~221~
ベリエとプワソンが会場に向かった後、リュシオルたちはというと・・・。
「リュシオル君こっち指名!」
「エクラちゃんも指名だよ!」
「大人気のリンブルも指名だ!」
目の回るような忙しさに振り回されていた。
そして、一番人気なのはリンブルなのである。
「そうなんだ・・・。お姉さまも苦労されているだな。」
「分かってくれるかしら?!やっぱりリンブル君がいいと聞いていた通りですわ!」
「いえいえ。お姉さまが笑顔になった方が俺もうれしいんで。良かったです。」
にっこりと妙年齢・・・つまりおばちゃんと呼ばれるような人にリンブルらしくない応対。
「マダム殺しと言おうかな・・・。」
「そうね・・・近所の人を虜にするぐらいですもの。その名前がふさわしいですわ・・・。」
たまたま近くにいたエクラが反応していた。
「びっくりだよな。リンブルにあんな特技があったなんて。」
「ほんとですわ。でも、街に出かけた後、何かしら貰って帰ってきているのはよく目にしましたが、これが理由でしたのね。」
「みたいだね。これはマダムも喜ぶよ。」
忙しく時間が終われば次のテーブルにと忙しそうにしていた。
「突然ですが、そろそろ武闘会の開始時間が迫ってきました。ですので、今注文をされている方で一旦指名のオーダーストップとさせていただきます。なお、武闘会が終わり、メンバーが帰り次第再開させていただきます。」
ボードには書いてあったが、一応念のためにボスが説明してくれたみたいである。
「さぁ!指名メンバーは最後のオーダーをこなしたら休憩よ。」
「了解です。」
「後少しだけですわね。」
「やっと時間です・・・長かったね・・・。」
「プワソンとベリエの試合が楽しみだな。」
「だれか先に終わったら、ノワールと一緒に席を取ってきてくれるか?」
小さな置物のように伏せをしていたノワールがリュシオルの言葉と共に起き上がった。
「じゃあ、今回も私だと思うので、先に行って席を取ってきますね。」
「お願いしますわ。行くときに何か買って持っていきますわ。」
「エクラちゃんありがと~。」
レオーネは最後に指名の時間を過ごしたら終わりなようで席取りに立候補してくれた。
そして、予定通りレオーネが先に終わり、ノワールと一緒に席取りに向かった。
「お疲れさま。交代も帰って来たし、終わったら向かっていいわよ。ただし、その衣装のままね?」
ボスからの許可も下りて、昨日と同じく衣装のまま会場に向かった。
「レオーネが待っているけど、ご飯を買っていかないと。」
「簡単につまめるものとかがいいですわ。手で食べるのはあまり行儀がいいものではないけど、仕方ないですわ。」
「そうだな。パーティー感覚?でいける物がいいな。」
色々と意見を出しながら売っている物を購入していく。
「それを7人前と、あっ!それは5人前で。」
「そちらを7人前お願いしてもよろしいかしら?」
「今並んでいる奴を1種類ずつくれ。」
手分けして購入し、両手いっぱいに買い込んだ。
「こんなに食べれるかしら?」
「大丈夫じゃないかしら?」
「ノワールも食べるし、なんなら他のメンバーも呼べば食べると思うよ?」
「その手があったか!なら大丈夫だな。」
問題が解決され、いい匂いのする食べ物を持ちながら会場に入って行った。
「レオーネはどこら辺に居るのかしら?」
「魔力で探ってみるね・・・。昨日と同じ場所のような・・・。」
「え?また同じ場所を取れたということかしら?」
「よくわからないけどとりあえず行ってみよう。」
同じ場所を取れるなんて思っていなかったリュシオルたちは不思議に思いながらも、歩みを進めた。
「こっちこっち!ここだよ~!」
大きく手を振っているレオーネの姿が見えた。
「やっぱり同じ席の様だぜ?」
「そうだよね。レオーネに聞いてみよう。」
取ってくれた席の方に近づく。
「お疲れ様でした。両手いっぱいに買ったんだね!」
「あぁ。それで、昨日と見る席が同じ場所だけど、どうして?」
「あ~。なんか分からないけど、入ってきたらこの席を人数分譲ってくれて・・・。」
「え?!なんでですの?」
全く持って不思議である。
「それが、『昨日ここで見ていた人ですよね?ここの席譲ります。』って言ってどこか違う席に行っちゃったの。」
なんとなく予想できたメンバーが、あ~と声を出した。
「それなら遠慮はいらないみたいですわ。」
「そうですね。とりあえず座って食べましょう。」
納得したメンバーもしなかったメンバーも、お腹が減っていたのでまずは腹ごしらえとなった。




