これはまずい・・・〖ホーリーサルヴェイション〗!」
聖なる救済の意味をする魔法にてルーチェの傷を癒す。
しかし、なくなった血はすぐに回復することはできない。
治療されたルーチェの呼吸は今は穏やかになり、意識は回復していないが体は元に戻ったはずである。
「これでいい。それにしても全く持って無茶をする・・・。確かにあのままでは倒す糸口が見えてこなかったけど。しかし、オレもまだまだだな・・・。」
「リュー・・・。」
すると、また禍々《まがまが》しい気配がした。
「おめでと~!さすがだね!何をしたかは分からなかったけど、すぐに見つけたみたいだし。すごいよ!」
「こんな回りくどいことをさせたのはどういうことだ?」
「だから言ったじゃんか~。遊びたいって最近篭りっぱなしで飽きていたんだよ~。そこでこの計画があるって部下から聞いた時にこれだ!って思ってね。」
「そんなことのためにルーチェは・・・。」
「助かったんだからいいじゃんか~。それより、僕の部下にならない?君のその才能がそこで埋もれているのはもったいないよ?僕と一緒なら世界征服だって可能だよ?」
Aは何のこともなくリュシオルを勧誘してきた。
今さっきまでルーチェが苦しんでいるのを餌にしてゲームを楽しんで、リュシオルの怒りを買っていたのにだ。
「お前はおかしいのか?ルーチェを隠し、組織とは関係なく個人で恨みを買ったと思わないのか?」
「あれ?助かったから別にいいじゃん。その子奴隷でしょ?主人のために体を張って倒したんだからいいじゃない。名誉の死だよ。それに奴隷ぐらいいくらでも用意してあげるのに。その子にこだわるんだったら、もっと頑丈にしないとね~。僕が改造してあげようか?」
Aは悪びれることなく、そんなことを言い出したのだ。
「お前と組むことは一生無い。」
「そんな~これぐらいだったら駄目だった?もっとサービスすると来てくれる?」
「何されても無駄だ。お前のイカレた思想にこっちは鳥肌が立つくらい嫌悪している。俺とは関わらないで欲しいぐらいだ。」
「あら~完璧にふられちゃったか~。」
しょんぼりとAはしていたが、リュシオルは武器を構えて交戦体勢に入っていた。
「そっかぁ~。じゃあ今日は帰ろ・・・。ショックだな~。」
Aは独り言をブツブツ言いながら、転移して行った。
今日は少し短めです^^;




