~224~
楽しい演奏が終了した後、司会の放送が流れた。
~いや~いい演奏でしたね。中々な優雅さを堪能しました。聞きながらお茶をしたいですね。~
~え?飲んでるじゃないか。~
~違うんです!こう・・・優雅にドレスを纏って、揺れる椅子に座り、ゆらゆらしながら本を片手にお茶を嗜みたいのです。~
~あぁ・・・そうですか。では、妄想しているこいつは置いておいて、そろそろ決勝戦のお話をさせてもらいます。~
いよいよ始まるとなって、また熱気が戻ってくる。
~いよいよ決勝はシュバリエ家とクレールス家の次期当主対決となりました!~
~どちらも女子に人気の高い2人ですね!~
~復活してきたか・・・。そして会場は女子の黄色い声援で溢れかえっております。~
会場はラークを呼ぶ声と、プワソンを呼ぶ声で溢れかえっていた。
一方、控室では・・・
「正々堂々と勝負しよう。」
「もちろんだ。どちらが負けても文句の無いように全力でさせてもらう。」
男同士の熱い握手がされていた。
~それでは両者に入場していただきましょう!まずは、ラーク選手!~
ラークは観客席に手を振りながら入場してきた。
~さすがラーク選手!女心を分かっていますね!ハートをキャッチされてしまいました!続いてはプワソン選手ですが・・・おっと?礼をしてから入場しています。~
一方プワソンは礼をしてから歩き出し、競技場に着いてからは4方向に礼を1回ずつした。
~お~!これは紳士的です!これには女子はハートを撃ち抜かれた~!~
女解説者の言う通り、お嬢様倒れをしている人が多数いた。
~それでは・・・!試合開始です!~
審判の合図とともに、走り出し、剣を交えた。
「はぁ!」
「ふっ!」
「中々重い一撃ですね。」
「シュバリエ家から褒められるとは光栄だな。」
ニヤリと両者が笑った後、再び斬り合いが始まった。
「さすがだな。」
「剣筋は騎士特有の習い方だから型がしっかりしている分、見切りやすい。」
「それはこちらとて同じ。シュバリエ家と我が家が違うことをやっていることはないからな。」
「それもそうだ。では、より磨きがかかっていた方が勝つということだな?」
「それは勝って初めてわかることだ!」
斬り合いをする中で喋れるのはすごいことなのだが、それよりも2人の戦いに会場中を釘つけにした。
その中怪しい人影が会場の屋根にいた・・・。
「これはこれは・・・。埋め込んだ人間がここまで勝ち上がっているのであれば、後は待つだけではないですか・・・。」
「はい。ここまでうまく事が運ぶとは思っていませんでした。」
「イヌよ。これはうまくいきそうだ。」
「はい。これも邪神様が下さった幸運でございます。」
「そうだな。これは邪神様のために頑張らなくてはな。」
「はい。そうでございます。」
「では、次の段階の最終確認をするように。」
「かしこまりました。」
2つあった影が一瞬で消えてしまった。
この会話は誰にも届いておらず、リュシオルたちでさえ気づけなかった。
~盛り上がってまいりました!会場に鉄と鉄のぶつかる音が響き渡っております!~
~やはり、幼少の頃から鍛えられている2人はこれぐらいの時間戦っていることは苦ではないのでしょうか?~
「っと言われているようだが?」
「生身だ。いつか疲れるだろう。」
「そうですよね。実際に少し疲れてきましたが。」
「それは私にはチャンスだな!」
ラークが軽口で言った途端、プワソンは猛攻を仕掛けた。
「あな!たは!つ!かれて!いない!ので!すか!」
「そうだな!あまり疲れていないな!」
~おっと!プワソン選手猛攻に出た!~
すさまじい勢いでラークを押していく。
すると、ラークの足は競技場の端に足を掛けることとなった。
「まずい!」
「このチャンスは逃がさない!」
後一押しの所まで追い詰めたプワソン。
一気に畳みかける
「うぉぉぉぉぉぉ!」
「くっ!」
力のこもった一撃を受けたラークはそのまま場外に落ちてしまう。
~これは・・・!ラーク選手の場外で・・・プワソン選手の勝利・・・優勝です!~
勝利宣言をした後、会場は大きな声援で溢れかえった。
~それでは、表彰・・・の前に!スペシャルマッチが行われます!~
それを聞いた会場は一瞬静まったが、わぁ~!!!と歓声を上げた。




