~234~
滅多刺しにされている巨人は命の危機を感じ、急に咆哮を上げた。
「なんですか・・・あれは・・・。」
巨人が咆えた後、体が真っ赤になり、鱗の数が増えたのだ。
「ついになったか。バーサーカーに。あれになるとめんどくさいんだよな~。」
ポリポリとスティック状に揚げたものを食べながら解説するA。
「バーサーカー?もしや狂戦士化ということですか?!」
「そうそうそれ~今風の言い方はバーサーカーで昔なら、狂戦士化だね~。」
「!!!それならリュシオル様が危ない!」
「アルシュ!」
バーサーカー状態のことを聞き、アルシュはルーチェの静止の声にも止まらず、リュシオルの元に駆けだした。
「赤くなっただけで偉そうにして。馬鹿じゃないの?バーサーカーといったところで所でしょ?やることは変わらないよ・・・。」
リュシオルもわかっていたのか、ブツブツと小さな声でつぶやいていた。
「リュシオル様!危険です。」
「危ないから下がってて。こいつの・・・がぁ!」
アルシュは走って傍に行くものの間に合わず、少し後ろを向いた瞬間にリュシオルは棍棒で殴られて建物を潰しながら吹っ飛んでいってしまった。
「あ・・・リュシオル様・・・。」
伸ばした手は空を切り、リュシオルには届かなかった。
伸ばした手を戻し、人型になりリュシオルが吹っ飛んでいった方に飛んで行った。
「痛っ!急にスピード上がって、空気読めなくなったってか。」
瓦礫からガラガラと音を立てながら外に這い出た。
「りゅじおるざま~!」
涙を流しながら鼻声で声を出しながらアルシュが探しに来た。
「ここだよ・・・。」
「あ!りゅじおるざば~!」
「余計にひどくなってる・・・。ほら。鼻かんで・・・。」
ポケットからハンカチを取り出し、アルシュに渡すとグシグシと拭き、ぐちゃぐちゃだった顔がマシになった。
「お怪我はありませんか?!」
「怪我してるっぽいけど・・・あ~肋骨折れてるわ・・・。」
「今すぐヒールを!」
「こんだけだとリカバリーの方だから・・・。」
あたふたしながらヒールを掛けようとするアルシュを宥めながら、自分にリカバリーを掛けた。
「あー。頭が冷えた。アルシュありがとう。」
「いえ・・・!とんでもない!何もできなかったわたくしが悪いのです。」
「私も防御を突き抜けて攻撃されてしまいました。申し訳ありません。」
アルシュとガルディが謝ってきたが、頭に血が上り、周りの声が聞こえてなく、突っ走ったリュシオル自身も悪いと思い、皆に謝まった。
「皆は悪くないから。俺が周りの声も聞かずに突っ走ったのも悪いんだ。」
謝り合ったことで、雰囲気が良くなり、気合を入れなおした。
「よし!じゃあ次は協力して倒すよ!」
「「「はい!」」」
アルシュ・ガルディ・バルトも大きな声を出し、気合を入れた。
建物から抜け出し、巨人が暴れているところに戻った。
「シャドーブラック様!大丈夫でしたか?!」
「少しやられたけど、直したから大丈夫!」
駆け寄ってきたルーチェを抱きとめて、勢いを殺してその場に降ろした。
「突進しすぎだからね?」
「申し訳ありません・・・。」
「いいよ。それより・・・なんでAがいるかな?」
「お!やっと気づいてくれた!さっきから見てたんだけど、気づく様子もなかったしとりあえず見学してたんだけど。」
Aは相変わらず、家で寛ぐような体制でリュシオルに声を掛けた。
「手を出さずにいてくれたのは感謝するが、あれは止めてくれないのか?」
「あれは君たちが頑張って?僕の管轄じゃないし~。あれ?管轄なのかな?でも敵だから手を貸すのはおかしいでしょ?」
「それもそうだが、お前の目的はなんだ?」
Aの首に刀を当てて、質問をする。
「何もしないって僕は。」
「ならここから立ち去ってくれないか?」
「それは無理だな~。戦っているところを見たいし。」
何を考えているか分からないAにどうすることも出来なかった。
「じゃあ、今回は何もしないって約束するからさ!なんなら腕一本切ってもいいし。」
「信用ならない。」
「じゃあ、とりあえず腕一本ね?」
そういうと、自分で自分の右腕を切ってしまった。
「これでいい?まぁ~後でくっつけるけど。」
「・・・わかった。さらに拘束はさせてもらう。〖プリズン〗」
光の檻に入れて、拘束した。




