~209~
~ただいまより、学院祭を開催したいと思います!本日はお集まりいただき、ありがとうございます!存分にお楽しみください!~
学院敷地全部に響き渡る放送をもって学院祭が開催された。
「2番テーブルにお茶と軽食を!」
「こっちも同じよ!」
「こちらは冷たいジュースをお願いしますわ。」
リュシオルのクラスは大盛況だ。
店をしている教室の前には大勢の人が並んでいる状態である。
「てんてこ舞いですわ・・・。」
「目が回りそうです・・・。」
「もう少ししたら終わりですから頑張ってください・・・。」
今回のまとめ役の女の子が励ましに来た。
開催から1時間は大混乱が予想されたため全員で当たることとなっていたが、落ち着いてきたので分けたのだが、噂が噂を呼んだのか瞬く間に人が列をなしてしまい現在に至るのだ。
「大変なことになっていますね~。交代ですよ~。」
交代に来た生徒と交代していき、武闘会組は食事と準備に行ってしまった。
「俺ももう少しここで働くよ。」
「助かります・・・。ここでメインの方がいなくなると客足も遠のきますしね?」
「俺ってメイン?」
「はい。メインです。」
周りを見渡すと、うんうんと頷いているクラスメイトが・・・。
「・・・ルーチェが終わるまでの手伝いだから期待しないでね?」
「猫の手も借りたい気持ちなので大丈夫です。人間の手は役に立ちます。」
いたたまれなくなって言ったが、関係ないと返ってきてしまった。
その後も忙しくなり、いつの間にか時間が来ていた。
「ごくろーさま!ゆっくりしてきてね~。ただし、その服装で行くこと~。出来れば、これも持って歩いて行って~。」
渡されたのは、首からぶら下げる広告だった。
「了解ボス!」
「ボスじゃないし・・・。とりあえず宣伝もよろしくね?」
働いている間になぜか組織化されてきた気がしていたので、そう答えると否定されてしまった。
「お疲れ様でした。私のためにわざわざありがとうございます。」
「クラスのためでもあるしね。それにこれの宣伝どうしようかな?」
「持っているだけでいいと言われていたのでそれとなりに見えるようにしていればいいのではないでしょうか?」
「そうだよね~。さて!お腹も減ったし、食べ物を買って競技場に向かうとしますか!」
色々な催しをしているところ見て回り、食べる物を買って競技場に入って行った。
見やすいところでレオーネを探すと、グルナと席取りをしていた。
「グルナちゃんを貸してくれたから無事に席を取れましたよ!」
「あ・・・あぁ・・・ありがとう。」
満面の笑みで言われて何も言えなくなってしまった。
「我も頑張ったのでご褒美が欲しい。」
「グルナの分も買ってきたから食べよう。」
気を取り直して、グルナの催促もそうだが、お腹も減っていたので食事をすることにした。
「なかなかいい味を出していますね・・・。」
「うん・・・。屋台で食べるより美味しいかもしれないね・・・。」
学生の調理レベルに驚いてしまった。
「そろそろ始まるんじゃないか?」
~レディースアンドジェントルメン!これより武闘大会を開催するぜ~!盛り上がっているか?!~
うぉ~~~~~~~!
すごい盛り上がり方である。
~では早速第一試合にう・・・・痛っ!・・・失礼しました。開催と共に今回の武闘大会に宰相様が来れているので、お言葉をいただきたいと思います。~
盛り上がり担当の男が盛り上げて、試合を始めようと声をかけ始めたところで横から殴られたようだった。
その後、女の人に変わり、進行が進められていく。
~本日は、学院祭は盛り上がると学院長より伺い、明日の方がいいと言われたが、今日からじっくり見させていただくことにした。これから国を担っていく次世代の発掘などが出来ればいいと思っている。皆頑張ってくれたまえ。~
~宰相様よりお言葉をいただきました。ありがとうございました。では、さっそく・・・盛り上がっていきましょ!第一試合は・・・~
~Sクラスの1年生リンブル選手とAクラス○○選手です!~
「リンブル君大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うよ?短剣で戦うって言っていたから接近戦の戦い方だし、相手は魔法重視の様だし得意な分野じゃないかな?」
魔法のみで戦う場合は接近戦が弱くなり、遠距離に強い。
武器の場合は逆の通りであるが、リンブルは持ち前の速さがあるため、遠距離の攻撃前に近づくことが出来るのである。
「じゃあ、あれが見れるね。」
「最近編み出したっていう戦い方?」
「前もよくしてたんですよ?でも、イメージが固まって、より良くなったそうです。」
構えに入って試合の合図をする段階に入った時、リンブルの構えが変わった。
「なんだ?あの構えは・・・。」
「あれがリンブル君の新しい戦い方です。」
クラウチングスタートの構えをし、口に短刀を加えていた。
「確かに理に適っているけど・・・あれじゃあ犬じゃん・・・。」
「ですね・・・いいところ狼?」
「でも、一瞬で決着がつきましたね。」
改めて犬であることを認識する戦いだったと言っておこう。




