~213~
~まだまだ激闘を繰り広げていますが、そろそろ決着がつきそうです。~
プワソンと相手選手は長い間斬り合っていた。
プワソンとしても、相手は決まった型があったわけではないので、苦戦していたようだが、ようやく見えて来たらしい。
~また離れましたね。最後の一撃で決まるのでしょうか?!~
~おっと!これは鋭い一閃だ!最後まで立っているのは・・・プワソン選手!~
審判の試合終了の合図で試合が終了し、プワソンは貴族席の方に向かって礼をしていた。
「いい見世物になりましたわ。プワソンもいい仕事をしますわ。」
「ん?どういうこと?」
「貴族にとって、〖見せる〗ということは重要なことですわ。それが誰であってもですわ。民には必要ないかもしれませんが、これが貴族としての定めですわ。」
貴族の社会も色々とあるようだ。
「1試合はさんでから、ベリエちゃんの試合です。」
「ベリエもたぶん勝ち進むだろうな。」
「そうだね。負けるとしたらプワソンぐらいじゃないかな?」
ベリエの試合まで、買ってあった物を食べ飲みして時間を潰した。
「ベリエちゃんが出てきましたよ。」
「次はベリエか。予選の時と変わっているだろうか?」
「プワソンおかえり~。中々見ごたえのあった試合だったぞ。」
ベリエの試合の前にプワソンは観客席に戻ってこれたようだ。
「それはよかった。でも、あまり時間を掛けすぎるべきではなかったと少し反省している。」
「仕方ないんじゃないかな?相手は独学での剣を、プワソンは騎士としての剣だ。違いがあるから苦戦するのは間違いないな。」
「そうか・・・。ではこれからギルドで対人戦をよくやらしてもらうのもいいかもしれない。」
「いいことですわ。っと・・・そろそろリンブルは控室に行った方がいいんじゃないかしら?」
リュシオルとプワソンの会話の途中でエクラが気づき、リンブルに声を掛けた。
「っいっけね~!ちょっと遅刻だ!」
「わたくしも行かなければならないので、一緒に行きますわ。」
「おぅ!じゃあ一緒に行こうぜ。」
エクラとリンブルは立ち上がり、控室へと向かった。
「では、俺たちはベリエの応援をするか。」
「そうですね!」
再び視線と中央へ戻し、ベリエを応援した。
「中々鋭い動きだ。」
「毎日運動している成果じゃないかな?」
「毎日しているのですか・・・。ベリエさんは努力家ですね。」
「えへへ・・・。自慢の友達だよ。」
レオーネは、はにかみながら笑顔で答えた。
「鋭い動きで相手を翻弄しているし、いい戦い方だな。」
「伊達にギルドに通っていないですね。」
「そういえばよくギルドに行って冒険者と手合わせしているって言っていたな。」
よく出かけるベリエを思い出しながら、動きを注視する。
「そろそろ決着がつきそうですね。」
「あぁ。魔力を練っているから最後の一撃じゃないかな?」
戦いながら魔力を練り、最後に備えているようだった。
そして、小さな声で呪文を唱えているようで、口が小さく動いていた。
すると、相手の懐にチャンスが出来き、ベリエはそこに思いっきり打ち込んだ。
「わぁ~・・・。すごく飛んでいきましたね・・・。」
「うん・・・。人間ってあんなに飛ぶんだね・・・。」
技を食らった相手選手はまるで紙の様に飛んで行った。
「あ・・・落ちた・・・。」
「予想するに、ウィンドボールを素早く打ち出して、相手を吹っ飛ばしたんだろうな。」
「なるほど・・・。そういう戦い方がありましたか。」
レオーネは飛んで行った相手選手を目で追って実況し、リュシオルが解説。
ルーチェは戦い方に感心していた。
「接近戦で相手を吹っ飛ばすにいい戦略だったな。色々と想定してすると面白いかもね・・・。」
リュシオルは色々とブツブツと戦い方を考えて自分の世界に入ってしまった。




