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光属性を込めた檻に入れることで、少しでも危険を減らそうとしたのだが、これで捕らえられているとは思えなかった。
「おお~!これはいい感じの檻だね~。これで安心した?さすがに血を流しすぎるとつらいから止血するね~。」
Aは綺麗に切った切り口を黒いモヤを出して止血する。
すると、切り口が黒いモヤから泡のようなものに変わり、切り口を塞いだ
「これでよしと!さて、僕は見ているだけだから頑張って~。」
おとなしく光の檻で座って見るようだった。
「あれでよろしいのでしょうか?」
「不安はあると思うけど、何もしないと言うし、証拠に腕も斬った。敵だが、信じないわけにもいかないからあの状態で置いておく。すぐには壊せないはずだから、まずはあの巨人を優先しよう。」
「わかりました。」
目に映るものを壊しているのか、主に建物を破壊していた。
暴れる巨人を前に少し作戦会議をした。
「特に言うことはないんだけど、俺と、ノワールが近くで攻撃、アルシュとルーチェは遠くから撹乱をしてくれ。」
「わかりました。アルシュさん。」
「はい。」
素早くルーチェとアルシュは離れて、攻撃しやすい位置に着いた。
リュシオルもノワールと目で会話した後、頷き合ってから巨人に攻撃を仕掛けた。
まず、リュシオルが右足を切ると、痛みで巨人が気づき、右足の方を棍棒で殴りかかる。
その隙に、左足をノワールが攻撃する。
足を攻撃して、下に集中しているところに、上半身の方にルーチェが弓でアルシュが魔法で攻撃をと見事なコンビネーションで攻撃をしていく。
「効いている感じがしないな!」
「確かに。オレの牙でも傷が付かない。付いても少し削れたぐらいだ。」
「これなら一か所に集中した方がいいのか?」
「やってみるのもいいと思う。オレは比較的傷が付いているところを狙ってやる。」
リュシオルとノワールは全体的に攻撃していたのを、一か所に集中することにした。
普通なら、少しでもズレてしまうのだが、そこは1人と1匹の技術の凄さである。
全く同じところを牙・刀で斬りつけていく。
「結構傷が深くなっていく。」
「そっちも?こっちもだいぶ傷が深くなってきて、そろそろ血が出てきそうだ。」
ドラゴンの鱗より強力な皮膚もようやく削れてきたのだ。
一方、上半身は爆撃のようにドカドカと撃ち込まれているので段々焦げてきたような匂いがしていた。
『リュシオル様。このままでは埒が明かないと思われます』
ルーチェから念話が入ってきた。
『確かにそうだね。でも、他の案が全くないし。』
『1つ案があるのですが・・・。』
ルーチェから提案があった。
『それで、俺たちはこのまま攻撃していたらいいのか?』
『はい。それと合図をしたらこの巨人の顔を上に向けさせてほしいのです。』
『アルシュは聞こえた?』
『はい。最初から私もノワールも聞いております。では手筈通りに行動します。』
『どうするのか分からないけど、とりあえず、ルーチェの案をやってみよう。』
『はい。信じてお任せください。』
ルーチェの提案は採集にどうするか分からなかったのだが、タイミングを合わせて倒すようだ。
ルーチェはそれからタイミングを計り、攻撃の隙を伺いながら、魔力を練っていた。
すると、ルーチェから念話が入り、タイミングを合わせるようだ。
攻撃をしながら、巨人の顔を向ける準備をした。
『今です!』
念話でルーチェが声を掛けた後、巨人の顔を上に向かせた。
すると、声をかける前に飛び出していたルーチェがちょうど巨人の顔の上に飛んでいた。
「いっっっけぇぇぇぇぇぇ!」
巨大な魔力の球を無理やり矢の大きさにし、さらに圧縮をした矢を巨人の口に近くから撃ち込んだ。
するりと飲み込まれていった矢は巨人の腹の中に刺さり、大爆発を起こした。
「ぐはっ!」
「ぐっ!」
近かったリュシオルとノワールも飛ばされてしまった。
しかし、一番近くにいたルーチェはもちろんのこと逃げ遅れていることになる。
「ルーチェ!!!」
すぐに起き上がり、ルーチェを探すが見当たらなかった。




