~222~
食事をしている間に準決勝の試合が始まった。
「たしかラークが戦うんだよな?」
「そうですわ。勝つとしたら、これまでの試合を見るにラークになると思いますわ。」
「俺もそう思うぜ!」
歓声が沸き上がった後に、ラークとリンブルを倒した選手が入ってきた。
~それでは、準決勝戦を開始したいと思います。この試合どちらが勝つと思われますか?~
~そうですね・・・。見ている限りはラーク選手が勝ちそうな気がしますね。~
司会も予想をしながら試合を見ていくようだ。
そしてついに、試合の合図が鳴った。
~おっと!さっそくラーク選手が突っ込んで行った!~
~鋭い攻撃ですが、やはり予測していたようで受け止められていますね。~
ラークと相手選手の斬り合いが激しく行われている。
~すごい見ごたえのある試合ですね。~
~これは白熱する試合です!おっと離れて詠唱しているようです。~
~身体強化をする・・・。いや!剣に付加したようです!~
ラークが詠唱した後に剣が赤々と燃え盛った。
~これは熱そうだ!これで打ち合うと剣が溶けてしまいそうですね。おっと?○○選手も付加したようだ!こちらは水でしょうか?!~
相手選手も付加魔法を発動させて対抗するようだった。
~これは目がますます離せなくなりましたね。~
~時間が止まっているかのように2人は動きません・・・。枯れ葉が・・・おっと!枯れ葉が舞うのが合図だったようです!両者駆け出した!~
火と水が激突した瞬間に水蒸気で両者が見えなくなってしまった。
~これでは2人が見えなくなってしまった!~
~どうなってしまうのでしょうか!?~
~あ!かすかに動いているのが見えますが・・・。決着がついたのでしょうか?赤しか見えないようです。~
そして、水蒸気が晴れた後、立っていたのはラークであった。
~最後に立っていたのはラーク選手でした!~
~これで、決勝にコマを進めるのはラーク選手!~
ラークは天に拳を突き上げて、勝利を知らせた。
拳を上げた瞬間に会場は大歓声に包まれていった。
その後、優雅な紳士の礼をして会場を後にした。
そして、倒れた相手選手は担架で運ばれていくのだった。
~では続きまして、クールな貴公子プワソン選手と戦う乙女ベリエ選手の対戦です。~
~ここも見どころでしょうね。普段も一緒のグループの2人がこのような舞台で真剣勝負。手の内を知っている分混戦が予想されそうです。~
~そうですね。普段も仲がいいグループで、鍛錬も一緒に行ったりしているところを目撃されているそうです。~
色々な情報が入ってきているようだった。
「さすがにギルドでのことは出ていないようだな。」
「そうですね。隠していることが明るみにでたら元も子もないですからね。」
「そうですわ。隠していることが水の泡ですわ。」
自分たちの隠れていることが明るみになるのはやはり嫌なようで、ほんとに嫌な顔をしながら、そう話すエクラとレオーネ。
「おれはいつか有名になって顔を明かしたいかな?」
「じゃあまだまだ先ですわね。」
リンブルの言葉で場が和んだ。
そして、いよいよベリエとプワソンの試合の合図が切って落とされた。
「こうやって戦うのは久しぶりね。」
「摸擬戦をしても、軽くしかしないから分からないこともある。それに最近別々のことをしているからなおさらだ。」
「そうね。この日のために少し鍛錬したことは間違いないわね。」
「そうか。なら出せる分の全力を出すしかないな。」
「私もそうね。出せる分の全力は出そうと思うわ。」
2人とも構えて、臨戦態勢を取った。
「それでは・・・はじめ!」
審判の合図とともに走り始めたベリエ。
一方プワソンはその場を動かずに構えたままである。
「受けの体制ね!では、最初の一撃させてもらうわ。」
「レディーファーストだ。」
「そこは紳士なのね!」
ベリエは振りかぶってプワソンに攻撃を仕掛けた。
そして、プワソンの剣とベリエのグローブの音がキンッと響いた。
「重い一撃だ。」
「それはどうも。でも軽々と受け止められてしまったわ。」
少しベリエは腕をフルフルと震わせていた。
耐えられなくなったのか、ベリエは拳を押し出した後、飛んで離れた。
「攻撃も鋭くなっているようだな。今後が楽しみだ。」
「そうでしょ?もっと強くなる予定よ?」
ベリエはニヤッと笑い、息を整えて再びプワソンに向かって行った。
続いては重い一撃ではなく、連撃を繰り出し、プワソンの反応できない一撃を入れる戦法に変えたようだ。
「あれはボクシング・・・。」
「リュー君知ってるの?」
「あぁ。誰だったか忘れたけど、あの戦い方をする人を見たことあるだけで・・・。名前もその時に教えてもらった戦い方の1つだな。」
「そうなんだ~。ベリエちゃんは知っているのかな?」
「ギルドで教えてもらってるんじゃないかな?よく通ってるんでしょ?」
「そうだったね。知っているかもね。」
レオーネから質問されてドキリとし、うまくごまかしたのだった。




