~211~
~続いては!シュバリエ家の美男子ラーク選手です!私も彼にはメロメロです!家柄よし!器量よし!肉体美よし!そして顔もイケメン!女子からのハートが混じった声援をお聞きで分かるかと思います!~
紹介を始めたとたんに、競技場内は女の子の黄色い声援で溢れかえっていた。
~対して、男爵家からまあまあの○○選手です!特に目立ったこともないので、これで紹介いいですよね?~
有名ではない選手の扱いが雑すぎる・・・。
~それでは、いよいよ試合開始です。~
中央では互いに剣を構えて戦闘態勢である。
「ラーク君の雰囲気変わった?」
「そうですわね・・・。何か少し変な気がしますわ?」
「そうか?俺には全く分からないが・・・。」
「って・・・おかえりエクラ。」
いつの間にか観客席に来ていたエクラ。
「ただいま戻りましたわ。」
「圧倒的な試合だったね。あの魔法も初めて見ましたし。」
「あれは図書室で見つけた魔導書を読んで覚えたのですわ。少しリュシオルにヒントは頂きましたが。」
コロコロと笑いながら答えた。
「それでも実現できるエクラが凄いと思うよ?」
「それはありがとうございますわ。」
素直に賛辞を受け取り、視線を再び中央へ戻した。
「動きはあまり変わったように見えませんがいつもと違う気がしますわ。」
「言われてみればそうかもな。実技の時と気迫が違うな。」
「あ~なるほど!気持ちの違いかもしれませんね!」
レオーネが気づいて手を叩いた。
「そうですわね。ではあの首筋に見える黒いのも気のせいかしら?」
「え?どこ?」
「ほら横に動いた時に見えるあの黒い点ですわ。あんなところにほくろなんてなかったと思うのですわ。気のせいかもしれないですが・・・。」
「いや・・・。確かに黒い点が見えるな・・・。」
「痣かもしれませんよ?打った時にできるあれではありませんか?」
「内出血ね?そうかもしれないね。対して痛くないからほおっているのかもしれないね。それにあそこまで黒くなったら痛みはあまりないだろうしね~。」
試合を見ながら細かいところを見ていた。
「そろそろ決着がつきそうですわ。」
「さすが騎士家系と言われているだけありますね。」
「そうなんだ~。俺は知らなかった。」
「リュシオルって知ってそうで知っていないことが多いよね?」
「確かに一般知識は抜けてて、変な知識が多いって言ったらいいですわね。」
「う・・・。仕方ないじゃないか・・・。とりあえず、その話は置いといてラーク君が次に駒を進めたみたいだぞ。」
「では、次の対戦相手はラーク・シュバリエですわね。」
エクラの対戦相手が決まり、気合を入れなおしたようだ。
「怪我だけはしないようにね?ダメそうだったら棄権していいんだからね?」
「レオーネは心配しすぎですわ。わたくしは強いですし、引き際は心得ているつもりですわ。それにそんなにここでは手を披露しないので、ある程度で降参するつもりですわ。」
「そうなんだ。じゃあ安心していいのかな?」
「大丈夫ですわ。ケガなく帰ってきますわ。」
エクラはレオーネの頭を撫でながら、答えた。
~今から半刻ほどの休憩時間を取らせていただきます。今の間にお手洗い、飲み物・食べ物の購入をお願いします。~
放送で休憩時間が設けられるようだ。
そして放送が流れるや否や、売り子たちが観客席になだれ込んで行った。
「なるほど。これで収益を伸ばすんだね。」
「食品販売をしているクラスはここも力を入れているそうですわ。」
それにしても売り子たちの数に圧巻したのであった。
「さて、少しお手洗いでも行ってきますか。」
「俺も行くぜ。」
リュシオルとリンブルが立ち上がってトイレに向かった。
「わたくしたちは、男性たちが帰ってきてから向かうとしますか。」
「そうですね。ここの席を離れるのはもったいないですから。せっかくレオーネさんが取ってくださった席ですので。」
「そんな・・・私はこれぐらいしかできないし・・・。」
「いえ。レオーネさんには感謝しております。」
深々とルーチェが礼をした。
「そんな!頭を上げてください!」
「はい。」
にっこりと笑みを浮かべて顔を上げた。




