~227~
体が改造された者たちは、元々悪魔のような考えを持っていた人間で、狂っていたのだ。
「それでは、我ら神への供物を集めようではないか。」
鬼の男が両手を上げて、まるで祈りをささげるかのような仕草をした。
すると、黒い霧が発生してその霧から魔物がわんさかと溢れ出てくると、会場に悲鳴が響き渡っていた。
「防御魔法を使える生徒は直ちに張りなさい!」
「教師は生徒優先です!」
「貴族の方々は自前でお願いします!」
混沌とする中、誰かが的確な指示を飛ばしていた。
「あらまあ。騒いでるだけで何もしないかと思ったら中々優秀じゃない。これは困ったものだわ。でもこっちはそうでもないみたいね!」
悲鳴で出口に人が溢れているところには、民間人が溢れていた。
そこを的確に見つけたサキュバスの女は蝙蝠の翼で飛んで向かった。
「じゃああっちはあいつに任せて・・・。こっちは強そうなやつの相手をして少し遊ぶか。」
近くにいたプワソンに目を向けてロックオンした。
「こんな学院祭にわざわざ合わせなくてもよかったのではないか?」
「それが、AとKによると、この日がベストで都合がいいって言ってたからそうなっただけ俺たちはこの日に暴れると聞いただけだ。」
「傍迷惑な話だな。」
そう言いながら、刀を構える。
「俺たちも加勢するぜ。」
「いや。それよりラークのやつを運んでやってくれ。」
出場者の何名かが加勢を申し出てきたが、近くで倒れているラークが邪魔・・・もとい安全なところに運ぶよう伝える。
「そうね。そうして貰う方が私的にも助かるわ。」
「わたくしとしても、あなたも一緒にそこに転がっておられる人を片付けてもらわないと戦いにくいですわ。」
状況がわかり、敵が3人いると分かった時点で、フェードアウトしたエクラとベリエがギルド仕様で現れた。
「お前らは誰だ?」
「あら?あなた方に名乗るほどの名前を持ち合わせていませんわ。強いて言うのであれば、グロース・ファクトのメンバーであるということだけかしら?」
「そうね。その子の言う通りよ。」
名乗らないのではなくて名乗れないのだが、相手も名乗ってこなかったのでそういうことにした。
「そういえば、最近頭角を現してきている新人チームの話を聞いたことがある・・・。」
「お前もか・・・。」
「俺はギルドで見かけたことがあるぜ。本人たちで間違いない。」
「じゃあ、言うこと聞いた方がいいな。先輩方も一緒に行きましょう。」
ラークを回収しようとすると、敵が動いた。
「こいつの回収か?構わないぜ。持っていきな。」
ラークの腹に足を添えた後、思いっきり振り上げてラークを飛ばした。
「野蛮なやり方ですわ。」
「これは褒められてしまったな。」
「誰も褒めてないわ。早くその子を持って離れて。」
なるべく他人のふりをしながら指示を出す。
ベリエとエクラの間を抜ける時にプワソンは目で合図を受けた。
暗い廊下を進んで外に出ると、大きな結界が張られたところにまたもやギルドスタイルのレオーネがいた。
「こちらの結界の中に入ってきてください!」
多くの人間を結界の中入れて助けていた。
抱えていた数名が結界の中に入るのを見届けたプワソンはそっとその場を離れた。
それに気が付いたレオーネは助け舟で、すぐに声をかける。
「大丈夫ですか?!その方が倒れられているのですね。見せてください。」
ぐったりしているラークに治癒魔法をかけていく。
大したことがなかったのか、荒かった呼吸は元に戻ったものの目を覚まさなかった。
「これはまずいかもしれませんね。高位の神官の方にも見てもらうしかないようです・・・。」
「そうか。息がマシになっただけ良かったか。」
「そういえばあいつは?」
プワソンがいないことに気が付いた、ラークを救出してきた生徒たちは探し始めた。
「あなた方のほかに誰か来ていたのですか?」
「はい。もう1人男子生徒が来ていたはずなんですが・・・。」
「はぐれてしまったのですね。私が探してき「あなたはここで治癒をしてほしい。この通りだ!」・・・分かりました。落ち着くまで治癒をしたいと思います。しかし、キリがいいところで戦っている仲間の元に行きたいと思います。」
「そうですよね・・・。無理を言ってすいません。」
まだ経験の浅い教師がレオーネに残って欲しいと懇願したので、離れることが出来なくなってしまった。
「(確かにこの人だけでは無理ですね。もう少し様子を見てから行動しましょう。)」




